第10話 ダンジョン攻略2回目
第2層の討伐は、熾烈を極めた。
食後直ぐにエンカウントしたのは、オーク3体に、オーガ2体、といういきなりな相手だ。
オークはブタ面にイノシンの牙、オーガは鬼だ。
そもそもオーガは(その上位種らしいが)ラスボスの筈。2層にでてくるのは、
そう言えば昨日のトラップもギルドマスターが大謝りした後で『絶対ない(……筈)』と言っていたそうだ。
何かがこのダンジョンで起きているのかも知れない……などと呑気に考えている場合ではなかった。
いつものように前線の3人がアタックする。
オーガの様子を窺いながら、先ずは対一でオーク3体に向かう。
その間にイクイクは氷の礫を2体のオーガに飛ばし、チチは槍でオークの隙を狙い、チンチンは攻撃力アップの補助魔法を前線の3人に、ヒメは回復魔法をスタンバる。
オレだけ〝役立たず〟だ。
まあ、ヒメの急場を守るのがオレの仕事だが。
それにヒメが装備している【防御率がMAXになる純白パンティ】だが、命の危険を感じたら発動するのだが、発動した瞬間に『命と引き換えに』消滅するそうだ。
つまり、〝二度目はない〟ので、次は必ずお守りせよ、とのマータの指示だったが(その時、隣で聞いていたイクイクが、にま~っ、とした……いや、言いたい事は判るよ……口にだせないが(笑))。
漸く、前線の3人がオークを切り伏せた時、オーガの2体が前後に位置取りを変えた。
良く判らないが〝嫌な予感〟がした。
オレはヒメの前にでて『※ スキル【
いや、待てっ!
後ろのオーガの頭上に巨大な魔法陣が構築されてゆく。
オーガが魔法だとっ?
オレは慌てて最前線に飛んで全員をカバーするよう念じた。
直ぐに背後に【
次の瞬間 ―― 強烈なブレスがオレの背を(いや、背後の翼を)揺さぶった。
「ぐむぅっ!? ……げほっ!? ……がはっ!?」
直接オレの身体には届いていないが、強烈な『プレッシャー』がオレの心を揺さぶる。
がくっ、とその場に膝を突く。
【
一気にMPを持っていかれた。
ヤバいっ!
ヒメが気づいてオレに駆け寄る。
唇を押しつけ『魔力(MP)の補填』を始めた。
直ぐに【
しかし、ブレスの『プレッシャー』が衰えない。
時間の勝負だ。
前のオーガは魔法を使えないようだ。今は隙だらけの仲間を守って立ち尽くす。
ブレスが切れるまでオレの『翼』が持つか?
いや、ヒメが膝を突いた。
ヤバいっ!?
そのまま、ずるり、とヒメが床に沈む。
視線の左から何かがオレの前に飛びついてきた。
プー・プニ(竜人の若い方だ)がオレの首に両腕を廻し口付けてくる。
直ぐに魔力が流れ込むのが判った。
ありがたい。
多分、あと少し耐えればオーガもMP切れを起こす筈だ。
敵もそれが判ったのだろう。
前のオーガが高く飛んで『翼』目指して刀を振り降ろしてきた。生意気に日本刀だ。
―― どうんっ!?
強烈な衝撃がきた。
オレの身体も翼も揺れ、プーが弾き飛ばされた。
ヤバいっ!、ヤバいぃ!、ヤバいいっ!?
【
「ひぎぃいいいいいいいいいっ!!!」
泣きそうな悲鳴が聞こえたが、同時にブレスが止んだ。
その瞬間を待っていた、マータ、ピー、チチ、が一気にオーガに突撃した。
マータの渾身の突きがオーガの首に突き刺さる。
そのまま、どおっ、と倒れたオーガを見てマータが叫ぶ。
「首だ、首が急所だっ!」
倒れた個体を踏み台にしてピーとチチが後ろのオーガにも突きを見舞った。
「倒したぞっ!」
その声に、オレは【
押さえた右腕の肘から先が消えていた。
守れなかった。
口惜しさが滲む。
そのプーにヒメがにじり寄る。ヒメの周りに『青色ポーション』の空瓶が多数転がっていた。
気絶したプーを抱き起こし、失った右腕に両手を宛がう。
ヒメの背後からチンチンとイクイクも魔力補助を念じる。
ヒメの指先から魔法の輝きが立ち昇る。
ヒメの『回復魔法』の光り方が尋常でない。いつもは真っ白く光っていたのに、今は〝黄金の輝き〟だ。
気になって『鑑定』してみたら『回復魔法』でなく、『再生魔法』だった。『聖職者』の『聖魔法』……半端ねー(笑)。
ただ、死人を生き返らすのは無理らしい。いや、更に上位の『蘇生魔法』というのがあるらしい。ヒメのレベルがあがれば可能なのか?
