第四章

第51話 スキルの検証

 祝福の儀にもらった、加護や職業、スキルの書かれた羊皮紙。これは謎ファンタジー技術で、水鏡に映った結果を写し取り、一枚は教会で保存、一枚は本人が保管するのだと渡されたものだ。


 フルオライト・ルヴェール

 十歳

 人族

 男性

 職業:錬金術師

 ユニークスキル:アーティスト・精霊眼

 スキル:鑑定・インベントリ・魔力制御・魔力回復増大・無詠唱・詠唱破棄・調薬・抽出・攪拌・加工・錬成・計量・算術・記憶術・複写

 武術:短剣術

 魔法属性:全属性

 魔法:生活魔法・初級魔法・付与魔法・精霊魔法

 加護:芸工神の加護・精霊王の加護・火の精霊の加護

 称号:精霊の友


 めっちゃチートだよね? 異世界転生って言ったら、インベントリと鑑定だよね? 鑑定は凄く欲しかったから嬉しい。

 加護もなんとなくわかる。ラヴァは加護くれたって言ってたし、精霊王様も祝福をどうのって言ってたもの。

 芸工神様? の加護はガラス工芸すっごく上手くなりそうなんで嬉しいかな? あれ? でも祀ってあるところってどこだろう? 今度祭司様に聞いてみよう。お祈りしないとね。


 スキルは師匠の持っているのがあったから、錬金術師と関係があるスキルがほとんどかな? 魔力関係は多分にラヴァのせいかも。

 ユニークスキルの精霊眼は精霊が見えるスキルなのかな? それから『アーティスト』これがさっぱり。前世の意味からすると芸術家とかそんな感じだけど……あーもう!


 助けて師匠えもん!


「なんだそのえもんていうのは?」

「ははは、気にしないで! これ!」

「ああ、ステータス表か。いいのか?」

「師匠に隠す必要なくない? あと両親にも。イオはそのうちかな? わかるようになったらね」

「そうだな……調薬・抽出・攪拌・加工・錬成・計量っていうのは錬金術師の職業をもらうと出てくるスキルだな。薬師でも調薬・攪拌・計量辺りは出てくるかな。算術は勉強の成果、記憶術は先天性で授かるスキルに分類されている」

 へえ~先天性のスキルと、後天性があるのか。


「武術は……結構頑張ってたのに短剣術だけなのは、魔法使い向きって事か。魔力制御・魔力回復増大・無詠唱・詠唱破棄は魔法関係の適性があると出てくるが……まあ、いい。ルオだからな」

「ちょっと待って、師匠、なんだか貶められた気がする!」

「気のせいだ。あー、全属性か。そうか」

 師匠が手を顔に当てて、俯いてる!


「よし。得意属性は火属性、時空間属性の二属性にしておけ」

「どうして?」

「俺の弟子に手出しする奴はよほどの馬鹿なんだが、貴族学院に行くと湧くからな。気を付けるのに越したことはない」

 馬鹿が湧くとか師匠辛辣。全属性はアウトなのかな。うん、チートの気配がするから、アウトなんだろうな。

「なんで、時空間属性なの?」

「マジックバッグは時空間属性がないと、時間停止の付与ができないんだ」

「はい?」

「俺の特許だからな。マジックバッグ作製。がっぽがっぽだぞ。ルオは弟子だから使用料は免除してやる。だから早く作れるようになれ」

 まさかのマジックバッグ製作者! 師匠、チート過ぎ!

「待って、それ、自分のとこに来た注文を僕にやらせようとしていない?」

「まさか、そんな」

 視線が俺と合わないよ!


「あー、それでだ。精霊魔法は秘匿だ。エルフが絡んできそうだからな。ラヴァは精霊じゃなくテイムにしておくように。今は受肉しているから火トカゲとか言っておけばいい」

「ええ~」

「ラヴァが攫われるよりいいだろう」

「うん! そうする!」

「その器は出入り自由みたいだから、いざという時は大丈夫だろうが」

(でも、これは主の贈り物だから、出たくないよ)

「いざという時はね。逃げて欲しい」

(……わかった)

 不服そうだなあ。まあ、ラヴァは凄く、このガラスの器を気に入ってるからな。


「それで、この、【アーティスト】ってユニークスキルは多分、ルオしかもっていないだろうな」

「ええ? そうなの?」

「聞いたことがない。この芸工神様の加護が影響していると思われる。自分のスキルを思い浮かべてみると、使い方がわかったりする。ルオは鑑定があるからスキルに鑑定をかけるんだ」

「わかった!」

「鑑定は熟練度や知識が影響するから、人以外はなんでも鑑定をかけて使え」

「人はダメ?」

「何のためにスキルを秘匿してるんだ?」

「あ、そうだった」

「鑑定に見えるのは自分よりレベルや熟練度の低いものだから、あげられるなら、あげておいた方がいい。同じ鑑定持ちの鑑定を弾けるから」


「師匠、レベルって?」

「ここには出てないが、レベルというものが存在する。なぜか、魔物を倒すと上がるもの、だな。感覚的に上がったとわかるから、心配しなくていい。レベルが上がると、基本能力が上がるんだ。力が強くなったり、魔法の威力が増したりな。熟練度はスキルをどのくらい使ったか、だな。ルオはガラスの型を何度も作って、よりいいものができるようになったじゃないか? スキルも同じだ」

「なるほど!」

「このスキルの使用方法がわからなかったり、鑑定が効かない場合は何かが足りない場合がある。レベルだったり、使用条件だったりな」

「え、そうなの?」

「なにかわかったら教えてくれ」

「はい! 師匠、ありがとう!」

「魔法の属性がわかったからには魔法の呪文を洗いざらい覚えてもらうからな」

「え」

 悲報、学習内容が増大した件。


 そして鑑定は……


 椅子……ルヴェール家で使用。


 こんな感じで、情報がめっちゃ足りなかったよ! 【アーティスト】も全然わからなかった!


 片っ端から鑑定してやる~~~!


「あ、ルオ、スキルは、魔力依存と精神力依存、何も使わない場合があって、先の二つだと使いすぎると気絶したりするから慎重に……」

 もっと早く言って!


 俺は気絶して、起きたら両親にめっちゃ怒られた。当然師匠にも。

 はあ。

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