第17話:殲滅戦 前編


はい!ほのぼのパート終了のお知らせ!今からドラゴン殲滅の戦闘パートに移行となります!ふざけてんのかァァア!!!!


えぇ?うそぉ〜ん……なんでドラゴンが。

……はっ!?もしやフィレスが滅ぼせって命令された街、ここなのでは?点と点が線で繋がっちまったなぁ。しかもここ、防衛ラインの最前線だしなぁ。そりゃ、魔物さんサイドも陥落させたくなるよなぁ。俺だってそうするもん。


ちなみにあと、どんぐらいでドラゴン着くんです?


「ドラゴンが来るまで残り10分である。吾輩達で多少食い止めておくから、ヒビキ殿は他の冒険者に協力要請、それと住民の避難を頼む。」


アレンはそういうとユーリとミナを連れて街の外の方へと飛んで行った。

……10分だとぉ?あぁ!めんどくさいがやるしかねぇ!フィレス!お前は近隣住民の避難!俺は冒険者に声掛けてくる!


「えっ、あ……は、はい!分かりましたっ!」


フィレスと別れて、その辺にいる装備を纏った屈強な男に協力を頼む。だが、よそ者の言葉など信じてもらえるわけがなく軽く突っぱねられる。


「はぁ……?ドラゴン?そんなものが出てくるわけ……」


GyaaAAAAAAA!!!!!!


その瞬間、狙ったかのようにドラゴンと思われる咆哮が轟く。ナイスタイミングだな。


「……嘘だろっ……まじだってのか!?」


目の前の男が絶望したような表情を浮かべ始める。ちょっと!?項垂れないでもらえる!?アンタ見た目強そうだろ!何とかなるっていける!いける!


「……俺たちはここで死ぬんだ……」


あぁ!!もうなんだよコイツ!クッソ!見た目に反して精神豆腐かよ!


アンタにも家族や仲間とかいるんじゃねぇのか!?そいつらのために死ぬ訳には行かねぇだろ?やる気出せよ!立ち上がれよ!


そう発破をかけると男は目に光を取り戻し、立ち上がった。


「……そうだな。……お前の言う通りだ。俺はここで死ぬわけにはいかねぇ。」


よし!気を取り直したなら他の冒険者にも声掛けてこい!早くしろ!このままだと街燃やされ尽くすぞ!


「わかった!お前も頑張れよっ!!」


そう言うと男は走り去って行った。よし!次ぃ!アレン達が食い止めてる間に戦力確保しなければ!


そうして武器を持ってる奴に片っ端に声をかけまくり、協力させることに成功。中には逃げ出そうとするやつが居たが、逃げたヤツから真っ先に燃やされるという話をしたら協力してくれるようになった。


よぉーし!街にいるほぼ全ての兵士と冒険者を味方につけたぞオラァ!いやぁ!やっぱり協力し合うのが1番だよね!


……そして、この街の町長と呼ばれているおっさんを見つけ出し、指揮をあげてもらうように要請も完了した。


門の前に冒険者が集められ、その先頭に町長が立ち、皆の士気を高めるために演説を始める。


「皆!よく集まってくれた!もうすぐドラゴンが襲来する!……そこで恥を忍んで町長として君たちにお願いする!この街を死守してくれ!!」


そう町長が演説をすると、皆決意を固めたようで雄叫びを上げ出す。……すげぇなぁ。人望あんだなぁ。


……さて、今からドラゴン退治の時間だが、フェレスは一般人を避難させられたか?


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ヒビキさんの仲間が発した言葉に私は動揺を隠せずにいた。


ドラゴン……つまり私の同胞がこの街に来ようとしている?……一体なぜ……まさかっ!?


そこで思い出したのは父から出された「人間の街を滅ぼしてこい」という命令。あの命令が私だけに出されたとは限らない。きっと私以外にも命令を下したのだろう。


……しかも複数。このままではこの街は焼き払われてしまう。多くの人、ヒビキさん達も死ぬかもしれない。


「どんくらいでこの街に来るんだ?」


「ドラゴンが来るまで残り10分である。吾輩達で多少食い止めておくから、ヒビキ殿は他の冒険者に協力要請、それと住民の避難を頼む。」


そう言うと彼の仲間が空を飛んで街の外へと出ていく。……人間って空飛べるんだ。ってこんな状況に考えることじゃない!混乱しながらあたふたしていると、ヒビキさんから指示を飛ばされる。


「……んぅぅ!あぁクソっ!やるしかねぇ!フィレス!オレは冒険者に協力してもらうよう頼むからフィレスは住民の避難を頼む!出来るかっ!?」


「えっ、あ……は、はい!分かりましたっ!」


そのままヒビキさんは別方面に走り去っていき、私は1人取り残されてしまう。……正直、この街に思い入れは何一つないが、ヒビキさん達に助けられたのだから、指示に従うべきだ。


……ただ、急に逃げろなんて知らない奴に言われても信じて貰えないだろう。ならば方法をは1つ。事前に人の目に付かない場所で喉を竜の状態に戻し、咆哮をあげる。これにより、ドラゴンがすぐ近くにいると思わせやすくなる。


その状態で急いで老人や子供に避難を呼びかける。やはり叫んだのは有効だったようで、すぐにどこかへ走り去っていった。恐らくあの方向に避難所のようなものがあるのだろう。


私は街にいる人に片っ端から声をかけ続けていると、いつの間にか街から人が居なくなった。避難が完了したのだろう。そう確信すると急いで街の外へと向かう。もしかしたら私が説得すれば、街を滅ぼすのを止めて貰えるかもしれない。


淡い期待を持ちながら走っている最中、私の頭の中に一つの疑問が浮かぶ。


…………もし戦わなければならないのなら竜と人間……私はどちらにつけばいいのだろうか……?


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