第28話

「えへへ♪フー君と一緒でお姉ちゃんは嬉しいのです」ギュッ


「、、、はぁ~」


俺は今、姉さんに抱き着かれながら、突如現れた建物を見上げている。本当、どうしてこうなった







「さて、今日は何をするかな、、、、、って、何だあれ?」


【Freedom of Good and Evil Online】第一回イベントが終わってから3日が経ち、ログインすると、村の裏手に昨日ログアウトする前には無かった、バカでかい建物が建てられている


あれ?昨日、ログアウトする前までは、開けた場所であんな建物は無かったよな


「あっ、主様!こちらにおられましたか」


いきなり現れた建物を見上げていると、スケルトン歩兵(隊長リーダー)から声をかけられる。とりあえず、状況の確認をしないとな



「ああ、今来たばかりだけどな。それで、あのバカでかい建物は一体?」


「それが、我々も先程までは無かった建物が、突如現れたので困惑しておりまして。主様に支持を仰ごうと思い探しておりました」


成程な。そうなると、この建物はスケルトン歩兵達が建てたわけではないのか。なぁんか嫌な予感がするが、確認しに行くか


「モルス達は、今何処に居るか分かるか?」


「モルス様でしたら、今の時間でしたらフェルス殿と一緒に広場におられるかと。他の方々は資材集めに行かれている方と、修練所を使用されている方で分かれております」


「そうか、分かった」


「「「「「主様!あの建物をお調べになられるのであれば、我々もご一緒したいのですが」」」」」


モルスと合流する為、広場へ向かおうとすると、スケルトン歩兵(隊長)と他4名のスケルトン歩兵(?)が、俺に言ってくる



「おっ、おう、、付いてくるのは別に構わないぞ。とりあえず、モルスと合流するか。じゃあ、行くぞ」


「「「「「はっ!!」」」」」ビシッ


スケルトン歩兵を連れ、モルスと合流する為に、広場へ向かう。広場へ向かう間、スケルトン歩兵達が小声で言っているのだが、俺には丸聞こえだ



『ようやく、我々も主様のお役に立てる時が』


『やりましたね、隊長』


『ああ、我々ではモルス様達の様な強さは無いが、主様が危機に陥ってしまった時に盾にはなれる。皆、分かっているな』


『『『『はっ!隊長!』』』』


うん、忠誠心が高いのも考え物だな。まあ、このローブを装備している限り、危険は無いけど、それは黙っておこう


しかし、翌々考えると本来スケルトン歩兵は戦闘に使うべきなんだろうな。まあ、モルス達があまりにも強すぎるので、その出番が来ることは早々ないが




広場に着くと、噴水前のベンチに座ってうたた寝しているモルスと、そのモルスの膝の上で気持ちよく昼寝をしているフェルス


あまりにも気持ちよさそうにしているので、声をかけるのを躊躇してしまうが、俺が近づくと気配を感じ取ったのか、起きて声をかけてくる



「「「主~」」」ピョン


フェルスは、モルスの膝の上から俺に抱き着いて、少しじゃれ付いた後、定位置の頭の上に移動する


「あら、気持ちよい天気だから寝ちゃってたわ。おはよう、フーマ♪」


「ああ、おはようモルス。起こしちゃったか、ゴメンな」


「気にしないで。こうして、ずっといると、フーマが居ない間は退屈だから」


「そうか」


そう、モルス達も俺が一回召喚したら、俺が戻すか、戦闘不能にならない限り、俺が居ない間も出ていられる様になったのだ。これは、イベントの報酬として貰った物だが


もう一つの報酬は、運営も直ぐには判断出来ないとの事だったので、今は待ちの状態だ。そして最終的に、『こちら側』になった姉さんも、報酬を貰ったのだが、俺は何を貰ったのかは知らない


まあ、あれを見ると、何となく分かってしまうのだが




「それで、フーマ。どうかしたの」


「いや、これからあの建物の中を調べようと思ってな」ユビサシ


「建物って?、、、、、何あれ?何時の間に、、、」


「俺も、ついさっき来た時に、あったからよく分からんが。それに、スケルトン歩兵達も突如現れたと言っているからな」


「そうなのね、、、ワタシノタンチニモカカラナイナンテ」


「俺の想像通りなら良いんだけど、もし違った場合、何があるか分からんから、モルスも付いてきて欲しいんだけど」


「勿論♪良いわよ♪私はフーマの従神だから♪」ギュッ


ニュアンスが違う気がするが、これについては何時もの事なのでもう慣れたよ


だが、その、、、モルスやルージュとアルトの母娘に抱き着かれた時の、たわわな感触は未だに慣れない



「それじゃあ、行きましょうフーマ」


「ああ、、、あっ!後、今回はスケルトン歩兵達も連れていきたいんだけど」


「、、、、、そうねぇ、、、まっ、偶には良いんじゃないかしら」


モルスの了解も得て、安堵するスケルトン歩兵達



「別に付いてくるのは構わないけど、貴方達、、、分かっているわよね」


「「「「「はっ!主様の危機には、我々が盾となりお守り致します!!」」」」」


「宜しい」


「いや、『宜しい』じゃなくて、流石にそこまでしなくても」


「いえ、むしろ盾になるくらいでは足らないくらいよ、、、そうねぇ、貴方達は見込みが有りそうだから、後で私が訓練をつけてあげるわ」


モルスがスケルトン歩兵達に言うと、ざわつくスケルトン歩兵達。そして纏め役であろう、スケルトン歩兵(隊長リーダー)が


「モルス様が直々にですか」


「そうよ、貴方達も強くなりたいでしょう」


「それは、、そうなのですが、、、宜しいのですか?」


「構わないわ。それに、貴方達がどう成長するのか興味があるし」


「では、お願いいたします。ほら、お前たちも」ビシッ


「「「「お願いいたします、モルス様」」」」ビシッ


見事な敬礼をするスケルトン歩兵達、まあ、当人達が納得しているのなら良いか。でも、モルスが言うように、どう成長するのかは気になるな。家具職人とか執事とかもいるし



「話が纏まったみたいだから、そろそろ行こうと思うけど」


「は~い、フーマ♪」


「「「「「はっ!!主様!」」」」」


「フェルスは、、、寝てるか。まっ、危険は無いと思うから別に良いか」



俺の言葉に、モルスが反応する


「危険は無いって、フーマはアレが何か知っているの?」


「いや、知っている訳じゃないけど、アレが何なのかは何となく予想は出来てる。とにかく行けば分かるさ。さっ、行くぞ」



俺の予想通りなら、これから今まで以上に大変な事になるだろうな

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