番外編その1:ゴロゴロ日和


ミナが俺の事をご主人様と認めてくれたようで嬉しいですなぁ。やはり旅は絆を深めるね。

それで、今日はですね。旅でお疲れなのでゴロゴロします。宿屋でのんびりとベッドの上で寝る。ただそれだけ。


「……ご主人様、今日は出かけないの?」


寝ている俺にミナが馬乗りになる。


「そうだよ。今日は何もしないゴロゴロするだけの日。俺はそういう日を設けても良いと思うんだよね。」


ほらっ、あっちにいるユーリくんを見てみなさい。旅で疲れ過ぎたからめっちゃ寝てるぞ。ダンジョンとかでめっちゃ働いてもらったからな。ありがたい限りだよ。


「ミナもゴロゴロした方がいいよ。何事も休息が大事だからね。」


「そういうものなの?」


「そういうものだよ。人ってのは動き続けてると、ある日突然動かなくなったりするから、こうやって定期的に何もしないのが大事なのだ。」


仕事で働きすぎで燃え尽きたやつとかいっぱい見たし、何事も休息が大事よ。走りっぱなしは精神が持たない。


「じゃあご主人様と一緒に寝る。」


「OK、じゃあおいで」


ミナが布団に潜り込んで、俺と添い寝するような形となる。美少女と添い寝とは異世界の良さを満喫出来てるな。



……にしても、どうしようかなぁ。この世界に転生して早1年。そろそろ魔王が本気で世界を支配しに来てもおかしくない頃合だ。……仲間は増えてきたが、魔王に圧勝するならもっと仲間が欲しい。あと最低でも2人は欲しい。高速アタッカーとサポーターは揃ってるから高火力アタッカーかタンクが欲しいところ。


……今までは追放されたところをかっさらったり、奴隷を買ったりで仲間を増やしたわけだけど、今度はどんな感じにしようかな。強いソロの冒険者をスカウトするとか?もしくは人間以外の動物を仲間にするとか。……でもそう簡単にはいかないからなぁ。


「めんどくせぇ……」


そもそも俺に最強チート能力が備わっていたならこんな仲間集めなんかせず、魔王ボコって異世界ハーレムスローライフを謳歌していたというのに。あの堕天使のせいでめっちゃ遠回りすることになったし、ミナが悪魔の生まれ変わりとか言われてたけど、あの天使の方が余程悪魔っぽいけどな。


「ご主人様……どうしたの?」


ミナが心配そうな顔でこっちを見つめている。天使に対する怒りが顔に出ていたのだろうか。


「なんでもないよ。ちょっと嫌なこと思い出しただけ。……ストレス解消にちょっとモフらせて。」


「……んっ。」


やっぱりモフモフだよな。アニマルセラピーなるものがあるし、可愛いモフモフは精神に安定をもたらす。

個人的には猫より犬派だったけど、正直可愛いければどっちでもいいよな。


モフりまくったらストレスも和らいできたので止めようと手を離そうとしたら、ミナが手を押さえつけてきた。


「……もっと」


「わがままな猫ちゃんだこと。」


大事な仲間のご要望とあらば、聞かない訳にはいかない。なんせ頼りないリーダーだからな。こういうところで好感度を稼いどかないと愛想尽きて、パーティーから抜けられしまうかもしれない。

ミナの頭をゆっくりと撫でる。顔が蕩けているのを見る感じ、満足してるっぽい。


俺が弱いのはユーリくんにもミナにもとっくにバレてるだろう。だからこそ、弱くても俺と離れたくないって思わせるくらいに依存させる必要がある。今のところは結構成功してると思う。

まぁ、精神が弱ってる連中を選んで仲間に引き込んでるから作戦通りなんだけどね!


「……すぅ……すぅ……」


おっと、もう寝てしまったか。

まぁ、ミナも疲れてただろうしな。旅も復讐も大変だったもんな。……寝顔が前に比べて穏やかになってるな。復讐を終えて心残りがなくなったからだろうか。


……まだお昼くらいか。

このまま寝たら夕方くらいになってちょうどいいな。

……そして今日は何もしない日。だから今日考えたことは明日の俺に何とかしてもらおう。


「……寝るか。」


そうして俺は再び目を閉じるのであった。


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