第36話 お見合いの儀
突然だが、オレにはこの異世界についての不満は、殆んど、ない。
だって、考えてもごらんよ。元の世界で女子に縁など微塵もなかったオレが、ヒメやチンチンのような超絶美少女に惚れられて、夜ごと〝チョメチョメ〟できている現状に『不満』など言ったらバチが当たるというモノだ。
ただ、この異世界を異世界足らしめている人種の多様性には驚かされた。
ハイエルフの美少女に、むちむちボンバーなダークエルフ、犬耳(狼耳?)の
しかも、何故か美少女に美女揃いである。オレの周りだけではない気がする。街を歩いていても、皆んな綺麗な顔立ちだ。
それから、自然についても大層過ごし易い。ただ、これから『夏』に向かうと多少暑くなるという話だが、この世界にはクーラーはなくても冷却魔法が存在する。部屋を丸ごと冷やすなどお手の物らしい。
あと、昼夜の区分というか一日の長さや、季節の周期(まだ数ヶ月しか過ごしていないので聞いた話だが)など、元の世界に良く似ている。それに夜天空に浮かぶ月も(いきなり3つあるとかでなく)元の世界の月に良く似ている。
こうして、つらつら並べて何が言いたいのかというと、植生については若干思うトコロはあるのだ。
いや、樹や草に違和感があるのは、別に構わない。それでも小麦粉に似た植物があり、パンも作られている。当初食べていたダンジョン飯の硬い乾パンと比べれば、ポプルルが焼いてくれるパンはふっくらと柔らかく美味しい。
しかし、日本人なら米が食いたいのだよ……(笑)。
日本人の『
ついでに言わせて貰えるならカレーライスが食いたいのだよ。
*
そして迎えた『インノ・オラ王国』の第九皇女シャナ姫との〝見合い〟の日であった。
オレは2つの驚きと、2つの喜びを味わう事になったのだった。
オレはヒメとチンチンとイクイクにその他のお供(メイドや侍女やガードなど)を連れて辺境都市ウルヒの『
そして、時間通りに転移門が白い光に包まれると、そこから総勢100人は居るかと思われる着飾った行列が吐きだされてきたのだった。
先頭は鎧甲冑に身を包んだ警備の騎士団が10名ほど。
その直ぐ後ろにメイド長と思しき美人。
そして、左右を5人ずつの筋肉質な美女(何故、筋肉質と判るのかと言えば『胸には晒しと腰に褌』という日本テイストでかなりエロい装束だったからだ)が担ぐ神輿の上には12歳の第九皇女シャナ姫殿下。
そのシャナ姫殿下にオレの視線は釘付けだ。
―― み、耳がああああああああっ⁉
イクイクの狼テイストな犬耳ではなく、ゴールデン・レトリバーのようなペロンと垂れた犬耳なのだ。
ステータスウインドーを、チラ見、したトコロ『獣人族』とあった。
あの、ペロンと垂れた犬耳……触りたい(笑)。
マジで触りたいですっ!
