第34話 『聖女』オクノ・アイドス

 オクノ・アイドス = 魔法学園の理事長にして、『聖女』……らしい。

 らしい、というのは……多分、本人も自覚していないからだ。

 そして、『聖女』は『魔』を滅する存在……らしい。


 オレは『魔』ではない。

 ……が、この世界にとって〝異分子〟であるのは間違いない。

 だから、軽い口付けでなく、舌を絡めようとしたら……拒まれたのではなかったのか。つまり、あれは〝警告〟だったのではないのか。


 それは、つまり、アイドスにと、滅されるかも知れない……という〝警告〟ではないのだろうか?


 『入村式』を済ませた夜は、(あくまで本人が希望すれば、だが)〝夜伽〟の儀式が待っている。

 そして、まもなく禊ぎを済ませたアイドスがオレの部屋へやってくる手筈(アイドスが希望した……あるいは了承した、という事だ)になっている。


 このまま、ヒメたちの部屋へ逃げてしまおうか……オレの中でそう囁く声がする。

 先ほどチンチンは、こう言った。


「『聖女』は存在自体で人々を癒やすのです」


 ヒメもこう言った。


「『魔』を滅する力があるのよ…『には」


 そして、何故かヒメが『加護を附与』すると言ってキスをしてきた。

 一方、チンチンは「必要ないのでは?」と言って言葉を紡いだ。

「あんなに魅力的な先生がお相手なら、お殿さまにはおひいさまの『回復魔法』も、わたくしの『催淫魔法』も、必要などありません」


「でもね、さっきチンチンが『朝まで5回は気を失う』って言ったのに……も、もしもよ…そうならなかったらモブが恥を搔くのよ」


 いや、まあ、そこは心配ないと思うが。

「大丈夫でございます……アイドスさまがお相手なら、朝まで5回と言わず、6回でも、7回でも、10回でも、お殿さまの『お道具』は雄々しく在らせられます♡」

「それはそれで、ちょっと腹立たしいのだけどぅ!」

 ヒメがチンチンの指摘に鼻を鳴らした。


「おひいさまは、勘違いなさっています……アイドスさまは、お美しいだけでなく、お可愛らしく、スタイルも良く、おっぱいも大きく、賢く聡明で、お優しく……これらの美点を挙げてもお気づきになりませんか?」

「う~ん……モブの好みのど真ん中、よね?」

(ま、まあ、大体合ってるが……しかし、それって世の男凡てに〝どストライク〟なのだよ、ね?)

「そこがおひいさまの勘違いなのです」

「どこがよ?」


「先ほど挙げたアイドスさまの美点……それは凡ておひいさまではございませんか?」


「そ、そそ、そう、かしら?」

 ヒメが珍しく照れている。

 あまりに可愛かったので抱き締めて唇を奪った。

「うんむ、あむ、はむん…れろ、える、るちゅ……」

「ぷあっ……も、モブぅ?」

「前にも言ったよね、オレにとって〝ヒメが一番、チンチンが二番〟これは誰が現れても変わらない」

「むうう、なんとなく上手く丸め込まれたみたいな~」

「チンチン、おいで」

「仕方ございませんね、わたくしの『身守り』の闇魔法をお殿さまの中に♡」

 チンチンの唇から暖かい魔力が流れ込んでくる。

 『闇』魔法なのに温かみを感じる不思議な魔力がオレの臍の下辺りに溜まってゆく。


「お、おと、お殿さまあ?……ま、まだ〝硬くするのは〟早いですよう……そ、それはアイドスさまのお夜伽の折にぃ!」


 い、いや、チンチンさん、それは口にださない方が……

「ちょっとぅ、モブぅ?」

 ほ、ほらね?

「お母さまもそうだけどぅ……なんでわたくし以外の女の人に〝硬く〟するのよぅ!」


「お、おひいさま……それは違います……お殿さまがおひいさまと……き、キスなさる時は既に〝最硬度マックス〟になっていらっしゃるのです!」


「うん、それが正しい……」

 オレが頷くとヒメが、ちろんっ、とジト目をくださる。

「ほら、おいで♡」

 オレは有無を言わせずヒメを抱き寄せてハグをした。それだけでなく、ヒメの柔尻を揉みながらオレの下腹部を、ぐり、ぐり、押しつけた。

「ば、ば、莫迦~~!……わ、判ったから~、モブのえっちぃ!」


 真っ赤になって視線を泳がせるヒメが可愛くてオレはそのままお姫さま抱っこでヒメたちのベッドに運び、予定外の行為に至ってしまったのだった。勿論、チンチンも引き込んで〝3のPなる行為〟に勤しんだのだった(笑)。



 小一時間後、改めて2人から魔力の補填を受ける始末だった(笑)。

「これで、おひいさまの『加護』も、わたくしの『身守り』も、お殿さまを充たしておりますわ♡」

「これなら、朝までアイドスを、ヒイ、ヒイ、言わせられるわね♡」

 ヒメが満足げにのたまったのであるが。


          *


 余計な時間を浪費したオレは、急いで湯浴みを済ませて部屋に戻ると、直ぐに控えめなノックの音がした。


 そして、純白の超透け透けベビードールにその豊満ボディを包んだアイドスが入室してきたのだった。この屋敷の女性の好みなのか裾丈は股下ギリである。

 ヤバい、漆黒の髪を映した下草が、ちら、見える。

 一方、オレはいつもの〝パン一〟だ。

 アイドスの視線が、ちら、ちら、きている(笑)。


 そして、その場で膝をついたアイドスが両手を『ハの字』について深々と頭を下げる。

「不束者ではございますが、長くご寵愛戴けますよう努力致しますので、宜しくお願い致します」

「こちらこそだよ」

 オレは同じようにアイドスの前に膝をつき、彼女の手をとって立ちあがらせた。

 そして、全身に視線を投げて言った。

「とっても素敵だ♡」

「わ、わた、わたくし……こ、こんな若いお嬢さまがするような格好で……は、恥ずかしい、ですぅ」

「なんで?……似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます」

 オレはアイドスを引き寄せて、ぎゅっ、と抱き締めた。


「ひぃいっ!?」


 まあ、いつもの悲鳴だ(笑)。

「あ、あの……だ、旦那さま、とお呼びしても宜しいでしょうか?」

「構わないけど……そう言えば、『旦那さま』って呼ばれた事ないなあ?」

「だ、駄目でございますか?」

「いや、アイドスらしくて良いかな……って、アイドスって呼び捨てでも構わない?」

「はい、勿論でございます♡」

 オレは抱き締めたままのアイドスにキスしようとして、何か違和感を感じた。


 ヤバい、やっぱりダメか?


 ここでまた〝空振った〟ら、絶対に不信感を植え付ける。

 オレは、ふと、思いついて言ってみた。

「さっきはオレからしたから、今度はアイドスからキスして欲しいかな?」

 うん、良いアイデアだろう?

 その言葉を聞いたアイドスが瞬時に真っ赤になった。

「わ、わた、わた、わたくし……ぶ、不調法で……け、け、経験がございません……ので…」

「大丈夫、さっき皆んなの、ちゅー、を見ていたでしょ?……あんな風に軽く唇を合わせて吸ってくれれば良いんだ♡」

「か、かしこまりまひは……はぅ」

 語尾を噛んだアイドスが可愛すぎる。

 正直、辛抱溜まりませんっ!

 でも、我慢だ(笑)。

 少し待たされたが、覚悟を決めたアイドスがオレの首に両腕を廻して唇を押しつけてきた。

 柔らかい。良い匂いがする。


 控えめに押しつけたアイドスの唇を、誘うようにオレの舌先でノックすると、躊躇ためらいながら彼女の舌が這入ってきた。


「んむっ…(ちゅる、える、るろぅ)…(ちゅろ、ちゅる、ちゅぷ)…んぅ、ぷあっ…」


 オレの舌に触れると慌てて逃げ惑うアイドスの舌先を唇で挟むと、諦めたのかオレの舌に絡ませてきた。互いの唾液が混ざり合い、卑猥な水音が部屋に満ちる。

 そろそろか…………

 オレはアイドスの背と膝裏に腕を廻して〝お姫さま抱っこ〟で抱きあげてベッドの中央に降ろした。

 その彼女の視線を充分に引きつけてから、オレはパンツを脱いだ。

 アイドスが耳まで真っ赤になって〝ガン見〟している。

 ベッドに登って膝立ちでアイドスの顔の前に進み、魅せつける。

 アイドスが〝ガン見〟したまま言った。


「だ、旦那さまの〝お道具〟から、純白のオーラと、漆黒のオーラが立ち昇っていますわっ♡♡♡」


 もう、マジで限界だった。

 オレはアイドスを横抱きにしてキスの雨を降らせたのだった。

 結論から言うと、がっつり、シテしまいました。


 というか、アイドスからシテ貰うと問題なくできるのだ。

 つまり、アイドスからちゅーしてもらい、アイドスに上になって貰って下からオッパイやらナンやら弄って、最後は《乗馬風の位置どり》でシタのだった。

 アイドスは真っ赤になってオレの指示にしたがっていたのであるが。

 ちょっと可哀想に思ったが……何事も慣れだ(笑)。



 結局、滅される事なくアイドスの夜伽は無事終了したのだった。



            【つづく】

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