第2章〜恋の中にある死角は下心〜⑤
(弓道の試合を観に行くのに、
養護教諭の
生徒会長の
「そんなに心配なら、私が会長に直接、聞いてみるけど?」
と、口にした
「開かれた生徒会を目指す」
という方針のとおり、数日前の校内の施設見学オリエンテーションで訪れた時と同じ様に、生徒会室では、会長の
「審査会の前日に、わざわざ訪ねてきてくれるとは……それだけ、明日の私の雄姿を見るのを楽しみにしている、と理解して良いのかな?」
冗談めかした口調ながらも、生徒会長は、いつもどおり、自信に満ちた表情で男子生徒にたずねてくる。
「いえ……明日のことで、ちょっと、お願いがありまして……実は……」
応接テーブルに出された紅茶を前にして、
そんな彼を制するように、
「今度の演劇の役の参考にするために、弓道の
その食い気味な下級生の勢いに、生徒会副会長は、
「おやおや……」
と、口に出し、生徒会長の反応を楽しげに眺めている。
さらに、フッとニヒルな笑みを浮かべた書記担当は、会長を挑発するように、問いかけた。
「
「あぁ、もちろんだ。
それは、いかにも生徒会長らしい威厳と、弓道に興味を持ってくれたことに対する喜びが感じられる言葉だった。ちなみに、彼女が語った『
「ありがとうございます、会長! とっても、楽しみです」
と、無邪気な様子で喜ぶ
「会長の寛大な態度は、見習いたいところですが……でも、良いんですか? 会長が目を掛けた男子のそばに女子が居ることを許して」
すると、生徒会長は、澄ました表情で、返事をする。
「心配するな、
その所作に、思わず左胸を押さえる彼の表情を見ながら、彼女は、可笑しそうにクスクスと笑って、
「いや、済まない。冗談が過ぎたようだ。それにしても、相変わらず、可愛らしいところがあるなキミは……
と、二人の生徒会役員に声を掛ける。
彼女の言葉を受けて、副会長の
「会長、あまり下級生をからかってはイケませんよ」
と、
一方の
「
と、アドバイスをするのだった。
晴れて、
「ありがとう、
演劇部が活動する体育館の舞台に向かう途中で、
「そりゃ、デートに誘った男子から、『他の女子を一緒に連れて行きたい』なんて言われたら、良い気分になる女子なんていないと思うよ」
と、笑みを浮かべる。
それも、そうか……と、
「それに、会長さんの性格からして、他の生徒会メンバーの前で頼んだ方が、効果があるんじゃないかと思ったんだよね」
と言って、イタズラっぽい表情で可愛く舌を出す。
周囲に弱さを見せることのない
たったいま垣間見たイタズラっぽい表情も含めて、真面目な委員長タイプと思っていた彼女の意外な一面を見ることができたことで、
(そう言えば、
隣を歩く少女の表情を見ながら、彼が、そんなことを考えていると、
「送ってくれて、ありがとう! ここまでで、大丈夫だよ。明日は、楽しみにしてる! よろしくね、
その仕草と表情に、
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