第9話 その翌朝……

 翌朝、着替えタイムにチンチンだけでなく、ヒメも(何故か)メイド服で遣ってきた。

 チンチンのメイド服にはすっかり慣れてしまっていたが、彼女だって『元 第一皇女』だ。

 今、オレの前には高貴なお二人が何故かを着て立っている。

 昨夜、ヒメに叱られたオレは、あの後、部屋の風呂でナニを綺麗に洗っておいて良かった。ヒメが朝一で来るなど想定外である。


 それから、いつものようにチンチンがオレの寝衣装を脱がしてゆく。

 ヒメは手をださず見ているだけだ。いや、勿論、他人の服を脱がすなどというスキルをヒメが持っている訳もない。それを言うなら、自分の服さえ自分で脱いだコトなどないのだろう。

 しかし、どうやらチンチンのスキルを見て学んでいるようにも思われた。

 最後にパンツに手が掛かると、ヒメの目の色が変わった(笑)。


 最後の砦パンツを奪われて、真っ裸のを、二人の美少女が、ガン見、している。

「本当に朝って、凄い……のね!」

「はい、今朝はヒメさまがいらっしゃるので、更に凄い、です♡」

「えっ?……そうなの?」

 ヒメが、ちろん、とオレを見あげたままチンチンに訊いた。

「いつもはこの後、チンチンが、ぱっくん、するんでしょ?」

「あー、いえ、ご主人さまから、お許しを戴けておりません…」

「なんですってーっ!?」

 そこ、怒るトコ?

 すると、チンチンがヒメの耳元で何やら囁いた。

「多分、ですが……初めてはヒメさまがお宜しいのでは、と…」

 それを聞いたヒメが何やら、そわ、そわ、しながらオレを、ちら、ちら、見あげてくる。

「ヒメさま、ここは、お覚悟をお決めになられる時だと存じますわ」

 チンチンがオレには聞こえない小声で頻りにヒメに訴えている。

(後に続くわたくしたちの為にも、お願いでございますぅっ♡)

 そして、チンチンの訴えが届いたのか、ヒメがオレを上目遣いで見あげて訊いてきた。

「わたくしが、ぱっくん、しても…い、い、良い?」

 ヒメの恥ずかしそうな素振りと相まってオレは期待で、ナニ、が二割増しに膨らんだ。

 目敏くそれに気付いたヒメが、ぼそっ、と言った。

「えっちぃ!」

 そして、腹に貼りついている、オレのを、握り起こして、いきなり、ぱくっ、ときたのだった。

「あおぉうううっ!?」

 悲鳴のような声を洩らしたオレに、慌てて口を離したヒメが心配そうに見あげてくる。

「き、気持ち…よ、良くて…」

「ば、莫迦~っ!」

 オレの言い訳を聞いて真っ赤になって睨んできたが、それからは、ヒメの独壇場だった。

 昨日、穴の底で『魔力の補填』をしてくれた時のヒメの舌の超絶技巧がここでも遺憾なく発揮されて、オレは一気に昂らされたのだった。

「や、ヤバいぃ!…ひ、ヒメぇ…も、もう、おわぅ…」

 次の瞬間、オレはヒメの咽の奥に《想いの丈》を大量に吐きだしていた。

「うむぅ、ぐぅ、ふっ、むぅうっ!?」

 泣きそうな顔でヒメの視線がオレとチンチン(あ、個人名の方な)を行き来する。

「ご、ごっくん、でございます……ヒメさま♡」

 両手のコブシを握り、チンチンがヒメを励ます。

 またもオレを上目遣いで見あげてから、ヒメが両目を瞑り、ごっくん、した。量がかなり多かったようで、何度もヒメの喉が上下したのだった。


 更にその後、オレはチンチンにも、ぱっくん、されてしまった。

「ああ、やっと、わたくしにも、この日が……」

 チンチンが頬擦りしながら、しみ、じみ、言った。

(いや、いや、いや……オレが悪いの?)

