第2話
家につくまでにまた視線を感じたが特に何かしてくることもなく、すんなりと家にも入れたのでもう無視する。
この家は自称世界最強が住んでただけあり、何重にも張られた強力な結界によって守られているし、そのなかに入る方法は1つ。
玄関の鍵を開けてその扉が閉まる前に入る事。
単純であるがその方法でしか出入りを許可しないが、これも条件付であり術式をより強固にする為の技術でもある。
アトリエに戻りまた新しい術式を考えている時にスマホが鳴る。
登録されている友人欄には2人しかいないためすぐに画面を見なくても誰からの電話か察しがつき、画面には予想通り早苗と映っていた。
気付けば外は既に暗く自分を照らしてるのはデスクライトだけだったので、電話に出ながら電気を点ける。
「もしもし」
『さっきぶりですねホノカ君、今いいですか?』
「いいけどどうした?」
なんだか声色が合ったときとなんか違うが、電話越しだからかな?
『せっかく会えたからたくさんお話したいなって、近いうちにどこかでお茶しませんか?』
「いいよぜんぜ、ん…ん?」
『どうしました?』
変な気配。人による悪意と症気が混ざった悪魔が喜びそうな気配を家とは反対側の町外れにある山から感じる。
「なんでもないよ、蚊が腕についたから潰しただけ、西園寺は何してるの?課題とやらは終わったの?」
『はい、もう終わって今から帰るとこなんですよ』
「そうなんだお疲れさま」
この間にも気配は大きくなり流石に無視が出来無そうな、そのうち人的被害が出そうな気配があるので。
潰すことにしようかな。
『ありがとうございます、それでですね』
「あっとごめん、来客みたいだから後で電話かけ直すわ」
『待ってくださ』
なにかまだ伝えたいことがあったみたいだが、それよりもアッチの山の方が重要なので、ブッチしたのはあとで謝っておこう。
家から一歩出た瞬間、昼間にも感じた視線をまた感じ取る。
「出てこいよ、ずっと見られてるのも気持ち悪い」
そういいながら右に指を差す、恐らくはこの方向にいるはずだからだ。
何も反応がないので足下に落ちている小石を拾いいそうな場所に投げる。
何かに当たった音がすると黒フードの人間が出てくる。
「良くわかったな」
声からして男だ。
「そんだけアツイ視線向けられたらナマケモノでも気付く」
「舐められたもんだ、お前のようなガキは簡単に殺せるのだぞ?」
「お前は俺の敵か?」
「術士でもない者を殺すのはつまらんが」
男の目の前に石で出来た鋭利な槍が出現し放たれる、それは折れの腹部に直撃し。
「つまらないな」
殺したと思っている男の言葉を復唱してやる。
「確かにつまらない」
石の槍は塵となって消えていく。
「何故だ直撃してただろう」
そう言いながら同じ術を発動させるが。
こちらも同じ術を使って相殺する。
「なに?クソガキが」
別の術式を発動させ今度はこちらの真上に巨大な岩を生成しようとするが、既にこちらの術は発動している。
悪魔の腕が男の腕を足を体を掴む。
急に現れた腕の形をした真っ黒なそれに驚き身を捩り逃げようとするがまったく動けない。
「これはなっ…!?」
何かを言いかけたところで腕は顔も覆い隠すように掴み、影の中にその身を沈めていく。
殺して死体が残ったら面倒だろ?だからこいつは。
「2人によろしくな」
男は影に飲まれると牢獄のような場所に転移していた。
「これは私がもらっていいかな?」
「いやいや俺が貰う」
そこには2人の男がいて、片方は優男ぽいが、片方はやさぐれヤクザみたいな見た目をしている。
「じゃあ彼に選んで貰おうか」
「たまにはいいだろう」
「君は私と彼ならどっちがいい?」
少し悩みながらも優男ぽいのを選ぶ。
「はい私の勝ち」
「ちっしょうがねぇ」
優男はフックを取り出すとそれを。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
眼球にぶっ刺しそのまま自分の部屋に引っ張っていく。
「頼むぜ坊主、たまには連続でここに入れてくれても」
するとすぐにまた男がここに運ばれ、それを嬉しそうに見るとすぐにフックを取り出したら喉にぶっ刺し、自分の個室に運ぶ。
「安心しろよ百年は生かしてやる」
家を出た瞬間にこっちから仕掛けたとはいえ2人に命を狙われるバトル漫画みたいな展開に少し興奮する。
充実してる日って感じするじゃん?
1人目も2人目もつまらん魔術師か使わなかったけど、あれが魔術師と呼ばれる者なんだろうか。
自分は今まで飛鳥以外の術師とあったことがないから分からないのよな。
まぁいいかと、気づけばつまらない結界が張られている山の方へ向かう。
つまらない町を抜けて山に到着すると、今にも壊れそうな脆い結界を壊さず中に抜ける。
昔なんて聞いたかな、瘴気だったかな、呪いや人の悪感情が集まり発生する悪いオーラのようなモノ。
それが辺り一帯に充満していた。
より濃い方へ、より何かを感じる方へ、歩いていくと自然と山を登っていくことになった。
登りきる前になんだか開けた場所があるなと思えば、戦闘の跡だろうか木々は薙ぎ倒されスッパリと斬れているものもある。
これはいったいどんな魔術を使ったんだろうか。
どんな敵がいるのだろうか。
戦闘の痕跡を辿っていくと頂上まで来てしまう。
そこには先程よりも激しい戦闘の跡とどこにくっついてるんだそれと思うデカすぎる蜘蛛の巣、そしてその巣の主。
蜘蛛の大きさはとてつもなくデカく、脚が俺の身長より長い。
巣には人間が入っていそうな糸がぐるぐる巻きになった物体が3つと、その下に片膝ついてる男が1人、ていうかあいつ昼間会った。
うちのインターホンを押しにも来た西園寺と一緒にいたいけ好かないイケメンだ。
ちなみにイケメンは全員いけ好かない。
ていうかこいつが居るってことは西園寺はどこだ。
イケメンがこちらを向いて驚いた顔をしているが構わず近づく。
「なにをしている!一般人は逃げろ!」
「逃げろってボロボロのやつに言われてもな、・・・てか西園寺はどこだ?」
瞬間こいつは目を逸らす。
その反応だけでなんとなく察しがつく。
こいつが居る時点で彼女も無関係じゃないんだろうなとは思うが、なるほどこの3つの内のどれかってことね。
巨大蜘蛛は巣から動かず。
であれば試しに土を硬化させドリルのように形成し撃つ。
当たったが土は砕け散りなんのダメージを与えられていない、ただ蜘蛛はその行動が気に入らないようで8つの目がこちらを向いているのはなんとなく感じ取れる。
「君、魔術師なのか」
見ればわかることに答えるつまりはないので無視する。
これが無傷ならそれなりに耐久はありそうだし、そうだな、何から撃ってみようかな。
右手に火を生成して圧縮、火を生成して圧縮、火を拡大して圧縮、火力を出して圧縮。
魔力を込め火の色も変わったとき、蜘蛛が口から糸を吐いたのでイケメンを邪魔にならない方向へ蹴飛ばし。
「燃やし破ぜろ爆裂術式試作3号爆絶砲」
タメにタメた摂氏数百度の炎を向きと範囲と速度を定めて放つ。
凄まじい轟音と共に放たれた灼熱は蜘蛛の糸を触れる前に燃やし尽くし、蜘蛛の体も貫通し遥か空の彼方へと消えていく。
「うわぁ」
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