第20話
「だから、こうなったのも、あたしのせいなんだ」
カナタはそう、話を終わらせた。
つまりだ、カナタは、小学生の頃の私。
私は記憶をなくしてしまっているが、昔は駄菓子屋をやっていたんだな。
中学生の頃は髪を染めて、学校もサボってばかりだったか。
高校に上がった頃のことしか覚えていない。
確かに黒髪に染めたし、まともに学校に通い始めた。
そうか、それなのに小学生の頃に戻りたいとか、何も知らないのもいいとこだな。
深夜の中でその話を聞いて、最初に出てきたのは謝罪だった。
「カナタ……いや、みーちゃん。私。ごめんね、ごめん」
その小さな体を抱きしめてやろうと手を広げると、カナタは苦しそうな顔をした。
「ゴミ女……本当に。自分で自分の過去も壊したくせに、戻りたいとか馬鹿言って。許してないからね」
カナタ、反対から読むと、タナカ。田中アカネのこと、本当はどうしようもない友達だと思ってたんだろうな。
虐められていたけれど、それでも友達だったな。
深夜二時にわざわざ来たのは、小学二年生、私とカナタが初めて話した時と同じ状況だからだろう。
カナタの右手に光るブレスレットは、かつての私が渡したものだ。
ガタガタに切られた、カナタの後ろ髪を撫でてやると、涙を流して抱き合った。
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