 ヒメはヒメで咽奥がのか、頻りに『空咳』を繰り返していたのだが。

 そして、チンチンが、ごっくん、した後でヒメに《お掃除なんとか?》までされてしまったのだった。

(ど、何処で覚えた、そんなスキル……イクイクだろうな?……あの、無駄にお莫迦スキル高いしぃ(笑))


          *


 そんなこんなで、愈々いよいよダンジョンに再トライだ。

 更に今回は昨夜宿まで運んでくれた竜騎士の二人も本人たちの希望でダンジョンにも同行する事となった。いつも空からの戦闘ばかりで、一度ダンジョンに潜ってみたかったらしい(気持ちは良く判る)。

 ただ、『異世界モノ』を読み漁ってきたオレ的には、『ダンジョンのパーティというのは6人』と相場が決まっていた気がするのだが……別に決まりはないのか?

 それに、高名なまじない師の『おばばさま』とかの『解呪の方法』にも『6人パーティを組んで、とあるダンジョンを攻略して〝ある秘宝〟を手に入れ……』とか言われていたのでは?

 まあ、皆んな何も言わずに準備を始めているし、『 部外者』のオレがとやかく言う事でもあるまい。


 それより、二人のステータスを確認しておこう。


  名前=ピー・ピノ(本名=ピノ・ルタ(竜騎士)・真名【ピル】・レノア)

  性別=女(経験値=2人)

  年齢=23歳

  種族=竜人

  レベル=338

  ジョブ=竜騎士(第三皇女配下)

  HP=325689/325689

  MP=12254/12254

  STR=28341

  VIT=38695

  DEX=3352

  AGI=759

  INT=2298

  LUC=227


  名前=プー・プニ(本名=プニ・ルタ(竜騎士)・真名【プル】・ルチア)

  性別=女(処女、経験値=1人)

  年齢=21歳

  種族=竜人

  レベル=298

  ジョブ=竜騎士(第三皇女配下)

  HP=287355/287355

  MP=28578/28578

  STR=23565

  VIT=33208

  DEX=3145

  AGI=562

  INT=2874

  LUC=329


 おおぅ、『竜人』きた ――っ!

 若干肌の色が濃い(日焼け程度?)と思ったが殆どヒト族と変わらない。何でも尾骶骨びていこつの辺りに鱗状の小さな尻尾みたいなモノがあるらしい(裸に剥きたいトコロであるが(笑))。

 『第三皇女配下』というのが少し気になる。第三皇女とヒメは仲が宜しくないらしい。

 あと、『STR(ストレングス=腕力、力強さ)』と『VIT(バイタリティ=頑丈さ、タフさ)』は流石に非常に高い。一方『LUC(ラック=運の良さ、幸運度)』が異常に低いのも気になるトコロだ。

 いや、待て、待て ――っ!『性別=女(処女、経験値=1人)』とは、何だ ~~~~~~~~~っ!!!!!

 『経験値=2人と1人』……うん、彼氏かな? 裏山~~~と、思っていたのだが。

 理解不能っ!

 『処女』で『経験値=1人』って、可変おかしいだろ?(実は、後になって衝撃の事実が判明するのだが。)


 まあ、もうダンジョンの入り口に着いてしまった(笑)。ここまでの移動は昨夜と同じ『騎竜』にそれぞれ3人、オレがヒメを〝お姫さま抱っこ〟しての空路である。


 パーティの配置が少し変わった。


 先頭にピー・ピノ、オ・マータ、プー・プニ

 次にアル・チチ、ヒメノ・ヒメ

 ヒメのすぐ後ろにオレ(タダノ・モブ)

