第2章〜恋の中にある死角は下心〜④
その日の放課後――――――。
親しげに名前を呼ぶ隣のクラスの委員長の存在に色めき立ったクラスメートの
「入学式の日に、駅から生徒専用ゲートを使わずに迷いそうになっていたところを彼女に手助けしてもらっただけだ」
ということを何度も語ったのだが、その程度の説明では、二人は、とうてい納得できないようだった。
それでも、
「ボクだって、どうして、
そんな、心からの声を絞り出すと、
「あとは、
と、引き下がる姿勢を見せた。
そのことだけでなく、前日、四人の女子生徒たちから、デートの申し出を受けたことで相談する相手を求めた
「なるほど……
状況を確認するように問いかける
「そうか……やはり、リリムに目を付けられた者は、日常生活の色々な場面に影響が出るものだな……」
養護教諭は、小さな丸椅子に座って放心している男子生徒に同情するように苦笑すると、
「しかし、リリムの彼女たちに、
と、言葉を続ける。
ただ、
「先生は、良くなかった、と言いますけど……あそこで、
最後は、声のトーンが下がる、やや気弱な意見表明ではあったが、彼の言葉に、保健医は、「ほう……」と、関心を寄せる。
「
「というと……?」
「あぁ、
「そ、そうだったんですか……」
「そして、もう一つ……キミと同じく、
「な、なるほど……」
保健医の言葉は、
(そうか……
(でも――――――辰巳と乾が彼女の名前を出したとき、ボクは、どうしてあんなに動揺してしまったんだろう……)
と、思案する彼に、
「まあ、リリムの彼女たちにネタバラシをしてしまったとは言え、私としては、もうしばらく、
隣のクラスの委員長のことを考えている間に語られた保健医の言葉に、意識を会話に向けた
「そういうものなんですか?」
と、再び質問を返す。
「あぁ……目に見えて雰囲気の良い男女の間に入って、オトコをかっさらうような行為は女子から不興を買うことは間違いない。同性の評判を気にしない者ならともかく、周囲との軋轢を避けたいと考える生徒なら、そのあたりの立ち回りには気を配るだろう。まして、生徒会の代表者やクラスの中心人物なら、なおさらだ」
なるほど、学院内で他社との交流が多そうな生徒会長や、社交的な性格の陽気な女子生徒なら、たしかに、そうかも知れない――――――と、
ただ、高等部とは校舎や生活圏の異なる中等部の生徒、もしくは、同性の評価をまったく気にしない女子なら、どうだろう――――――?
(もし、真相を知ったとしたら……
自分の身に降りかかるかも知れない事態以上に、彼には、そのことが気掛かりだった。
そんな
「とりあえず、週末に
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