第22話 新しい日常

 2日後の朝 ――


 我々新結成のパーティは『第12ダンジョン』の第6層に向かった。

 昨日の内に第4層と第5層をクリア。

 第5層のボスは新人2人に任せたら少し手間取ったが、オレがヘルプして無事クリアだ。2人の視線が熱いぜ(笑)。

 できれば今日中に第7層の『ラスボス』まで攻略して、新人2人のレベルあげを済ませたい処だ。

 明日は休日だしね。オレ的にはヒメたちにご奉仕させられる訳だが(笑)。


 第7層の『ボス部屋』までは、まあまあ、つつがなく攻略した。

 新人2人の疲労が溜まっているようなので『待機部屋』で昼食件休憩をとる。

 ゆっくりと食事を終えるとイクイクが言った。

「トノ、2人に魔力の補填をしてやってください」

「えっ?、いや、オレは……」

 やれない事もなさそうだが未経験である。それを言おうとしたらイクイクが小声で言ってきた。

「えろい、ちゅー、をしてやれば元気になるにょ♡」

 まったくこの女イクイクはっ! まあ、正しいけどね(笑)。

 オレは早速ラク(通称〝ビキニアーマー〟)を膝の上に抱き寄せて唇を奪った。あれ?、このと、ちゅー、するの初めてか?(彼女にとっても初めてだったら申し訳ない、か?)

 ラクは両手を胸の前で握り締めて微妙に震えている。マジでお初ファーストキスだったかなあ?

 それでも、たっぷり、口腔をまさぐり倒して『医療行為』をしたのだった。

 唇を開放すると、とろん、とした顔で見あげてくる。あまりに可愛かったのでもう一度唇を奪い『医療行為』を追加したのだった(笑)。

「ごめんね、初めてだったよね?」

「……だ、だだ、大丈夫、でごじゃ、ひま、ふぅ……」

 舌を縺れさすラクが可愛くてもう一度唇を寄せると袖を引かれた。

 視線を向けるとクル(通称〝控えめなローブ〟)がオレに身体を寄せて、下半身を微妙に、もじ、もじ、させていた。

「あ、ああ、あたし、も……ま、魔力の補填を……おにゃがひ…ひまふぅ…」

 こっちも、なまらとてもめんこかった可愛かったのでラクを降ろしてクルを膝に抱いた。

「はむん♡、あふ、はふぅ…」

 流石は彼氏持ち(笑)、自分からオレの首に腕を廻して唇を押しつけてきた。直ぐに舌まで入れてきた(笑)。

 オレは昨夜と同じように胸を揉みながら『医療行為(笑)』をしたのだった。


 そんな『医療行為』の成果か、『ボス部屋』での2人の活躍は目覚ましかった。

 ラクは、初めてのオーガ相手に怯む事なくロングソードで切り掛かり、クルも最大級の火炎魔法をもう1体のオーガに見舞っていた。

 勿論、マータたちの的確な指示とフォローで見事『ラスボス』を退治したのだった。


 『ボス部屋』の出口に設置された魔道具に『ギルドカード』を翳して【マーキング】する2人が誇らしげで、オレたちも嬉しかった。



 それからオレたちは、酒場の宿を引き揚げてお屋敷へ戻ったのだった。

 ラク(通称〝ビキニアーマー〟)とクル(通称〝控えめなローブ〟)も、近衛の2人から新メンバーとしてのOK了承もでた。

 今夜は2人の歓迎会……アンド夜のご奉仕の〝最終奥義〟が待っている(笑)。

 あれ?……彼氏持ちのクルは最終奥義をしても大丈夫なのか?



   ■ヒメノ・ヒメ視点■


 その頃わたくしは『竜騎隊』の視察に来ていた。

 お屋敷の裏手に大きな空き地を作り、騎竜ワイバーンの発着や訓練、及び飼育の施設にしていた。大きな竜舎の前でピーとプーに4人の新人が勢揃いしていた。

 『竜騎隊』の拡充は急務だ。

 言い方は悪いがあの女第三皇女から横槍が入る前に、それなりのレベルに育てたい。

 わたくしの『竜騎隊』は国王陛下おとうさまあの男宰相からやっと奪ってくださった〝ご褒美〟だ。失うようなはできない。


「〝第一夫人閣下〟に敬礼っ!」

 副隊長のプーの掛け声で6人が、びしっ、と敬礼する。わたくしはそれに返礼しながらも、ちょっと恥ずかしい。

(『第一夫人閣下』って、なによ~~~!)

 お母さまのこの屋敷での呼び名が『大奥さま』なので、わたくしは初め『若奥さま』と呼ばれていた。とても恥ずかしかった。

 だからと言って、いつまでも『第七皇女殿下』でもないし、『おひいさま』もそろそろ面はゆい。それらに代わる呼び名をとイクイクに頼んでおいた結果がこれだ。


(もぅ、どれも嫌~~~っ!)


