戦闘開始
「(斬神の出現、妖刀師か)」
炎命炉刃金を違法所得している人間は、妖刀師として認定される。
妖刀師が相手の場合、あらゆる規則を無視して、最優先的な討伐が決定される。
「(斬神を使役するよりも、斬術の方が早い、恐らく相手もッ)」
斬神を遣い、異能の力を発動するよりも早く。
奈流芳一以と妖刀師は剣を交えた。
鍔迫り合いを行う二人。
実力は拮抗していた。
「ッ!白檮山!!」
奈流芳一以は叫んだ。
その声に反応する白檮山雪月花。
加勢をしろ、と言うつもりなのか、と白檮山雪月花は思った。
だが、奈流芳一以は自らの背後に立つ襲玄に脳内で命令。
その命令に応じた斬神・襲玄が巨大な大剣を大きく振り上げると、妖刀師に向かって刀を振り下ろす。
「おっとッ」
襲玄の攻撃は、妖刀師の背後に居た斬神が、彼の首根っこを捕まえて無理矢理後退させた。
後方へと投げ飛ばされる妖刀師は、上手く地面に着地して、奈流芳一以を見据える。
奈流芳一以は、相手を見ながらゆっくりと刀を鞘へと納める。
「お前は、もう片方を頼む」
奈流芳一以は、もう一人の妖刀師へ視線を向ける。
黒色の服装をした男は、刀を握り締めながら親指を口元に近付けて、飴玉を舐める様に指を吸っていた。
「(…頼まれた、奈流芳師に)」
彼女は、思わず頬を綻ばせそうになった。
だが戦闘中、油断をするつもりなど無かった為に、即座に顔を引き締めると、相手の方へ顔を向ける。
「お任せを、奈流芳師」
そう自信満々に彼女は言う。
本当ならば、彼女だけでも逃がす選択があった。
しかし、それを選ばなかったのは…あまりにも、この相手が異質であると言う事。
「(人としてならば、二対一で相手をする…だが、こいつらは不味い、逃がしたらダメだ…斬人として、こいつらは野放しに出来ない)」
余程、奈流芳一以の悪感に障ったらしい。
この妖刀師を放置してしまえば、この先、最悪な事態へ陥るだろうと言う斬人としての感。
奈流芳一以は、相手を見据えて、居合の構えをする。
一気に、相手を切り伏せる算段にしたらしい。
「(行くぞ…襲玄ッ)」
奈流芳一以、抜刀。
『流閃』を発動し、一気に間合いを詰めて高速抜刀を行った。
「しゃッ、おらァ!!!」
だが、相手はその動きに反応していた。
刀を振るい、奈流芳一以の刀身へ合わせて接触。
したかと思えば…鼓膜を破る程の大きな音が炸裂した。
「ぐァ!!」
平衡感覚を失う程に大きな音。
その音と共に、奈流芳一以は弾き飛ばされた。
「(この、ワザはッ!!)」
奈流芳一以は、妖刀師が発動した斬術を察した。
斬術戦法・
刀身に闘火を充填させ、攻撃を与えると同時に爆ぜさせる事で衝撃波を放つ技である。
「(当たれば斬術を弾かれる技ッ)」
斬撃を放つ奈流芳一以の斬撃。
高速移動を行い相手を切り捨てる流閃。
相手に接近し、攻撃を与える瞬間に撃剣を使われると真面に近接戦闘が出来なくなる。
相手が上手であれば上手である程に、斬術戦法を封じ込まれる。
極めて厄介な技であるのだが、当然ながらその技には弱点が存在する。
「(撃剣は闘火を貯め込んで一気に発散させる業だ、十分に貯め込むには時間が掛かる、炎子炉が無限じゃ無い限り、早々使用する事は出来ない)」
奈流芳一以は弾かれて相手との間が出来た事を好機と思った。
手や指を握ったり緩めたりする。
完全に刀を振り切る寸前で撃剣を使われ、手足に掛かる負担が中途半端な状態だった。
これならば、多少は動けると奈流芳一以は思った。
「(手足は痺れてるが完全硬直じゃない…だったら)」
奈流芳一以は炎命炉刃金を構える。
背後に佇む斬神・襲玄も共に、相手を睨んでいた。
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