そして、更なる驚きが転移門から吐きだされてきたのだった。
シャナ姫の神輿に続いて吐きだされてきたのは、左右2人ずつ4人のメイドが下げた『米俵』が合計5つ(つまり、メイドが20人だ)。
「こ、こ、米俵、だとぅ!?」
オレの呟きにイクイクが反応した。
「やはり、東方生まれのトノには馴染みの『コメ』であるのかにょ?」
「『コメ』とは何に使うモノですの?」
「ヒメ、米は食べ物です」
オレの答えにヒメとチンチンが驚きの表情を見せる。
しかし、イクイクが更なる驚きを囁いた。
「トノには〝
イクイクの話を
『インノ・オラ王国』の〝見合い〟は相手の〝
しかも、魔法を使う事は〝ご
(いや、無理だろ……『米俵』って、確か60キロくらいの筈)
オレが怖気づいていると、イクイクが耳元で悪魔の囁きを。
「トノにはスキルの飛行魔法があるにょ♡」
「え? スキルなら使える、と?」
「当然にょ♡」
「お殿さまの〝
チンチンがオレに、ぴとっ、と寄り添って訴えてくる。ヒメは…………ふんっ、と面白くなさそうに鼻を鳴らしたのであるが。
そんな内緒話をしている間に5つの『米俵』の背後に残りの腰元っぽい従者たちも『転移門』から吐きだされて100人あまりの勢揃いだ。
メイド長や『米俵』を下げてきたメイドたちの衣装を見ると、こちらも妙に日本テイストだ。以前ヒメが(チンチンの『解呪の儀式』で)着た和風テイストの服に似ている。着物っぽい衣装に小さなエプロンをしている。何故『小さいエプロン』かというと、この世界の女性の服は前から見ると〝股下ギリ〟だからなのだ。エプロンが大きかったら〝股下ギリ〟の意味がなくなる。
まあ、男としては文句は全くありません(笑)。
いや、神輿に坐るシャナ姫の衣装も前だけ〝股下ギリ〟の
更に、『インノ・オラ王国』は『獣人族』の国なのだろうか、ほぼ全員が犬耳だ。ただ、シャナ姫のような〝ペロン耳〟は皆無でメイド長はじめ他の女性たちの犬耳はイクイクタイプの頭の上にとんがっている犬耳だったが。
ついでに言うと、全員女性である。まあ、今では『タダノ・ヒメノ屋敷』は男性の入村をお断りしているからだが(笑)。
などと美女軍団を観賞していると、メイド長が前にでてきて「本日はお日柄も良く……」などと決まり文句の口上を述べ、一方、イクイクが受けの口上を述べて、さて ――
その100人を先導して『タダノ・ヒメノ屋敷』まで行進である。
街道沿いに見物人が溢れて大変な騒ぎである。
そのまま、しずしずと行進は
更に、5つの『米俵』が行列の先頭に積まれたのだった。
と、なるとここで ――
『米俵投げ』の儀式だ(笑)。
「ええと、この『米俵』5つとも投げるのかな?……落ちた時に裂けて米が飛び散ったら勿体ない気もするのだけれど?」
オレが確認の為にそう訊くと、メイド長がオレの全身を舐めるように見て小莫迦にしたような顔で答えた。
「お1つで結構でございますわ……5メートルもお飛ばし戴ければ充分かと……ついでに申しあげるとその『米俵』には魔法を阻害する素材が織り込まれておりまして、落下の衝撃にも耐えられる優れものにございます」
絶対5メートルも無理だろう……という顔だ。いや、メイド長だけではなかった。背後に控えるメイドたちや腰元たちも完全に
良いけどね(笑)。
処がシャナ姫だけは、おろ、おろ、と困った顔をして俯いていた。可愛い。いや、〝ペロン耳〟がだよ(笑)。
それではイッツ・ショー・タイム。
オレは『米俵』を1つ担ぎあげて竜舎前の訓練場目掛けて放り投げた。いや、正確にはこっそり『※ スキル【飛行魔法】』を起動して『米俵』を飛ばしたのだが。
多分、100メートルは飛んだだろう。
振り返るとメイド長はじめ全員が、あんぐり、と口を開けていた(笑)。
シャナ姫だけは、ぽっ、と頬を染め、もじ、もじ、している。可愛い。いや、〝ペロン耳〟がだよ(笑)。
「シャナ姫殿下、確認の為に彼の地までご同行して戴けますかな?」
オレが手を差しだすと、シャナ姫がその手をとろうと歩み寄ってきた。
「お、お、お待ちください!……お
慌ててメイド長が間に割り込んできた。
まあ、良いけどね。