「それでは訓練を始めますので〝第一夫人閣下〟はお掛けになって……あ、椅子をご用意しておりませんでした、申し訳…」

 ピーがそこまで言った時、背後に人影があり椅子が置かれた。

 ミクメイド長だ。

 しかし、これから部下が訓練をするのに坐る訳にはいかない。

「お掛けくださいませ……その方が彼女たちも安心して訓練に従事できます」

 わたくしが生まれた日に、7歳の若さでわたくしの専属メイドになり、以来18年わたくしに仕えてくれているミクメイド長の言葉に従うのが正しい。

 わたくしが腰を降ろすとピーが言った。

「ありがとうございます、メイド長さま……それでは訓練を開始します」


 全員が隊列を組んで竜舎に入り、直ぐに騎竜ワイバーンに乗って次々と訓練場の上空に浮かんだ。そのまま編隊を組んで3周上空を旋回してから、1騎ずつ急降下してゆく。

 見ればその先、訓練場の外れに、大きな岩(?)の壁のような物が立っている。

 そこに向かって騎竜ワイバーンが真っ赤なブレスを放った。


 わたくしは背筋が震えあがった。

 あの日の記憶が蘇った。

 おばばさまの予知に沿って『転移魔法』であの地に顕現した時、何処からか紛れ込んだ飛竜ワイバーンが放った〝真っ赤なブレス〟が、わたくしを襲った。

 それまでもマータやイクイクとダンジョンにも潜っていた。戦闘も経験した……気になっていた。

 違った。

 わたくしは皆に守られながら戦っていたに過ぎなかった。

 飛竜ワイバーンの羽ばたき程度で転んだわたくしなど、格好の餌食だった。

 こんな処でわたくしは死ぬのか。

 情けなさに涙が滲んだ。

 その霞む視界に何かが飛び込んできた。

 最初は別の魔物かと思った。それほど酷い顔に見えた(今は違うけど)。

 しかし、それが人族の男だと判ってわたくしは唖然とした。

 ペラペラの装備しか身にまとっていないこの魔物顔の男が飛竜ワイバーンのブレスを跳ね返すなどありえない。

 わたくしはこんな醜い顔(今は違うけど)の男と一緒に死ぬのか。

 情けなくなった。

 しかし、

 その醜い顔(今はほぼ違うけど)の男がなにか叫ぶと、その背後に真っ白い大きな翼が生まれた。

 そこへ飛竜ワイバーンの真っ赤なブレスが襲った。

 数歩離れたわたくしの処まで激しい熱波が届く。

 その醜い顔(今は全然違うけど)の男の額から汗が滴り落ちる。


 そして、なんという事だ。その醜い顔(今は全く違うけど)の男は飛竜ワイバーンの真っ赤なブレスに耐え切ったのだ。


 ブレスが途絶えた瞬間、マータとイクイクが反撃したのが見えた。

 助かった。

 安堵するわたくしをその醜い顔(今は絶対違うけど)の男が、ちら、ちら、見ている。

 なんだろう……と、その醜い顔(今は完全に違うけど)の男の視線を追って、わたくしは真っ赤になった。


 転んだ拍子に両足を開いた体勢でわたくしは、その醜い顔(今は……違うけど)の男に、し、し、し、下着を晒していたのだ。


 わたくしは手にしていた『王錫おうしゃく(我が王家の秘宝である)』をその醜い顔(今はそんなコト思ってないけど)の男に向けて狙いを定め、詠唱を始めた。

 毎日の訓練で完璧にそらんじている魔法をその醜い顔(今はちっともそんなコト思ってもいないけど)の男に向けて放った。


 あ、うそ、まってっ!


 この醜い顔(今はまったくぜんぜんそんなコト思ってもいないけど)の男はわたくしを庇ってくれた恩人ではないかっ!

