経験
「私は、奈流芳師に興味があります」
奈流芳一以は心臓が跳ね上がる。
自分に興味があると言う事は、つまりは、恋愛感情を抱いている、と言う事なのだろうか、と。
しかし、つい昨日、奈流芳一以は宝蔵院珠瑜に他の女性との接触を禁じられていた。
だから、彼女の願いを叶う事は出来ないし、奈流芳一以も、そう言った普通の付き合いなどは出来ないと考えていた。
「いえ…どちらかと言えば…奈流芳師の、斬術、でしょうか」
と、彼女は奈流芳一以の腕の方を買っていた。
自分が勘違いをしていた事を察して、彼は苦笑いを浮かべる。
「あ、あぁ、そっちか…」
奈流芳一以の斬術。
その技術は、彼にとっては其処まで珍しいものでは無い筈だろう。
ただ、稽古を着けて、十年間、毎日刀を握り続けただけだ。
戦闘に関して役立つ事はあるが、人に教える程の技術などでは無いと、奈流芳一以は思っている。
「はい…奈流芳師の斬術は、私にとっても、とても勉強になります…だからこそ、奈流芳師に、憧れを抱く事も、慕う心も持てています」
奈流芳一以は、また彼女が勘違いをさせる様な言葉を口にしていると思った。
流石に、そう何度も、彼女の言葉に反応する事は無かった。
話を受け流そうとして、奈流芳一以は彼女の話に反応をしようとしたが。
「やはり、私と、奈流芳師の間には、差があると思います、努力をしても、決して到達しない領域…それは何かと考えれば…」
経験、だろうか。
奈流芳一以は、戦闘に対する経験、絶望を受けた経験が、乏しいと思った。
「…経験、だな」
奈流芳一以は、彼女にそう言った。
アドバイスとしては、少し、言葉の足りない事だった。
その言葉を聞いて、白檮山雪月花は、やはり、と頷いた。
「やはり、経験ですか」
頬を赤く染める白檮山雪月花。
戦闘に関して、熱い思いを秘めているのだろうと、奈流芳一以は思った。
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