オレはその場で『※ スキル【飛行魔法】』の翼を広げて(最近は翼をだす必要はないのだが、投げたアレとの差別化の為だ)メイド長をお姫さま抱っこで抱えあげた。
「な、なな、にゃにを……なしゃい、まふぅ」
テンパったメイド長も、そこ、そこ、可愛い。
「しっかり掴まって居ないと落ちるよ」
オレは笑いながらメイド長ごと浮かびあがった。
「ヒメ、チンチン、ちょっと行ってくる……イクイク、皆さんを『後宮』にご案内して」
オレはそれだけ指示して、ゆっくり、と飛び始めた。
100メートルくらい1分も掛からないがメイド長に話もあったからだ。
「オレの首に腕を廻しても良いよ」
オレの言葉に微妙に照れた顔でメイド長が腕を廻してきた。
「行列の全員を確認できた訳ではないけれど……経験済みなのは君だけかな?」
「は、はいぃ!? ……な、にゃんにょ……なんの経験でございますか?」
「国王陛下の〝お手付き〟かな? それとも、彼氏が居るの? 【アルテ】さん」
おれはステータスウインドーで確認した【真名】で呼び掛けた。
すると、メイド長は真っ赤になって、とろん、と蕩けた顔を見せた。
なるほど、これが【真名】呼びの効果なのか。
オレは先ほど放り投げた米俵の上に降りると、膝の上にメイド長を降ろして唇を奪った。
「あむっ……(じゅるる、じゅずずっ)…(れるっ、れりゅ)…んふっ…(ずずずぅっ、ずじゅっ、じゅずずっ)…(じゅぷ、じゅぶぶぶぅ)…」
メイド長の、とろ、とろ、の口腔を舌で攪拌し、唾液を混ぜ合わせ、更に胸を揉みしだき、小さなエプロンの下にも手指を忍び込ませて
遠くに行列の行進を確認しながらオレは再度メイド長に訊いた。
「【アルテ】が経験したのが1人なのは判っている……相手は誰だい?」
「こ、国王陛下に数回ご寵愛を戴きました」
「そうか……そこそこ気に入っている【アルテ】を今回の『見合い』に同行させたというのは、イザ、という時は君が身体を張ってシャナ姫殿下をお守りせよ、という命令かな?」
メイド長は暫く視線を泳がせていたが、諦めたように、こくん、と頷いた。
更にオレはメイド長のナカから取りだした『透視玉*』と『盗聴玉*』を彼女の口に押し込んで言った。
「これも国王陛下の差しがねかな?」
「お、お許しく……く、らはひまへ……こ、これは、お
「それなら誰の指図かな?」
一瞬、返事を呑み込もうとしたようだったが、『【真名】呼びの効果』には逆らえなかったようだ。
「さ、宰相閣下でございます」
「100人くらい居たよね、全員確認させて貰うけど、構わないよね?……勿論、シャナ姫殿下も含めてだけど」
「お、お、お待ちください…ませ………ご、後生でございます、お
そう言ってメイド長は真っ赤になって続けた。
「わ、わ、わたくしで宜しければ一晩でも二晩でもご奉仕させて…い、戴きます……のでぇ……」
「いや、オレが女に不自由しているように見えるの?」
「し、ししし、失礼
「まあ、12歳のお姫さまを手籠めにする気はないけど……」
オレは少し考えて言った。
「二度と『インノ・オラ王国』には帰れないと考えて貰ったら良いかな?」
「ひぃいっ!?」
いや、当然だろ?
まあ、まだ『見合い』の段階だが、結果として『側室として輿入れ』するのであれば、言ってみればそれは『人質』である。これは現代日本と比べて封建的なこの異世界に於いて常識の
しかも、側に仕えるメイド長に『透視玉*』と『盗聴玉*』を仕込んだとなれば、本来なら戦争を仕掛けられる口実足り得るのだ。
「ひ、百人居りますメイドや腰元たちからお好みの者をお殿さまに差しださせて戴きます。わたくし以外全員『処女』でございます。どうか、お気が済むまでお遊び戴いて……それを持ちましてお
気づけばメイド長がその場で土下座していた。
まあ、〝全裸土下座〟でないのは些か
どの道、シャナ姫以外、全員検査は決定事項だ。裸に剥いて服から持物まで徹底的に検査させて貰う。
当然、ナカ、の検査はオレの仕事だし、興が乗れば〝戴いてしまう〟コトもあるかも知れない。『差しださせて戴きます』とは何と傲慢な物言いよのう(笑)。
【つづく】
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