「ダメ ――――っ!!」

 わたくしの悲鳴が指先をわずかに震わせた。

 間一髪でその男わたくしのモブの髪の毛を2、3本巻き込んだだけでわたくしの放った氷のブレスは彼の背後にいた飛竜ワイバーンにトドメを差したのだった。



 わたくしが悪夢から覚めるとミクメイド長が耳元で囁いた。

「一通りの訓練が終わったようです、手を振ってあげるのが宜しいかと」

 視線を空に向けるとまた編隊を組んで周回していた。

 わたしくしが大きく手を振ると、答えるように先頭の(多分ピーの)騎竜ワイバーンが、


「キシャアアアアアアアンっ!!!」


 と、嬉しそうに吠えた。

 それから一列になって竜舎に向かって滑空してきたのだった。


          *


 その日の内にお屋敷に戻った我々は旅装を解いて一休みだ。

 直に夕飯になる。

 タダノ・ヒメノ屋敷では基本的に全員で揃って食事を摂る。当然、警備の者とかその場を離れられない者は交代制だが。

 その為に屋敷で一番広い部屋を食堂にした。床は日本の畳のような素材を貼ってコの字型に『坐りテーブル』を配置して全員床に坐る。

 宴会の時など『コ』の切れ目から人が入ってお酌などする。なのでその反対側が『上座』扱いだ。中央にオレ、左隣にヒメ、右隣にチンチン、といつもの並びだ。


 そして、新人の〝入隊式〟は……アレだ(笑)。


 先導役のポプルルとナコチが〝いつもの衣装〟で登場だ。

 あれ?、本来2人の間に入る新人2人が居ない。

「む、無理ですぅ……こ、こんな大勢の前でなんてぇ!」

「恥ずかしくて、死んでしまいますぅ!」

 何処かで聞いたような科白だ。

「そんなコトでどうします?……わたくしに付いてきなさ~~~いっ!」

 えっ?、この声は?

 ヒメの隣に、ちらっ、と視線を投げる。そこに居る筈の〝お方〟がいらっしゃらない。

 ヒメも諦め顔だ。

 そして、2人を引き摺って『大奥さま』が堂々と立派なお尻を振りながらの登場だ。

 ポプルルとナコチの間に3人がスタンバって、さてお尻を向けると始まった。


   ズンチャチャ、ズンチャ、

        えいっ、えいっ、 えいっ、えいっ!

   ズンチャチャ、ズンチャ、

        はいっ、はいっ、はいっ、はいっ!


 恒例の、ぷりん、ぷるるん、の尻振りダンスを披露である。いつもよりたくさんたくさん廻しておりま~すぅ(笑)。



 そんなこんなで夜も更けて……

 入浴を済ませたオレは新人2人に〝最終奥義〟をお披露目だ(笑)。

 彼氏持ちだったクルに一応確認すると「もう会う事もございません」と清々しい笑顔で答えたのだった。ホントに大丈夫か? 夜道で背後から、ブスリ、とか止めてよね(笑)。



   ■ヒメノ・ヒメ視点■


 その夜はいつもなら休みの前日なので、チンチンと2人でモブの部屋で朝まで〝お情け〟を頂戴するのだが……。

 今夜は新人2人の〝入隊式〟があったので、当然その夜は彼女たち2人のモノだ。こればかりはモブ屋敷の決まり事なので仕方ない。

 風呂からあがったチンチンも、チラ見、したら〝普段穿き〟だ(笑)。

 モブの〝お情け〟を頂戴する時は〝勝負ぅぱんつ〟とか言うのを身に着ける。前に洗って(勿論、手洗いだ)使おうとしたらイクイクに酷く叱られた。旦那さまが気づくかどうかの問題でなく〝勝負ぅぱんつ〟は真っ新まっさらのモノを穿かなければいけないのだ、と。

 まあ、気がつくとイクイクが常に新しい〝勝負ぅぱんつ〟を補充してくれているので良いのだけど。〝箪笥のこぉやし〟が増えてゆく。

 それと、最近ドンドン過激になっている気がするんだけどぅ?

 あと、モブが〝半ぬ~ぎ〟とかいうシステムがお気に入りだそうで、おぱんつを横にズラしてナサルのも恥ずかしい。

 いや、先日イクイクが買ってきたのは〝真ん中に穴が開いて〟いた。ご先祖さまの〝バチ〟が当たりそうで恐ろしい。


 まあ、今夜は〝普段穿き〟で2人で休みます。今夜の〝補填〟を何処かでして欲しいですぅ(笑)。


 夜半 ――

 何か物音がして目が覚めた。

 モブが薄暗い部屋に、よた、よた、と入ってきた。

(えっ?、この時間に〝お渡り〟?)

 新人2人を済ませて来てくださった。

 律儀なモブに目頭が熱くなる。

(いや、待って……今日は〝普段穿き〟だ!)

 チンチンを、チラ見、すると掛布の下で〝普段穿き〟を脱いで枕の下に隠している。素晴らしい(笑)。

 〝普段穿き〟を見られるくらいなら、〝穿いていない〟方が余ほど良い(笑)。

 わたくしも急いで同じようにしてモブを迎えた。

 ベッドの2人の間に倒れるように横になったモブを見ると〝真っ裸〟だった。も珍しく下向きだ(笑)。

 そうまでして来てくれたモブが愛おしい。

 チンチンと2人で、ちゅー、しながらアソコに『回復魔法』と『催淫魔法』を掛ける。勿論、最上級のレベルだ(笑)。


 東の空は白み始めているが、明日は(いやもう今日だが)お休みだ。お昼ご飯まで、たっぷり、英気を養わせて戴こう。



            【つづく】

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