第7話

家に帰ってからは、研究みたいな。


放課後振鈴研究所ほうかごシンレイけんきゅうじょ」。


通学路の途中にある、なんか変なお店。


外装は汚い駄菓子屋。


でも、中は結構キラキラだよ。


家に帰ってもお母さんはいないから、一人でそこへ行ってるの。


店主のね、「桃乃ジュース」っていう女の子と話してる。


髪も真っピンク、すごい綺麗な女の子で、キラキラしてる。


ジュースって言うのは本名じゃないみたいだよ。


初めてジュースと話したのは、二年前。小学二年生。


深夜二時の空気が羨ましくて、家出した時。


ジュース、その時にすごい心配してくれてさ。


なんだか、居心地が良かった。だから、それからもたまに通ってたけど、今になっちゃ毎日。


お互い本名は明かさないのよ。そういう主義。


だから、あたしの名前は……夜空カナタっていうのはさ、偽名なの。


好きな小説家のペンネームだよ。


お互い騙りあって語り合うから、なんだか心が楽なんだよね。


「カナタちゃん、今日はどんなお話?」


すごい優しい声で、椅子に腰かけるジュースはなんだか大人。


「今日はね……」


なんでも聞いてくれるし、なんでもあたしの味方。


でも、たまにはジュースの話も聞きたいんだよね。






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