第19話 月が綺麗ですね♡

 今朝の事だった。


 宿の女将おかみさんがオレの部屋に駆け込んできた。

「おひいさまがここの領主さまにお輿入れするって、本当かい?」

 オレは慌てて冒険者ギルドに駆け込み、第七皇女のお屋敷に『遠距離念話*』を掛けさせて貰った。

 そこでイクイクと(「何処にいたにょ?、探したにょ!」と叱られたが )話して、半日後、急遽いつものメンバーがウルヒの宿のオレの部屋に集まった。

 ピーとプーの機動力がありがたい。2人が戻って本当に良かった。

 しかし、プーに魔力の補填をして貰っている処を、丁度食事を部屋まで運んでくれていた例のポプルルとナコチ(『猫耳』で人気の酒場の看板娘ウエイトレス )の2人に見られてしまった。

 ジト目が辛い(笑)。

「あたしたちには手も握ってくれなかったのに、さっそく、ちゅー、ですか?」

「…………ですか?」

 そこをイクイクが混ぜっ返す。

「ああ、それはエプロンの使い方が間違ってるからだにょ!」

(あ、その話題は……)

「ええっ?……〝裸エプロン〟なら、しましたよぉ?」

 ポプルルが言えば、ナコチが続けた。

「イクイクさまから教わった、ぱっくん、しますぅと言ったですよぅ?」

「なんと、それはトノが悪いにょ!」

「いや、それは……」

 誤解を解こうとするオレの口をプーがまた塞ぐ。

「むぅうっ!」

「…まだ、ちゅー、してるですっ!」

 ポプルルとナコチが顔を見合わせ、

「ここには男の人はタダノさまだけだし…」

 頷き合った。

「やるねっ♡」

「やるにょ♡」

 2人が部屋の隅でエプロンの下のショートパンツ(酒場仕様だ)とショーツを脱いだ。

 そして、2人は戸の近くの少し広い場所でこっちにお尻を向けると、


   ズンチャチャ、ズンチャ、

          えいっ、えいっ、

   ズンチャチャ、ズンチャ、

          はいっ、はいっ、


 あの、ぷりん、ぷるるん、の尻振りダンスを披露してみせたのだった。

「きゃああああっ♡」

「可愛いぃ♡」

 皆んなにも好評だった(笑)。


 それから(何故か)〝半 裸エプロン〟の2人も加わってヒメの救出(奪還?、さらう?)計画を相談したのだった。地の利がある2人の意見は役に立った。

 その晩、前祝(?)という事で、オレはまた湯殿で全員からなる〝裸エプロン〟接待を受けたのだった。

 勿論、主役は『猫耳』のポプルルとナコチだったが。

 2人からも、たっぷり、と『お浄め&ぱっくん』されたのだった。


          *


 そして、お輿入れの当日 ――

 式典に乱入した我々は思わぬ事実に唖然としたのだった。


 実は『輿入れ式』ではなく、養女(他の姫が全て嫁いでいる為、序列第一位扱い)としての『養子縁組式』だったのだ。

 国王陛下からの勅書ちょくしょには「辺境都市ウルヒを治める領主バクル・シグドラ辺境伯に下賜かしされる」と記されていたが、領主の奥方さまの〝機転〟で『養子縁組』に変更したのだった。


 何故かと言えば、シグドラ辺境伯には本妻は勿論だが側妻そばめも多数いたのだが、よわい80歳を超えるご老体がこれまで〝頑張った〟にも関わらず娘ばかり生まれてきたそうだ。

 そして、10年ほど前、待望の王子を授かった。

 処が去年事故でその一人息子に先立たれ、途方に暮れていたのだという。

 ナンと50名を超える娘も全て嫁いだ後で、爵位をどうするかが喫緊きっきんの大問題であった。

 そこへ今回の第七皇女の下賜の勅書ちょくしょである。

 一応、名目上は『第三十八夫人』(おいっ!)として、実質は養女にお迎えしようという話になったのだった。

 国王陛下のお膝下である首都メカラからは遠く離れた辺境の地。数年後に養女に変更して、その婿(オレだ(笑))に爵位を譲って引退したい……という筋書きだったのである。



 今回の件は、間違いなくあの女第三皇女の差し金だろう。

 しかし、見事に〝鼻を明かした〟結果となった。その事実を伝えられないのが残念でならない、とは皆んなの共通認識であった(笑)。

 そして、我々の乱入(?)により、『養子縁組式』は異常な盛りあがりをみせたのだった。ヒメの隣に立たされたオレはまるで〝新郎〟のような扱いで、ちゅー、までさせられて大変恥ずかしかったのであるが。