見る間にプーの失われた右腕が生えてゆく。
しかし、爪まで再生させた処でヒメの限界がきた。
折り重なるように4人がその場に沈み込んだ。
辺りを警戒していた残りのメンバーも遣ってきて、状況を確認して、ほっ、と息を吐いたのだった。
急ぎ、マータとオレでこれからの方針を話し合った。
まだ夕暮れまでには時間があるので、気絶した4人(プー、ヒメ、イクイク、チンチン)の意識が戻ったら今夜は宿に戻ろう、という事で話が
このダンジョンの攻略も諦めるつもりはない、それも共有した。
それから、意識が戻った4人と共に出口を目指したのだった。
腕が戻った事にプーは衝撃を受けていた。
そして、出口からはプーも飛竜の操縦をして貰わなければならないので、出口まではオレが負ぶってゆく事になった。プーは必死に辞退してきたが、オレとしても譲る気はなかった(何故って、詳しくは言えないがプーのオッパイが立派で……とだけ言っておく)。
*
その夜、夕食の後で、またイクイクに呼び留められた。
まあ、パターンだから、うす、うす、判るけどね。
いつものように宿の湯殿に向かう。もうマットも敷いてある。イクイクに横になるよう指示される。
直ぐに戸が開いて声が聞こえてきた。
「お、お姉さま……こ、この格好…は、恥ずかしい…ですぅ」
「あなたもお礼がしたいと言ったじゃない……これが第七皇女隊の遣り方だと『内室』さまから伺ったでしょう?……大丈夫、何事も慣れですよ」
(『第七皇女隊』なの?(笑)……それと『内室』さまが定着している(笑))
見ると案の定『裸エプロン』だ。
「遅くなりました、
(おっと、『殿』まで定着か(笑))
「ひぃいっ!?」
(今のはプーらしい……何にあげた悲鳴だったかは想像の範疇です(笑))
「と、とと、殿さま……今日は救って戴きありがとうございました」
「オレよりヒメにお礼は言ってね」
「はい、勿論、お
「内室さま、初めは石鹸で『お浄め』するのでございましたね?」
「そうにょ♡……特に身体の中心は丁寧に手で揉み洗いにょ♡」
(いや、『洗う』でなく『浄める』でしょ?)
「あーしは殿のお口を浄めるから始めるにょ♡」
そう言ってイクイクが顔を寄せてくる。
「まったく、ヒメも殿もヘタレで待たされたにょ!」
「な、何だよ、ヘタレって?」
「ちゅー、くらいさっさと済ませて欲しいにょ!……あとが
それが耳に入ったのかプーが慌てて声をあげた。
「も、も、申し訳ございません……わたし、順番とか存じあげず……」
「えっ?……ああ、昼間のアレは『医療行為』だから問題ないにょ!」
(良いけどね(笑))
「それと、漸く今朝になってヒメの『ぱっくん』が『済み』になったので、今夜は『ホンバン』以外はオールフリーにょ♡」
(何だかなー(笑))
「えっと、それは内室さまもお済だという事でございますか?」
「あーしもこれから済ますにょ♡」
待ち兼ねたと言わんばかりの顔が近づいてくる。
唇が押しつけられた。
そのまま、動かない?
(イクイクって、理論だけで実践はヘタレ?)
