第5話傷の理由

1日、また1日って日が過ぎていく。


「ねぇ、マーレ」


「は、はい…」


「こっち来てよ。」


「えっと…」


マーレは初めてこの部屋に来た時依頼、ずっと部屋の隅で縮こまってる。


なんでそんな怖がるかなぁ?


僕なにもしてないよ?


「はぁ、もう。何もしてないでしょ?」


「ビクッ」


「んー?ねェ、マーレ」


せめて少しだけでも触れたい。


転生しても君を求めたんだ。


こんなに近くにいるのに何もできないなんて生殺しじゃないか。


「ひっ!!!いやぁ!!!」


「!?…どうしたの?」


「ガタガタガタ…ご、ごめんなさい…」


手を伸ばしただけなのに、怖がり方が尋常じゃない。


顔も青白くして俯いて。体と頭を庇うような縮こまり方。


…まさか?


「マーレ、1つ質問。素直に答えてよ。」


「はい。」


「もしかして、暴力受けてた?」


「ーっ!!」


あぁ、やっぱり。


彼女は僕が怖いんじゃない。


男が怖いんだ。


「受けてたんだね。」


「た、大したことじゃ…」


「手を伸ばしただけでこんなに怖がってるのに?」


「それは、、」


目も合わせてくれないし。


体はずっと震えたままだし。


もしかしてずっと長袖なのも傷を隠すため?


「マーレ、ちょっとごめんね。確認するよ」


「えっ?きゃぁ!!」


バッ!と捲った腕の布。


これは酷い痣だな。


紫通り越して黄色じゃないか。


「なんで言わなかったの。」


「い、言うことでもっ」


「ある。君は僕のだ、こんな酷い傷隠すなんて怒るよ?」


「ごめんなさいっ!!」


「謝らないの。他は?どこ怪我してるの。」


その、えっと…


ってしどろもどろで答えようとしない。


でも、怪我を負ってることには間違いないみたい。


「…怒らないでね。」


「え?」


ードサ!


「ー…えぇぇ!?」


「体も確認するよ。」


「ちょ!ま、まってっ」


待つわけないじゃん。


押し倒して両手を上に持ち上げて抵抗できないようにしてやればすんなりと服を捲れた。


そしたらどう?


腕よりも酷い痣や擦り傷、切り傷が沢山だ。


「…コロしてやる((ボソ」


「ーっ!?あのっ」


「僕のマーレにこんな傷負わせて…絶対に許さない。」


「あの…っ!!わ、私は大丈夫だから…そんな事言わないで…」


「これのどこが大丈夫なわけ。簡単に死なないように1番古い武器使ってやるさ。」


痛めつけて痛めつけて。


ジワジワと恐怖で埋めつくして絶望したままあの世に送るよ。


はは。さぞかし後悔するだろうね。


「待って!!お願いっお願いだから…」


「…」


「私は本当に大丈夫だから…」


あぁ、君はどうしてそんなに優しいのかな。


目にいっぱいの涙を溜めて怯えながら僕に懇願している。


自分をこんなに傷つけた男なんて酷い目にあって死んでしまえばいいと思うだろ?


でも君は違うんだね。


「…分かった。だから泣かないでおくれよ。僕は君の涙には逆らえないんだから。」


「ぅっ…ひっく…」


「悪かったマーレ。君の元彼からはお金を返してもらうだけにする。ね?涙を拭いて。」


「や、約束…してください…」


「約束するよ。怖がらせたね、悪かった。」


しゃくりあげて泣いているのに僕に約束を取り付けるなんて。


なんて優秀なんだろうか。


他の誰もこんな事僕にできないよ。


君だけの特権だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

殺し屋の狂恋 @Yun77

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画