第4話調査
現在朝方4:00。
「すぅ…すぅ…」
「可愛いなぁ…」
僕が殺し屋と知ってもこんなに無警戒で寝込んでしまうなんて。
もしかして信用されてる?
同じベットで寝る事、あんなに嫌がってたのに。
こんなに簡単に寝顔を見れるなんて。
「ん…むぅ…」
「はぁ…襲わないように気をつけないと。」
「はる…くん…」
「前言撤回。今すぐ襲おうか??」
泣きながら寝言言うなんて。
しかも”ハル君”って、元カレの事?
ムカつくなぁ。
今目の前にいるのも、こうして一緒に寝てるのも僕なのに。
「絶対テノンって寝言言わせるから。さてと。」
このまま彼女の寝顔を見ていても時間が過ぎていくだけだ。
僕にはやらなくちゃいけない事があるからね。
まずはそのハル君?の居場所を突き止めないと。
「それにすぐ離れないとイライラで本当に襲っちゃいそう。じゃぁねマーレ、いい子で待ってるんだよ?」
チュッとほっぺにキスを落としてベットを出る。
キングサイズの大きいベットでは小柄な彼女1人だと随分と余りが出てしまうんだな。
ガラガラだ。
「明日は朝早くから依頼があるからそんなに時間割けないかも。できれば元カレの足取りだけでも掴みたいなぁ。」
それさえ分かれば見つけるのもラクだからね。
名前はハルでいいのかな?略称かな?
まぁいいや。それも含めて調査するさ。
「あぁ、楽しくなってきた。そいつはどんな顔で何を話すのかな。殺せないのが残念だけど、これもこれでたまにはいいかもね。」
お気に入りの武器を持って、部屋を出る。
こんな時間でもこの大きなアジトではチラホラ人とすれ違うものだ。
主に娼婦だけど。
「あらぁ?ねぇテノン〜今夜暇なの?」
「暇じゃないよ。これから調査だ。」
周りの女に目もくれず歩いていれば横から話しかけてきた娼婦が1人。
スルンと勝手に僕の腕に抱きついて胸を押し当ててくるから気持ち悪い。
「て事はお仕事?」
「まぁね。」
「だったら景気づけに。1回どお?」
「…」
下品だな。
胸を強調する派手なドレスに無駄に着飾った髪と手首。
タバコでも吸ってたのかな?口が臭いや。
それにこのプンプン臭わせた香水もすごく悪趣味。
彼女は…
マーレはこんな奴らと真逆だ。
綺麗な浅葱色の髪は着飾らなくてもサラリと指を流れるほど美しい。
服装も落ち着いたスカートで彼女の清楚な雰囲気をより一層魅力的にしてくれる。
タバコなんて吸ってないし、匂いも石鹸と汗の匂いだ。
とても落ち着く。
「ねぇん、テノン〜」
ギュ。
「…ねぇ。誰が勝手に抱きついていいって言ったのかな。」
「え?」
「離してよ。胸糞悪い。」
「はぁ?なによその言い方。機嫌でも悪いわけ?」
本当の事を言われて怒るなんて逆ギレじゃんか。
眉間に皺を寄せて醜いったらないよ。
「たった今悪くなった。君さ、勘違いしてるようだけど換えはいくらでもいるって忘れない方がいいよ。」
「どういう事よ?」
「こういう事。」
ガッ!!と左手を女の首に持っていけば、すぐにねじ上げられる。
忘れてるかもだけどココ、暗殺者集団のアジトだからね?
生意気な口聞いたらなんの抵抗もできない娼婦なんてすぐに首が飛ぶに決まってるでしょ?
「あがっ!がっ…」
「僕はさ。君達みたいな女に興味ないんだよ。誰にでも股開く君達にはね。」
「ふぐっぅ゙!!」
「まぁそれが君達の仕事だ。それはどうでもいいんだけど。殺し屋に喧嘩売っちゃダメでしょ。」
あー、全身が震えだした。
この女、もうすぐ死ぬな。
「ちょい!ストップストップ!」
「ん?」
「離してやれよテノン。どうしたんだよ機嫌悪ぃな。」
「やぁレノン。仕事終わり?」
疲れたって顔で僕の左手を降ろさせようとしてるのは僕が唯一ここ《アジト》で話すレノン。
名前も似てるしなぜかウマが合うんだよね。
「そーだよ。部屋に戻るとこだったのにお前が娼婦片付けようとしてんだもんよ。離してやれって、それ俺のお気に入りなんだから。」
「そうなの?悪趣味だね。」
ドサ!!て手を離してやれば落ちた女は痙攣してて起きてこない。
レノンはあーあって言ってるし。
死んでないでしょ?たぶん。
「何があったんだか。」
「僕に喧嘩売ったんだよ。」
「そりゃバカな事したな。テノンはココのアジトで唯一娼婦に手を出さない男なのに。」
「落としたら箔が付くとかじゃない?気持ち悪いね。」
「ムダに命捨てるとこだったな。んで?お前はどこか行くのか?」
「まぁね。これから調査。」
「なんの?そんな仕事入ってねぇだろ?」
「うん。これは僕個人の調査なんだ。」
あは!驚いてる驚いてる!
僕が殺し以外をするのが珍しいんだろうね!
「明日は台風だな。」
「晴天さ。それじゃ、急ぐから。女の趣味改めなよ。」
「うるせーバカヤロウ。気をつけて行けよ。」
「もちろんさ。じゃぁね。」
汚れた左手をレノンで拭いてから手を振る。
無駄な時間過ごしたから急がないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます