第2章〜恋の中にある死角は下心〜⑧
「
喫茶店のテーブルをはさみ、前のめりになりながら問うてくる彼女の迫力に押されながら、
「う、うん……」
と、うなずく。
彼の曖昧な返答に対して、
「じゃあ、さっきの観光客っぽい外国人のお姉さんに向けていた視線は、なんなのかな?」
今度は、ニコリと作り笑いでたずねる。
もちろん、笑顔に見えるのは表情のみで、その瞳は、笑っていない。
そんな、同学年の女子の様子から、言い知れない感情を読み取った
「ごめんなさい……せっかく、真中さんが協力してくれているのに……」
と、うなだれながら、謝罪する。
それでも、彼女の真剣な眼差しを見据えたあと、縮こまるようにうつむくその姿に、なにか感じるところがあったのか、
「ま、まぁ、ちゃんとわかってるなら、良いけど……」
と、
「うん……今後は、気をつけるようにするよ……」
いったい、ナニに気をつければよいのか――――――?
リリムをはじめとした魔族に関する知識を持ち合わせていない彼に意識して取れる策など、ほとんどないのだが、彼女を失望させたくない一心で、
ただ、具体性をともなわない返答であったとしても、彼の殊勝な態度から、自身の
「こんなことを言うと、鬱陶しい女子だと思われるかも知れないけど……でも、なんだか、あの女の人からは、イヤな雰囲気がしたんだよね……上手く言葉にできないんだけど……」
「えっ……イヤな雰囲気って言うと……?」
意味深長な彼女の言葉に、
すると、
「う〜ん……うまく言えないんだけど……」
と、前置きしたあと、
「なんだか、私や
ポツリと、そんなことを言う。
「そう……なんだ……でも、さっきのヒトって、サングラスをかけてなかった?
「そ、それは……雰囲気というか、そういうオーラ? みたいなモノを感じただけだから!」
なぜか、
それでも、
(女性同士には、なにか感じるモノがあるのかもな……)
と、受け流して、「そっか……」と、短く応えるのみだった。
そして、彼が、自身の動揺について言及しなかったことに安心したのか、
「最初は、ウチの学院の女子みたいに、シンちゃ……ううん、
彼女の言葉を受けて、さすがに、
(ボクとは関係ナシに、
養護教諭の
ただ、そんなハンターが身近に居るとしても、リリムであることがほぼ確定している生徒会長の
「やっぱり、ボクたちで考えてわからないことは、
自分でも頼りないことではあると実感するが、現状で自分たちの手に負えないことは、この方面の知識が豊富な者を頼るしかない。
なかば、ため息をつくように返答する
「そうだねぇ……
「うんうん……ボクが、そんなに女性にモテるわけないもんね……」
真理を突いた
「――――――って! ちょっと、待って! いまのは、さすがに言い過ぎじゃない!?」
バラエティ番組のひな壇芸人ばりに、喫茶店の座席を立ちあがりながら反論すると、目の前の同学年の女子は、
「おぉ〜! ノリツッコミが上手いですな〜。
と、おどけた口調で返答する。その笑顔に、
「いや、正直なところ、ボクは、女子と話すのは苦手な方なんだけど……なぜか、
普通に考えれば、相手にドン引きされるような彼のそんな発言であったが――――――。
喫茶店のテーブルを挟んだ
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