 そんなオレたちを見てよわい80歳を超えるご老体が、しみ、じみ、言った。

「若いというのは良いものだな」

「ええ、旦那さま…わたくしも、もう十年若ければ、うふっ♡」

 奥方さまはまだ60前の女盛り(?)であった。ご領主さまに、ぴとっ、と寄り添うと何やら不審(?)な動きが(笑)。

「め、メイド長……へ、へ、部屋の用意を…」


「はいぃ!? ……はっ?……まさか、お床入りでございますか?……な、何十年振りでございましょう♡」


 何とも元気なジジイであった(笑)。

 そんなこんなで宴も終わり、我々はヒメに与えられたお屋敷(第七皇女のお屋敷に引けをとらない立派な建物だった)に引きあげたのだった。


 そして、そこに意外な来客があった。

 あの酒場で人気の『猫耳』の看板娘ウエイトレスのポプルルとナコチだった。

女将おかみさんから、お食事のお世話係が必要だろう、って……勿論、永久就職【可】ですぅ♡」

 ポプルルが言い、

「エプロン持参ですぅ♡」

 何故か恥ずかしそうに『猫耳』を揺らしナコチが続けた。

「おお、それは、料理の時も〝裸エプロン〟でするのかにょ♡」

「「勿論ですぅ♡」」

 恥ずかしそうに頷いた2人だった。

 余程〝裸エプロン〟が気に入ったのだろうか?

 そして、2人はお尻を向けて(今日も短パン姿だったが脱いだ(笑))、


   ズンチャチャ、ズンチャ、

      えいっ、えいっ、えいっ、

   ズンチャチャ、ズンチャ、

      はいっ、はいっ、はいっ、


 あの、ぷりん、ぷる、ぷるるん、の尻振りダンスを披露してみせたのだった(いつもより余計に廻しておりま~す(笑))。


          *


 その夜、ヒメの新しいお屋敷での二次会もお開きになり、何故か(?)オレはヒメの寝室に誘われた。

 そのバルコニーに並んだオレにヒメが恥ずかしそうに言った。

「今日はありがとう……あ、あの…ちょっと散歩に行かない?」

「えっ?、今からですか?」

 途惑うオレにヒメが近くの山を指差して続けた。

「あの山の中腹に見晴らしの良い展望台があるの……つ、月を見にいきませんか?」

「えっと、オレまだMPが全回復してないんですが……」

 飛行魔法で途中で落下したら一大事だ。

「ふふふ……今夜は、わたくしの転移魔法で参りましょう♡……展望台で、たっぷり、魔力の注入してあげるわよっ♡」

 意味深に視線を絡めてくるヒメに掴まるべく、オレは視線を投げた。

 今夜のヒメは、『養子縁組み』の式典という事でドレスではなく、儀礼的装束であるオレには馴染みの『戦闘服』だった。

 例の前から見ると、ギり、股下のパンツが見えそうなヤツだ。

 オレがいつものようにマントの先を掴もうと手を伸ばすと、ヒメがその手を引いた。

「い、今は誰も居ないから……こ、こっちに…」

 引っ張られたタイミングが悪かったのか、よろけたオレはヒメの短いスカート(いや、装備だけど)の中にダイブしてしまった。


「きゃあああああああっ!?」


 ヒメの悲鳴と共に視界が暗転する。

 ―― ヤバいぃ!

 待機中だった『転移魔法』が発動してしまった。

 何処へ飛ばされたか判らない。

 オレはヒメを守る一心で両手を抱え込むように伸ばした。

 いや、冷静に考えればオレの『※ スキル【かばう】』を発動すれば良かったのだが……

 一瞬の後、オレはヒメを抱くような形で〝何処か〟へ、ばふん、と落下した。


 ―― ばふん?


 オレの視界はヒメのスカート(いや、装備だけど)の中で外界から遮られている。

 しかし、身体の下に感じる感触は……適度な柔らかさと、適度な反発係数があるようだ。

「ひ、ヒメはま、ごぶひへしょほは?」

 オレは安否確認に声をだしたのだが。

「ひぃんっ!……し、しょこで、しゃべりゅの、らめぇえええええっ!」

 何故か泣きそうな声が返ってきた。

 オレは現状把握に努めた。

 オレの顔はヒメのスカート(いや、装備だけど)の中だ。

 つまり、視界を遮る白っぽい物体は……あれだ。

 【防御率がMAXになる純白パンティ】(いや、装備だけど)に違いない。

 ―― という事は、オレの口が接しているのはパンティ(いや、装備だけど)の、に、近い筈だ。

 これは一刻も早く這いでるべきだろう。

 オレは狭くてタイトなヒメのスカート(いや、装備だけど)の中で藻掻もがいた。

 オレが動くたびヒメが何やら色っぽいうめき声をあげる。

 漸く短くてタイトなヒメのスカート(いや、装備だけど)の中から這いでたオレは顔をあげてみた。

 視線の先にヒメの推定88センチFカップの膨らみが……いや、更にその先に両手で口元を覆ったヒメが見えた。

 真っ赤になっているが怒っているようには見えなかった。

「ご、ご無事ですか?」

 オレが尋ねるとヒメが、くぴ、くぴ、と頷いた。

 同時にオレの顎の下で『白い装備』が、ぴく、ぴくく、と揺れた。

 取り敢えず、ヒメの安否確認はできた。

 次に、オレとヒメの体勢を確認する。

 『転移魔法』が発動した時、オレはヒメを守る一心で両手を抱え込むように伸ばした。

 結果的にそれが良かったのだろう、オレはヒメの身体を(主に下半身を)抱くような体勢で寝転がっていた。ヒメの両の太腿の、むちっ、とした感触がオレの顔を挟んだような体勢でもある。

 次は場所の確認だ。

 どうやら何処かの室内らしいのが見てとれた。

 結構広いようだ。

 オレは顔を仰向けてみた。

 ―― 天蓋?

