第11話 秘密の採用試験②

え?それって二人で始めちゃうってことだよね?

俺は、盛り上がったらいいの? 萎えたらいいの?


その先の展開は予想がつくが、そういう問題じゃなくて……。

煌は複雑な心境になった。


榊は国民的ヒーローだから、そっくりさんで稼ぐというのはアリな話だった。

だから動画の中のエセカイも、「サカキさん!」と言いながら嬉しそうにしている。

そんな流れになったら、たしかに喜んで抱かれる男子がいてもおかしくない。



サカキはエセカイにキッスをしてあげるわけだが、そっくりさん故、画面越しにサカキのキス顔を見るのはまたまた複雑な気分だ。

いや、美しいよ、キスだけでこんなにエロい画面作れるのはすごいけど、俺のこの感情は何?

嫉妬ってわけじゃないし、見たくないわけじゃないけど……

うん、エセカイの方に集中しようっと!



エセカイは、憧れのヒーローに抱きしめられ、キスをされて、ほわぁ……っと夢見心地な表情だ。

時折、自分からもサカキの唇をはんでいく。

やっぱぬらぬら君じゃダメだよねー。


サカキが、エセカイの我慢の限界に来ているところに優しく触れる。


エセカイが恥ずかしそうにサカキを見上げる。

ホント、可愛いなエセカイ。



サカキは、エセカイの


――自主規制――


すると、エセカイは


「あっ♡ あっあっ♡」


と、声をあげながら、


――自主規制――




ぐったりするエセカイを抱き寄せて、サカキは、


「これからの訓練もがんばろうね。そしたら続きもしてあげるから」


と、言って頭をなでた。



♢♢♢



今回、エセカイの尻はタコのマッサージだけにとどまった。

シリーズものだからね、次回以降のお楽しみに……。


うん、楽しみ?

いや、やっぱりサカキが気になって仕方がない。

どうしてくれるんだ、この俺の衝動。


まあ仕方ない、俺の方はツバサの動画にお世話になるとして……



煌は報告書を作り始めた。

まず、タコ星人。

あれは本物だ。

顔出しだから、登録されていない野良タコだろう。


あとは、サカキの制服。

妙にリアルだった。

まさか、内部の人間が関わっているのか?


サカキのそっくりさんも、そっくりすぎる。

榊ファンなら悶えものだが……



疲れた。

エロ動画なのに。

あんまりリアリティを追うのも問題だなと思った。

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