 最後列にパイ・チンチン、イク・イクイク


 と、なった。

 そして、前回同様ヒメの『火の玉』に先導されて道なりに進み、同じ小部屋にでた時、今日も最初のエンカウントだ。

 またもゴブリン3体だ。

 そして、今日も先頭の3人が、あっさり、一撃で屠った。

 マータの強さは昨日も見ていたが、竜人の2人も(初めてのダンジョンとも思えない)見事な一撃だった。得物は普通のロングソードだ。

 そのすぐ先が昨日ヒメが落ちた『穴』だったが、既にギルドが補修してあった。

 流石だ。

 トラップの方も何か硬そうな木の板で覆い『危険 触るな』の立て札もあった。

(『危険 混ぜるな』を思い出して、ちょっと笑った。)


 このダンジョンで手に入れなければならない(チンチンの首輪の解除に必要な)〝ある秘宝〟は最下層(第5層)の『ボス部屋』にあるようだ。5層というのは意外だが(昨日落ちた穴はもっと深かった気がしたので)先ずはそこを目指す。

 一旦ダンジョンに入ると外部との連絡手段はない。『転移魔法』も使えない。『異世界モノ』のラノベやRPG系のゲームだと『脱出用のアイテム』とかあるのだが、この世界にはないらしい。

 また、昨日は幾分様子見だったので食料も3日分だったが、今回は5日分用意されている。しかし、1日1層では帰れなくなる。1日2層を目指す事になった。

 ボスの情報もある。オーガだがどうやらその上位種らしい。らしい、というのは倒せなかったからだ。

 まあ今回、竜人2人の参加は心強い。


 そんなこんなで第1層は戦闘に手古摺てこずる事もなく、あっさり、クリアした。

 なので、第2層の最初の小部屋のモンスターを倒した処で昼食となった。

 『収納袋』から毛布を2枚だしてその上に車座になった。前回のダンジョン飯は穴の底でヒメと2人切りだったので8人だと、中々に壮観だ。

 一食目の弁当は酒場の女将おかみさんが早起きして作ってくれたそうだ。

 乾燥パン+干し肉がダンジョン飯の定番だと思えば、随分豪華に映る。

 皆んなで女将さんに感謝して食べ始めた。

 会話の中心、というか、新規参加の竜人2人に質問が集中する。

 当然、初めは『竜人族』に関する質問が集まったが、お目当ては〝恋バナ〟だ(女子って好きだよな、恋バナ)。

 しかし、2人の反応があまりにも宜しくないのにイクイクが気づく。

「あーしらも全員彼氏なしだにょ(笑)」

 と、笑い飛ばして話題を変えた。

 こういうトコロ、無駄にアホスキルの収集家ではない。

「タダっち、今、あーしに失礼なコト考えなかったかにょ?」

「何故判るっ!」

「それより、モ…タダノさんってお国に〝いいひと〟が居るのよね?」

 それ、前に否定した気がするのだが?

「あら?…タダノさまって、おひいさまの『いい人』だと聞いていましたが?」

 竜人のピーが不思議そうな顔で言った。

 途端にヒメが真っ赤になって、おた、おた、し始めた。

 こういうデマを飛ばすのは、イクイクに間違いないが、オレを弄りたかったのか、ヒメを弄りたかったのか判らないが、ヒメがドツボに嵌まっていた。

 しかし、竜人の2人以外は、そんなヒメを〝生暖かい目〟で見ている。

 何故だ?


「でも、ウチのおひいさまより、全然可愛いですよね」


 何気なく、ぽろっ、と口から零れたプーの言葉だったが、言ってはイケナイ感も満載だった。

「もう、そんなこと、お姉さまに聞かれたら大変よっ!」

 ヒメの言葉もフォローにはならなかった。

 が、チチが良いタイミングで言葉を挟んだ。

「あたしが思いますにお腹も膨れました、そろ、そろ、討伐を再開するのが良かろうと、愚考致しますっ!」


 皆が背伸びなどしながら立ちあがって、片付けを始めたのだった。



             【つづく】

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