第10話 別れ、

ある日暑い日の仕事帰り、少しはやく上がれたので…開店前の空の店に行った。


『CLOSE』と書いたオシャレな板が掛けてある。


ドアを開けると…開いた。

中には、テーブルを拭く空が居た。


「この間はごめん。」

「俺はいいけど、お前、大丈夫か?」

「うん。」

「……来い。」


僕は…空に抱きしめられた。


「渡したくねーな。あんな弱々しいのに。」

「可愛いんだよあいつは。けど、芯があってカッコイイ。」

「なのになんで俺のところに来る?」

「……。」


空は僕の心の奥底をすくい取るように、さらにまた強く…抱き寄せた。


「いい。泣け。泣きたいだけ泣いてから帰れ。あの子を守るのはお前だ。守れる状態になるまでここに居ていい。」


僕は…声を上げて泣いた。

押さえ込んでいたものが爆発した。


空はずっと僕の頭を撫でて包み込んでくれていた。




―――――――――暫くして僕が落ち着くと、


「大丈夫か?帰れるか?」


と僕の目を見て、おしぼりで目の下を拭いて鼻にあててくれた。


そう…。こういう細かい所はこの人から学んだ。


僕はもう一度空に抱き着いて……キスした。



「稜太…。」


―――――――――――――――空は…。


「……これで最後な。もう来るなよ。」

「わかった。」

「……」


空はまた僕にキスした。最中、ずっとキスしてくれてた。


「…空」

「うん?」

「僕、探すよ。」

「俺の代わりか?」

「そう。」

「やめとけ。」

「……でも、、空がダメならどうしたらいいの?!…」

「…俺が一番嫌なのわかるか?お前と会えなくなるの。」

「……。」


「じゃあ、あの子と別れてこい。出来るか?ならいくらでも抱いてやる。」


「……もう来ない。」

「そうしろ。」


―――――――――――――――。

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