第8話 ザイルデム・キルシュバル2

「なんで、お前がそんな顔をしてるんだ。奴らに目をつけられたのは俺だぞ。

 お前には関係無い事だ。」


 第4王子様を突き放す。しかし、


「君はもう、王位継承者争いに首を突っ込んでしまったんだ。明らかに、僕の後援者だと思われてしまったんだよ?」


「だから、なんだって言うんだ? お前の護衛でもしろってのか?」


 やや怒気をはらんだ言い方になる。


「僕の事はどうだっていいんだ。僕に勝ち目の無い争いだし、そもそも王位なんて要らない。でも、無関係の人まで巻き込みたく無いんだ。

 君はあの時、僕を助けてくれた。なのに恩を仇で返してしまった。」


 悲痛な顔をするエル王子の顔をまじまじと見るなり、


「なんでお前が気にしてんだ?

 俺はあの時、あいつが気に入らなかったから、言いたい事を言っただけだ。お前が気に病むことなど何も無い。」


「でも、、」


「でもも、案山子も無えんだよ!」


 シュンとするエル王子に対し、


「でもよう、ありがとな。心配してくれてんだろ?」


「うん。ごめんね。巻き込んで、、」


「謝んなって。お前が悪いんじゃねえ!」


「う、うん。」


「俺は俺が正しいと思った事を命をかけてやる。あの時、入学式の時にやった事も、俺が正しいと思った事だ。

 それが、誰の為になろうが、誰から嫌われようが、関係ないんだ。おれはそうやって生きてきたし、そうやって死んでいく。

 それが俺の生き方だから。お前には関係のない事なんだ。


 でもな、」


 エルは純粋に俺の事を心配していたんだ。それが嬉しかったから、


「もう俺たち、友達って事でいいよな?」


 めちゃくちゃ照れ臭かった。

 エルは物凄く戸惑ってた。でも、それは困ってるんじゃないのはすぐにわかったんだ。

 だって、男の俺ですら惚れちまうような最高のイケメンスマイルで、


「うん!」


 って答えたから。


 結局、それが腐れ縁の始まりになっちまったんだ。

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