第7話 パートナー
さて、ツバサのエロ動画を手に入れたのはいいが、いつ見るかだ。
悲しいことに、俺は常に榊と一緒にいなくてはいけない運命にある。
榊は、鬼切丸という最強の武器と権力を持っているが、それと引き換えに人生を丸ごとこの仕事に捧げる契約をしている。
ただ、唯一の榊のわがままが、俺が常にそばにいることだった。
孤児院育ちの俺たちは、兄弟のように仲良く育ったが、まさかこんなことになるとは……つまり、エロ動画ひとつ見れないくらい、そばにいることになるとは思わなかった。
はあ、エロにふけられる程度には一人の時間がほしい……。
ちなみに、ツバサが好きかと言うとそれはちょっと違くて、可愛いアイドルみたいなもんだ。
できれば……カイの”いやいやシリーズ”がほしい。
だが、カイが榊のそばにいたら、そんな不埒なことはできない。
どうしたもんかな……。
♢♢♢
カイとツバサは、寮では二人部屋だった。
あの日以降も変わらず過ごしているが、ツバサは、カイがなんとなくよそよそしいと感じていた。
今日は夜のパトロールの日だ。
カイは、また榊先輩にパートナーを頼んだが、煌が悪さをしないように見張らなくてはいけないから、と断られた。
二人は街に出た。
住宅地、公園、駐車場……と見回っていく。
「……今日は平和だね」
ツバサが言った。
「そうだね……」
カイが答えた。
「……カイ、なんか怒ってる?」
「え、いや、怒ってないよ」
「……なんか、最近、あんまり話してくれないから……」
「あ、うん……」
「何か……僕、気に障るようなことしたかな……?」
「そうじゃないんだけど……」
「……はっきり言ってよ……。僕は……カイと仲良く毎日を過ごしたいから……」
「え……あ、うん……その……」
カイは一瞬黙ったが、口を開いた。
「ツバサは……煌先輩と……エッチなことしたの?」
「え? してないよ」
「そ、そうなの?」
「するわけないじゃん。したら、榊先輩にみじん切りにされるよ」
ツバサは笑って言った。
「そ、そうなんだ! 二人で空き家から出て来たからてっきり……」
「まさかぁ。あれ、もしかして、カイは知らないの? 榊先輩が煌先輩を大好きすぎて、国家権力使ってパートナー契約してること」
「ええ?! 知らなかった!」
「噂によるとね、榊先輩、あんなに強いのに受けなんだって。だから煌先輩が来るのを待ってるんだけど、煌先輩はなんか榊先輩はそういう対象じゃないみたいで、ずっと平行線らしいよ」
「へ、へぇ……複雑な事情があるんだね……」
「なんだ、そんなこと気にしてたんだ。……それって……僕が他の人とイチャイチャしてたら、嫌ってこと……?」
「え、あ、いや……。宇宙人相手ならまだ……いいけど、身近な先輩が相手だと、生々しいなって……」
「……そう……なんだ……」
もしかして、カイも自分のことが好きなんじゃないか……と淡い期待を抱いたツバサは少しガッカリした。
そんな話をしていると、道路に倒れている人がいるのを発見した。
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