第2章〜恋の中にある死角は下心〜⑪
(会長さんは、ボクが、リリムの女子たちを警戒していることを知っているのか――――――?)
その唐突な質問に、困惑と警戒心から、つい身体がこわばって身構える
「すまない、
誤解を
という表現が気になった
ただ、その前に気になることがある。
「そんな大事なこと、こう言う場所で話しても大丈夫なんですか?」
テーブル越しの彼女に顔を寄せつつ、周囲を見渡しながら、
(それでも、店員さんたちに聞こえたら……)
そんな彼の懸念をよそに、上級生は落ち着いた表情で答える。
「あぁ、その点は心配ない。ここは、私の親戚が経営する店だ。ここのマスターのナミさんも、親類だから、我が血族の一人というわけだ」
「そ、そうだったんですか……」
ナミと呼ばれる女性と目があったので軽く会釈した彼は、椅子に座り直して、あらためて、
「誤解を
再びたずねる
「
ストレートな問いかけに、彼は、一瞬たじろいだが、養護教諭から聞かされた話とともに、彼女に見せられたショッキングな映像が、いまも頭から離れないため、素直に返答することにする。
「えっと……ボクが知っている限りでは、リリムは、自分に惚れた相手の
そのリリムである当人を目の前にしているということもあって、慎重な口ぶりで答える
「やはり、そうか……」
と、小さくため息をつく。
彼が、彼女のそんな仕草を不思議そうに見つめていると、
「たしかに、そうして、異性の
「そこで、私たちは、
その
「リリムの誘惑から逃れるには、三つの方法がある。一つ目は特定の交際相手を見つけて、彼女たちに付け入るスキを与えないこと。二つ目は彼女たちをキミ自身に惚れさせて魂を奪う気を失わせること。そして、三つ目は……
養護教諭の言葉の記憶をたどりながら、
「リリムも、惚れた相手からは、
「ストレートに質問をぶつけてくるな、キミは……まぁ、平たく言えば、そう言うことだ。より、正確に言えば、自身の魅力で相手を虜にしながら、その相手の
なるほど……。
保健室で聞いた話しよりも、自分自身で、「リリムであること」をカミングアウトした
ただ、それでも――――――。
「あの……会長さん、ちょっと、ボクに真相をぶっちゃけ過ぎじゃないですか?」
彼は、いまの話しを聞いていて、気になることを本人に直接たずねてみる。
すると、生徒会長を務める上級生は、真っ直ぐに
「それは、キミには隠しごとをしたくなかったからだ。私は、キミに対しての想いを率直に伝えたうえで、自分を選んでもらいたいと考えているからな」
その、あまりに正々堂々とした受け答えには、その身を狙われている
(これだけ、堂々と答えられるってことは、きっと、会長さんが自分の言葉や行動に自信を持っているからなんだろうな……)
ただ、同時に、そうであるからこそ、彼の中から最も大きな疑問が湧いてくるのだった。
そして、
「あの……いまの話しを聞いても、会長さんは、自信に満ち溢れていて、スゴい人だなって思うんですけど……そんな会長さんが、どうして、ボクみたいに、特に取り柄のない男子を相手にするんですか?」
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