第13話

翌日、学校で。


噂が流れていた。あたしと山崎が――付き合ってるって。


恥ずかしいけど少し嬉しくて、でも一応「やめてよ」と言った。


山崎は、どんな反応をしてくれるんだろう。


「山崎ィー!鈴山と付き合ってんだろ、昨日のデート、見たぞ」


どうやら、昨日の公園で二人でいた時のことが見られていたみたいだ。


山崎の反応を待つと、彼はゆっくりと立ち上がった。


「やめてくださいよ、僕にも、好きな人を選ぶ権利くらいはあるでしょ」


冷たい声で、そう言った。選ぶ、ね。


そのまま教室を出て、空気は凍ったままだった。


「そう、だよ。あたしにも、いるんだから、好きな人くらい!」


そう誤魔化して、自分の席に戻った。つまんなそうな顔をする連中がずるい。


好きな人にあんなこと言われて、傷つかない乙女はいない。


あたしは、論外?


せっかく、付き合えるとか思ったのに。酷いや。


全く駄菓子屋にも行かず、ただ耐え続けた。


何がなんでも。一人で解決できるようにしなきゃ。

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