第15話

それから3ヶ月後の5月9日の朝7時過ぎであった。


またところ変わって、下妻市長駒しないながこまにある市営住宅だんちの一室にて…


居間の食卓には、多香子と夫の三河島あきひこ(58歳・工場の配送)がいた。


あきひこは、ブアイソウな表情で朝ごはんを食べていた。


テーブルの上には、白ごはんとみそ汁と目玉焼きときんぴらごぼうとひじきとたくあんが並んでいた。


あきひこは、朝ごはんを食べながら新聞を読んでいた。


この時、あきひこの連れ子・ふさこ(14歳・中学3年)が食卓にやって来た。


ふさこは、白のブラウスにマゼンタのリボンをつけて、ネイビーでエンブレムがついているブレザーとマゼンタとシルバーのチェックのスカートで白のルーズソックスの制服を着ていた。


右手には、ぺちゃんこになっている黒のカバンを持っていた。


ふさこは、冷蔵庫のドアを開けたあと中から紙パックの明治牛乳を取り出した。


そして、注ぎ口に直接口をつけてゴクゴクとのみほした。


多香子は、ふさこに対してやさしい声で言うた。


「ふさこちゃん…朝ごはんできているわよ…おとーさん…ふさこちゃんが来るのをずっと待っていたのよ。」


ふさこは、よりしれつな怒りをこめながら言うた。


「やかましいわね!!」

「どうしてそんなに怒るのよ…おとーさんはふさこちゃんと一緒にごはん食べたいと言うてるのよ…」

「うざいからイヤ!!」

「ふさこちゃん!!来年は高校受験があるのでしょ…おとーさんと一緒にごはんを食べながらどう言った高校へ行きたい…とかどう言った職業につきたい…と話さない…」

「やかましいわね!!そんなことを話しても、否定的な意見を言うわよ!!」

「おとーさんは意見は言うけれど、話せば分かる人よ…」

「やかましい!!」


(ガーン!!)


思い切りブチ切れたふさこは、ぺちゃんのカバンであきひこの頭を殴りつけたあと食卓から出た。


(バーン!!)


ふさこは、玄関のドアを力を込めて閉めた。


あきひこは読みかけの新聞をテーブルに叩きつけた後に腕組みしながらイラついた。


あきひこは、丸めた週刊誌を多香子に投げつけた。


丸めた週刊誌をぶつけられた多香子は、思い切りブチ切れた。


「なにするのよ!!」

「なんや!!テイシュに口答えする気か!?」

「やかましいDV魔!!」

「多香子!!」

「なによあんたは!!気に入らないことがあったら女房に八つ当たりするなんでドサイテーよ!!」

「なんだと!!」

「あんたね!!仕事仕事と言うて逃げないでよ!!」

「やかましい!!」

「あなた!!鏡に自分の顔を写してみたらどうなの!?」

「やかましい!!オレにメイレイする気か!?」

「やかましいわね前科持ち!!」


あきひこは、ものすごく怒った声で言うた。


「サイアクだ!!サイアクだサイアクだサイアクだサイアクだ…サイアクだーーーーーーー!!」


多香子は、ものすごく居直った声で言うた。


「そうよ…アタシはドサイテー女よ…こんなババァと再婚したので大失敗したと言うのであればなんとでも言いなさいよ!!」

「ふざけるなクソババア!!」


(バーン!!)


思い切りブチ切れたあきひこは、平手打ちでテーブルを叩きながらさけんだ。


その後、黒の手提げバッグを持ってイスから立ち上がった。


その後、グレーの作業用のジャンパーと黒のトートバッグを手に取った。


あきひこは、ものすごく怒った声で多香子に言うた。


「今夜は、新人の従業員さんたちの晩ごはんのお世話があるので帰りは深夜になる…」


あきひこは、多香子に対して突き放す声で言うたあと食卓から出た。


(バーン!!)


あきひこは、力を込めてドアを閉めた。


サイテー…


ほんとうにドサイテーだわ…


多香子は『こんなことになるのだったら、結婚なんかするのじゃなかったわ…』とつぶやいたあと気持ちがイシュクした。


あきひこは、前の妻にきついDVをふるった末に殺したイキサツがあった。


ふさこは、大好きだった母親をあきひこに殺されたのであきひこを激しくうらんでいた。


あきひこは、多香子と再婚したことを機に心を入れ換えてもう一度やり直すと決意したがうまく行かない…


それが原因で、多香子とあきひこは角つき合わせの大ゲンカを繰り返した。


多香子とあきひこの夫婦仲は、早くも険悪になった。


こんなことになるのだったら…


再婚しない方がよかったわ…


もうつらい…

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