おれは動かないイクイクの首周りに両腕を廻して、更に後頭部を逃がさぬように手で押さえ ―― 舌を差し込んだ。
「むふぅ、むぅ、うむむ、ぅっ!?」
イクイクが両腕を振って逃れようと、じた、ばた、するが勿論逃す気はない。
そのまま彼女の口腔を思う存分
やがて唇も身体も開放してやると、イクイクが半泣きでオレの胸を、ぽか、ぽか、してきた。
「トノの、ばか、バカ~~~っ!」
「ピーとプー、浄めはそろそろ良いからお湯で石鹸を流してくれる?……内室さまが、ぱっくん、をご所望です(笑)」
「畏まりました」
頷いてお湯を掛けた2人が同時に悲鳴をあげた。
「「ひぃいいいっ、
「それは大げさでは?」
「だって、あいつのって………………こんなモン」
指で示したサイズは成人男性のモノとは思えなかった(笑)。
「あんなヤツに好き勝手されて……吐き気がします」
何だか物騒な話になった。
「殿さま、内室さま、ご相談したい事があるのですが……」
ピーとプーが頷き合ってその場に正座した。
お互いほぼ真っ裸だったのでどうしたモノかと思ったがオレもイクイクも2人の勢いに押されて身体を起こした。
「どうしたの?」
「先ほど内室さまには少し話したのですが……」
「第七皇女隊にトレードして欲しいそうにゃ…」
「確か、ヒメと仲が悪いんだっけ?」
「そうにょ……でも、今回のコトが上手くいったら……多分、国王さまに願いでれば……」
「えっ?……そんな大きな話なの?」
「そ、そこを何とかお願い申しあげますっ!」
ピーが声を張りあげてその場に土下座した。慌ててプーもそれに倣う。
想定外の〝全裸土下座〟だ(笑)(エプロンはしてるけど)。
「まあ、頭をあげて……話だけでも聞こう」
「かなり、酷い環境らしいにょ!」
2人の話を纏めると大体こんな感じだ。
第三皇女の竜騎隊には鉄の不文律というモノがあって、入隊したその日に隊長から直に制服を支給されるのだそうだ。
悪い話ではないと思ったら、トンデモなかった。
支給された制服と交換で、過去と決別する為にも今着ている服を全て脱げ……と。
しかも、入隊時に上官の命令には絶対服従の念書を書かされていて逆らう事は不可能だそうだ。逆らえば家族・親族にまで連帯責任を負わされると。
いつの時代の話か、という感じだが……この『異世界』、奴隷も居れば封建的な社会でもあった。
しかも、当然だが男の前で裸にされて、それだけで済む筈がない。
「わたしはそれでも入隊前に彼と……その、済ませて…いました…から…」
ピーちゃんの『2人』はそういう事か。
「この
「もう良いんです……小さくて痛みもなかったですから…」
(あれ、待てよ?……確か『処女、経験値=1人』だったよな?)
「あのさあ……とても変なコト言うけど……もしかして、プーちゃん、まだ処女かも知れない…」
「えっ?……いえ、そんな慰めは……」
「どゆことにょ?」
イクイクが身を乗りだしてきた。
オレはさっき2人が示したサイズを再確認する。長さ・太さに加えて痛みも出血もなし……と、なれば〝残っている〟可能性が大だ。
そうなら『処女、経験値=1人』が納得だ。
「トノに確かめて貰うにょ♡」
「ど、どうやって……」
「そりゃあ、直に覗いて見るにょ♡」
一瞬、考える風に小首を傾げていたプーが、瞬時に耳まで真っ赤になった。
「む、むむむ、むり、むり、むりぃいいいっ!?」
「「「……………………」」」
残る3人はどうやって実行に移すか視線を交わし合った。
連帯力……って、大事だよね(笑)。
イクイクとピーに押さえつけられ、口も塞がれ、ま●ぐり返しで恥ずかしいトコロをオレの前に
オレは心を鬼にして確認させて戴いた(笑)。
「うん、あるよ、確かに残ってる……そこまで届かなかったんだね(笑)……あるいは、届いても細すぎて削れなかった(笑)、とか……マジ、笑える」
その竜騎隊には他にも残っている隊員が居るかも知れない(笑)。
そんなこんなで、夜は更けていきました……とさ。
因みにその夜はヒメも疲れていて早々に寝てしまったそうであった。
良かった。良かった。
【つづく】
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