第7話:飼い主の気持ちと飼い猫の気持ち
はい!ケモ耳っ娘GETだぜ〜!フッハッハッハッ!!今の俺は最っ高に気分がいい!歌でも1つ歌いたい気分……アカンアカン。精神が吸血鬼に乗っ取られかけたわ。危なぁ。
……にしても、この子どう活用しようかなぁ。俺は隣にいる彼女へと目を向ける。
どうやら周囲の人間に黒髪黒目がバレるとまずいらしいからとりあえず帽子でも被せるか。
良い感じの帽子買わないとなぁ……あと服もか。いや、それより先に体を綺麗にするとこから?……うーむ、考えることが多すぎて頭おかしくなりそう。
よし!とりあえず布被せて一旦、宿屋まで移動!それから考えよう!じゃあ付いてきたまえ。
……あっ、そういえば君の名前ってなに?分かんないと困るんだけど。……ない?まじかァ。……なら名前つけるか!そうだなぁ………………よし!
「今日からお前の名前は【ミナ】だ。」
由来とかは全くない!直感と雰囲気で決めた!俺はそこら辺のセンスないからなぁ。とにかく呼びやすい名前にする。それが一番楽だ。
……えっ、なんか微妙そうな顔されたんだけど。気に食わんかったのかね?なら別の名前でも……え?変えなくて良い?ならいっか。
「行くぞミナ。」
そのまま宿屋に向かい、ミナを綺麗にしていく。それにしてもさすが王都、宿屋に都合よく体洗える場所があるぜ。最先端技術が集まる都市はやはり違ぇな。ということで、ミナに体を洗って、洗い終わったら服着て部屋に戻るように指示して俺は退散!
そして今のうちに俺はミナの髪を隠す帽子と可愛さを引き立たせる服を買いに行く。なんて無駄のない計画だこと。俺が服買った店に行き、衣類をGET。
あっ、ちなみに奴隷商店に行くために買った服はもう着ないから売ったぜ!そのおかげで多少お金が返ってきた。
良い感じに大きめの帽子とかわいい服を買ったので宿屋に戻ると、体を洗い終えて、見違えるほど綺麗になったミナが居た。
……可愛い〜!!毛並みも艶々になったし、汚れもだいぶ落ちたな。これで何時でもモフれるわ。モフり放題だわ。
せっかくなので買ってきたお洋服をミナに着せてみる。その結果、更に可憐さが引き立てられて無事俺好みの見た目となった。非常に可愛い!
そんなこんなでさらに可愛くなったミナを眺めていると、突然扉がノックされ、ユーリくんが部屋に入ってきた。
「ヒビキさーん!ただい、ま……えっ?……そ、その子誰ですかっ!?」
……あ〜、なんて説明しよっかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……私の飼い主はよく分からない人だった。私のことを見てずっとニコニコしてるし、突然高笑いし始めるし。とにかく変なやつであることは間違いなかった。
「そういえばお前、名前なんていうの?」
「……名前なんてない。」
「ないの?まじかぁ、困ったなぁ。……うーん、じゃあ俺が名付けてやるよ」
「……えっ?」
「ちょっと考えるねー。…………よし決めた!今日からお前の名前は【ミナ】だ。お前にぴったりな良い名前だろ?まぁ、気に食わなかったら別の名前考えるけど」
「……ミナでいい。」
「おっ、じゃあ決まりだな。行くぞミナ。」
……ミナ……ミナ……自分につけられた名前を何度も反芻する。……って何をやっているんだ私はっ!……どうせコイツもクズなんだ。クズに付けられた名前なんて嬉しくわけがないっ。
頭をブンブンと振って頭の中をリセットする。
……もしかしたら精神を操る魔法でも使われているのかもしれない。
そう疑いをかけながらも歩いていると、宿屋と呼ばれる場所に着いた。
「それじゃ、裏手に体洗う場所あるからそこで体を綺麗にしたら体拭いて、服着てから部屋に戻ってね。俺は別のとこ行ってるから。」
そう言うと男は本当に私を置いてどこかへ行った。今のうちに逃げることも考えたが、体が勝手に動き始める。……体に刻まれた紋章のせいで命令には逆らえないのだ。だから逃げることはできない。
まぁ、久しぶりの水浴びなので、少しだけ嬉しいという気持ちはある。体がベタベタしてて気持ち悪いと常日頃から思っていたから。桶に溜まった水を頭や体にかけて汚れを落としていく。
……この石鹸?ってのを使うんだっけ。
……スンスンッ………………いい匂い…………
しばらく経って体を洗い終えると、他の人に見つからないようにそそくさと部屋に戻った。頭はタオルで巻いて隠してるからバレないだろうけど、万が一の時の保険だ。
恐らく私の容姿がバレたらここを追い出されるだろう。別にそれでもいいが、罵倒されたり、軽蔑の目で見られるのは嫌な気持ちになるから避けたい。
部屋に戻ったが、まだアイツは帰ってきていないようだった。仕方ないので、帰ってくるまで待つことにする。
……それにしても私はこれからどうなるのだろうか。……恐らく体を弄ばれたりするのだろう。もしくは使い捨ての雑用としてこき使われるか。ストレス発散に殴られるといったところだろう。金で誰かを買うようなやつがマトモなわけがない。
「……1人になりたい。」
窓から外を眺めて1人、部屋の中で呟いた。世界はこんなに広くて、美しいのに私はいつも閉じ込められて、醜いものばかりを見せられている。
……いつの日か私は生きてて良かったと言える日が来るのだろうか。
「ただいま〜。黄昏てんねぇ。」
「ひゃうっ!?」
物思いにふけっていると、いきなり背後から声がして思わず飛び跳ねてしまう。振り向くと、私を買った男が立っていてた。コイツ……いつの間にか帰ってきてたんだっ。
「そんなビックリする?まぁ、ドアノブ開ける時に音出さなかった俺も悪いかもだけどな!ハッハッハ!」
男は笑いながら右手に持っている袋を床に置いて中身を取りだし始めた。…………何を持ってきたんだ?
「フッフッフッ……せっかく新たな仲間をお迎えしたんだからプレゼントをね。じゃん!」
そう言って男は私の目の前に服を出した。フリルの付いたとても可愛い白い服。
「これ着てみて。多分似合うと思うから!着替えシーンは見ないようにするから安心してね〜。部屋の外で待ってるから、着替え終わったら呼んでね。」
そう言って男は私にその服を手渡すと、部屋から出ていった。…………プレゼント。私は手渡された服をジッと見つめる。
そして今来ている服を脱いで、その服に着替える。以前来ていた服よりも格段に良い材質で肌ざわりがいい。それに思ってたよりも動きやすい。
部屋にある鏡で今の自分を見つめる。……そこには見違えるほどの変化を遂げた自分が映っていた。これが本当に自分なのかと目を疑う。
…………とりあえず着替えたから呼ばないと。昂る気持ちを押さえつけ、男を呼び出す。
「おっ、着替え終わった?……ってめっちゃ可愛いっ!!」
……可愛い?……私が?……そんなこと初めて言われた。……生まれて初めて褒められた。……なんだか少しだけ心が温かくなるような感じがする。褒められるってこんな気分なのか。……悪い気分じゃない。
「よし!じゃあせっかくだしモフ」
そして男が何かを言おうとしたその時、コンコンッと扉がノックされ、ゆっくりと開かれる。そこから姿を現したのは私より少し大きいくらいの男の子。
「ヒビキさーん!ただい、ま……えっ?……そ、その子誰ですかっ!?」
……またよく分からないのが一人増えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます