第33話 タダノ・ヒメノ屋敷においでよっ!
魔界ダンジョンから戻るといきなり応接室に呼ばれた。
そこには、ヒメ、チンチン、イクイクがソファーに坐っており、メイド長とシルク・ラク(ビキニアーマー)とキクル・クル(控えめなローブ)が背後に控えていた。
そして、対面に美人さんが坐っていたのだった。
誰だろう?……何処かで会ったような気がするが、ハッキリとは思い出せない。
オレはいつもの席(ヒメとチンチンの間)に坐って、対面の美人さんのステータスウインドーを確認した。
名前=オクノ・アイドス(本名=アイドース・ビジュ(貴族)・真名【シャイネ】・オクノス
性別=女(経験値=処女)
年齢=26歳
種族=ヒューマン
レベル=326
ジョブ=魔法学園の理事長(聖女)
HP=9864/9864
MP=27354/27354
STR=498
VIT=552
DEX=238
AGI=341
INT=10035
LUC=927
そうか、思い出した。『魔法学園』の理事長さんだ。
んっ!?…【ジョブ=魔法学園の理事長(聖女)】?
『聖女』…………って、何だ?……職業、なのか?
確か、治癒魔法を使って人々を癒やす…んだったか?
そういえば、ヒメは『聖職者』だったよな?
どう違うのか?
後で確認しよう。
ちょ、待て、まてぇええっえっ!?……しょ、処女なの?
マジか!?……勿体ない…………いや、いや、いや、勿体ないって、なんだ(笑)。
だから個人情報を無闇に見たらいかんと決めたよな。
「こちら、魔法学園の理事長先生にょ!」
「オクノ・アイドスでございます」
「色々都合が良いのでここに住んで貰おうと思うにょ♡」
イクイクの言葉にオレの左隣に坐るヒメのコメカミに、ぴく、ぴくくっ、と怒りマークが浮かんだ……ような気がする(怖くて確認できません(笑))。
右隣のチンチンは……声を堪えて笑っている、らしい(何故だ?)。
「トノに〝入村のご挨拶のちゅー〟をするにょ♡」
「ちゅ、ちちち、ちゅー、というのは……き、ききき、キスで……ごじゃひますか?」
(あ、噛んだ(笑))
「そんなに緊張……うぷ……なさらなくても、大丈夫ですよ」
魔法学園で顔見知りのチンチンが(笑いを堪えて)促した。
「で、でもぅ……わ、わたくし……こ、この歳まで男性との……ご、ご縁がなく……ぶ、ぶぶぶ、不調法でございまして……」
真っ赤になって言い募る学園長、可愛い。
「あら、そうなのね……」
それを聞いたヒメが(何故か?)嬉しそうに言った。
「心配要らないわ……全てをモブに任せて、委ねれば良いのです……こんな風に…」
そう言ってヒメがオレの首に両腕を廻して唇を突きだしてきた。
(キスしろ……というコトだよな)
後でスネられても面倒なのでヒメの機嫌を取っておく。
「はむんっ…(れる、えろ、るろぅ)…(ちゅろ、ちゅる、ちゅぷ)…んぅ、ぷあっ…」
トコロが、ヒメのキスが終わるのを待ち兼ねたようにチンチンもキスしてきた。
「あむっ…(じゅっ、じゅるる、ぢゅずずっ)…(れるっ、ちゅぷ)…んふっ…(にゅぷ、にちゅ、にゅぽっ)…ぅん、くふぅっ…」
更に、いつの間に並んだのかイクイク、メイド長ともキスさせられた。
訳が判らん(笑)。
メイド長など本気で唾液を混ぜ合わせてくる始末だ。
「むちゅぅ…(ずっ、ずずずぅっ、ずじゅっ、じゅずずっ)…(じゅぷ、じゅぶぶぶぅ)…んぐっ、こきゅっ!」
そのまま、ついでのようにシルク・ラクとキクル・クルも列に並んで唇を突きだしてきたのだった。
結局、応接室に居た全員とキスさせられた後でヒメが学園長を手招いた。
「ほら、あなたの番よ、アイドス」
「え、えっと…」
微妙に尻込みする学園長の背をイクイクが押してオレの前まで連れてきた。
そして、オレの前で学園長は真っ赤になって目を瞑り唇を突きだした。
その顎に手を添えて、オレはアイドスの唇にキスをしたのだった。
「むぅ、うむぅ…ん、んぅ…」
唇を押しあてるだけのキスをして、ちょっと顔を離し、オレは訊いた。
「舌も入れて良い?」
オレの目の前でアイドスがキョドる。
まあ、返事を待つ気はなかったオレは、アイドスの後頭部と顎とを両手で固定してもう一度唇を押しつけようとしたのだが……
―― 何故か、空振った。
オレの唇がアイドスの唇を避けるように横に逸れて彼女の頬にキスしていたのだった。
(何が起きた!?)
そこへ、お茶のお代わりのポットや追加のお菓子など乗せたワゴン車を押して入ってきたナコチが大声をだした。
「あー!…あたしも、ちゅー、するですぅ♡」
そのままワゴン車を置いてオレの前まできたナコチが唇を押しつけて、舌も挿入してきたのだった。
「んむぅ……(ちゅる、ぴちゅ、ちゅぷ)…(れりゅ、えりゅ、るろぅ)…(るちゅ、える、れりゅ)…ん、んぅ…(るちゅ、れりゅ、りゅち)……ぷあっ♡」
オレの口腔を嬲り、唾液を混ぜ合わせ、卑猥な水音を立てるナコチ。
その直ぐ横でアイドスは(オレが後頭部と顎を放さなかったので)ナコチのエロいキスを触れた頬越しに追体験させられたのだった。
やがて、満足したナコチが仕事に戻ると、真っ赤になってその場に立ち尽くしていたアイドスにヒメが言った。
「ほ、ほらね…ちゅー、とか全然大したコトないからね」
そして、いつの間にか背後に戻り澄まし顔のメイド長を指さして言ったのだった。
「このメイド長だってあなたと同じ歳で初めてだったのよ……だから、〝夜伽〟だって心配するコトなんかないのよ」
「お、お
メイド長が〝余計な訂正〟をした。
「どこが違うのよ?……あなた、初めての時はモブの下で泣きそうな顔で、ヒイ、ヒイ、言わされていたのに、今じゃあ自分から跨がって…」
「お、おお、お
可哀想に処女だったコトまで暴露されたメイド長が抗議の声をあげる。
しかし、メイド長の抗議など誰も取り合わない。
更に、チンチンがアイドスに言った。
「わたくしも〝初めて〟でしたけれど…お殿さまが、たっぷり、時間を掛けて解してくださいましたから、一晩中夢のような時間でしたよ♡」
「そう、そう……あなたは……ん?……かつ、お?……になってれば、良いのよっ!」
「ヒメさま、そこは〝まぐろ〟にょ♡」
「そ、そうとも……い、言うわね……」
(いや、だからイクイクってば何処から拾ってくるのさ(笑))
「あ、でもぅ、あなた回復魔法をスタンバっておきなさいよっ!」
「ええっとぅ……回復魔法、ですか?……タダノさま、いえ、ごしゅ……ん?、旦那さま?……に、お掛けするのですか?」
「莫迦ね、自分用に決まってるわよぅ……途中で気絶して終わり、とか…あり得ないでしょ(笑)」
ヒメの指摘にチンチンが詳細を追加する。
「そうですよ、たぶん朝までに5回は気を失なうでしょう……ですから、5回か6回分の回復魔法を自分用に『自動発動』するようにスタンバっておきなさいね♡」
「そ、そそ、その手があった……」
メイド長が何か言い掛けて慌てて口を押さえた。
「ぷふぅ……ねえ、モブぅ?…
「お、お
焦るメイド長が
「そういうコトを訊くのは、はしたないですよ」
(あっさり気絶してしまったので(笑)……勝手に2、3回使わせて貰ったけれど(笑)、まあ、黙っておいてあげよう)
*
その夜は『恒例』の入村式だ。
26歳のアイドスのフォローはご母堂さまとギルマスが買ってでてくれたので、無事(?)終了した。
そして、夜の儀式の前に確認したい事があったので、オレはヒメとチンチンの部屋を訪れた。
「『聖女』ですか?」
ヒメが小首を傾げ、チンチンが考えながら口を開いた。
「確か、神話級のジョブ……いえ、『勇者』とかの英雄の一人……でしたでしょうか?」
「ヒメは『聖職者』だったよね?……どう違うの?」
「いえ、わたくしのは、ただの『聖職者』という『ジョブ』ですから、『英雄』という『ジョブ』とは全く別物ですよぅ!」
「でも、『聖職者』は魔法で傷や病とかを癒やすのだよね?」
オレの問い掛けにチンチンが考え考え言葉にした。
「『聖職者』の癒しとは少し意味合いが違うと思います……『聖女』は存在自体で人々を癒やすのです」
「う~ん、良く判らん(笑)」
「ま、まあ、わたくしにも良く判っておりません」
チンチンが苦笑しながら訊いた。
「『聖女』さまと、何処かで出会われたのですか?」
「いや、そういう訳ではないのだけど……」
今は言わない方が良いように思った。
「そうだわ……『魔』を滅する力があるのよ…『聖女』の癒しには」
ヒメが思い出したように言った。
今、この屋敷には2人、『魔』の者が居る。
住人ではないので『入村式』には呼ばなかったが、結果的に良かったのだろう。
それと、オレの『エロいキス』が弾かれたのも……何か関連があるのだろうか?
多分、だが……アレ(キスが弾かれた)に気づいた者は居ない……と、思う。オレがわざとお道化て『頬にキスをした』と、見えたはずだ。
勿論、アイドス本人も、だが。
これから、アイドスと〝床入り〟だ。オレ、滅せられないだろうなあ(笑)。
いや、笑い事ではない……
う~ん?
【つづく】
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