 更に顔を、ぐるり、と廻してみて、どうやら大きなベッドの上に落下したようだと判った。

 オレが顔を動かすたび、オレの顎の下で『白い装備』が、びく、びくっ、と揺れた。

 漸くオレは気が付いた。

 ―― ヒメはくすぐったいのだ、と。

 オレは上半身を起こしてヒメの『白い装備』を確認した。

 特段、破損個所は見受けられなかったが、中央部分にオレのよだれ(?)でシミができていた。

 オレは何かで拭きとるべきだと思ったが、『装備』とはいえ、、をオレの手で拭うのはかなり躊躇ためらわれた。


「ヒメ、申し訳ございません。ヒメの『装備』に涎を垂らして……し、まい……」


 ―― そこまで言い掛けて、ふと、オレは気づいた。これは外から付けたモノではなく、中から滲みでてきたモノではないのか?

 瞬間、オレはヒメの股間から身体を起こし飛び退いた。

「あ、えっと……か、勘違い……でした…」

 オレが視線を逸らせて言い訳すると、ぼむっ、と枕を投げつけられた。

「モブの莫迦、えっち、最っ低っ!」

 真っ赤になって怒っている。

 それで、漸くここが『ヒメの寝室』だった事に気が付いたのだった。

 あの瞬間、バルコニーから落下する危険性もあった。しかし、無意識に安全な場所として〝ここ〟を選んだとしたら、ヒメの侮りがたし。

 などと考えていたのだが、ヒメから意外な提案がもたらされたのだった。

「ご、ご休憩…してく?」

(いや、覚えたのですか?)



 オレは改めてベッドにあがり、ヒメに身体を重ねた。

 唇を重ね(医療行為ではない)キスをした。

 舌を忍び込ませると直ぐにヒメの舌が絡まってくる。

 たび重なる医療行為を経て、互いの弱いトコロは周知である。

 口腔を嬲りながらヒメの装備を外し儀礼的装束を脱がしてゆく。

 恥ずかしそうに頬を染めたヒメも脱衣行為に協力的だ。

 オレは基本的に〝半脱ぎ派〟である。

 しかし、今夜は〝ヒメとの初めての夜〟である。

 全て脱がすのが正しい行いだ。

 最後に先ほど涎で汚した(笑)純白の『装備』を解除したら、オールOKだ。

 一旦身体を起こしてオレも全てを脱ぎ去った。

 ヒメの視線が終始オレの《あるトコロ》にロックされていた。


 もう一度、ヒメの横に身体を横たえ、オレはまた啄むようなキスを降らせた。

 そのままヒメの推定88センチFカップにアタックを仕掛ける。

 右のサクランボを口に含み、左のサクランボは親指で捏ね捲る。

 ヒメの喉から、声が洩れる。


「も、モブって、慣れてる、よね…あ、やん♡…向こうの世界で…な、何人の…ん、ぅ♡…お、女の子を…ん♡…な、泣かせて…きたの…ようっ⁉」


 誤解だが、黙らせる方法なら知ってる。

 オレはヒメの股の間に顔を埋めた。

 ヒメは、ぱっくん、は慣れていても、ぺろ、ぺろ、にはまだまだ免疫がなかったようで『お喋り』する余裕はなくなっていった。

 その後、身体の向きを変えたオレはヒメと『6と9のアソビ』を愉しんだのだった。

 そして、その時がきた ――


「ホントにオレなんかで良いの?」

「莫迦ね、モブが、良いのっ♡」


 そして、オレはヒメとひとつになったのだった。



 それから小一時間後 ――


 オレはヒメに誘われて、またさっきのバルコニーにでていた。

 二人共に裸だったが恥ずかしさは微塵もなかった。

「ねえ、モブ……見て、月がとっても綺麗っ♡」

「はい、ヒメ……月が綺麗ですねI Love You

 当然ヒメは、どこぞの国の物書きが「I Love You」を翻訳した言葉だなどと知る由もないだろう。

「ふふふ」

「どうしました?」

「モブのここにぃ……最上級の『回復魔法』を掛けちゃった♡」

「ちょ、ヒメぇ!」

「ふふふ♡……朝まで、時間はまだ、たっぷり、あ、る、わ、よ、ぅ♡」

「ヒメの、エッチっ!」

「えっちな女はお嫌い?」

「いえ、大好きです、おひいさま」

 オレはヒメを「お姫さまだっこ」してベッドまで運んだ。


 先ほどの《 》では泣きそうだったヒメの顔にも次第に情欲のほむらが灯り、オレたちは朝まで何度も何度も愛し合い愉しんだのだった。



 何が原因でこの世界に呼ばれたのか判らないが、オレには感謝しかない!

 オレみたいなモブに惚れてくれた美少女と、いや、超絶美少女と結ばれた幸運に、感謝しかなかったっ!



            【つづく】

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