第15話

「おはよう、姉さん」


「おはよう、つー君。直ぐに朝食の準備をするね」


「分かったよ」


あの後、モルスに連れられ、屋敷の部屋に案内された所でログアウトして、眠りにつき今に至る



「はい、つー君♪出来たよ」


「ありがとう、姉さん。いただきます」


姉さんが作ってくれた朝食を食べる。俺は、朝食は無くても構わないのだが、何時も姉さんが用意してくれるので、有り難く頂いている


「つー君。今日のお昼は、お姉ちゃんが居ないけど、作り置きしてあるからちゃんと食べるんだぞ」


「分かったよ」


「本当なら、作り置きじゃなくて、作りたてのご飯を食べて欲しいけど」


「別に、そこまでしなくても。そんな我が儘言う子供じゃないし」


「子供じゃない、、、つー君は、いつの間に大人の階段を登ったの!そういえば、つー君から私の知らない雌の匂いがする、、つー君、、嘘だよね」ウルウル


この姉は、、、はぁ、、



「朝から、何を考えているんだよ」


「えっ?何って『ピー』だよ」


「アウトー!子供じゃないって、高校生だからって話だよ!」


「ホッ、、それなら、そうと言ってよ。お姉ちゃん勘違いしちゃうじゃない」


「普通なら勘違いしないんだよなぁ」


「でも、つー君から雌の匂いがするのは、本当だよ。お姉ちゃんに何か隠してない?」



うっ、痛い所を突いてくるなぁ。ゲーム内の出来事だし、話さなくても良いよな


「隠し事なんて無いよ。だって、昨日は姉さんと一緒に出掛けたから」


「そうだった!つー君に、勝負下着を選んでもらったんだった」


「服なら選んだ記憶はあるけど、そっちを選んだ記憶は無いよ!」



脳内ピンクの姉さんを相手に、朝から疲れてしまう



「それじゃあ、つー君。行ってきます」ンー


「行ってらっしゃい。で、何してんの姉さん」


「お姉ちゃんは、つー君が、いつもしてくれている、行ってらっしゃいのキスをして欲しいのです」ンー


「そんな事実は無いからね。もうすぐ、待ち合わせの時間になるんだろ。馬鹿な事言ってないで、早く行きなさい」


「は~い」


姉さんを見送って、コーヒーを入れ一息入れる。朝から疲れた



コーヒーを飲みながら、スマホで掲示板でも見ようかなと思い、スマホを取ろうとすると、着信が入る。まさか、姉さんじゃないよな?流石にそれは無いか、そう思い相手が誰なのか確認をする



「ゲッ、、姉さんの次はコイツか。もしかして、今日の運勢悪いのか」


朝っぱらから、姉さんの相手をして疲れているので、無視をしたいのだが、コイツの場合、相手が出るまでずっと掛け続けるからなぁ、、、出るしかないか


ピッ「はい、もしも、、」


『司殿~!出るの遅いでござるよ!』


キーン「うるせえー!大声で話すんじゃねえよはじめ!」


『そっ、それは、すまないでござる。しかし、司殿が中々出なかったもので、つい』


「つい!じゃねえよ、全く。それで、何の用だ?」


今、通話しているのが、もう一人の幼馴染の斎藤一さいとうはじめだ。お分かりだと思うが、コイツが俺にモルスの事を教えてくれた奴だ。悪い奴じゃないのだが、如何せん暑苦しいのが玉に瑕な所がある



『それなのでござるが、、、拙者も手に入れたのでござるよ【Freedom of Good and Evil Online】を』


「そうか、良かったな。じゃあな」


『いやいや、待つでござるよ司殿』


「何だ?FGEOを手に入れた報告だけじゃないのか?」


『勿論、それもでござるが、司殿に相談が』


「相談って、何を?」


『それは、拙者どの職業から始めれば良いのか、迷い過ぎてしまっているので。司殿に相談を』


「それなら別に構わないが、卓也も呼ぶか」


『いえ、卓也殿には、もう相談をして「一の好きにすれば良いさ」と言われたので』


「なるほどな」


卓也の奴、絶対面倒臭くなったから匙投げたな



『なので、卓也殿にはこれ以上、迷惑を掛ける訳にはいかなく思い、司殿に相談を』


俺に対しての迷惑は良いのか?


「てか、俺も卓也と同じ意見しか言えんぞ。他に言えるとしたら、一は最終的にどんな事をしたいんだ」


『やはり拙者が憧れている、侍でござるかな』


「じゃあ、それで良いんじゃね」


『しかし、忍者や騎兵隊、、他にも魅力的な物が』


このまま、続けても埒が明かないな、、、あまり教えたくないが、教えてやるか



「今から、迷っている一に、提案したい事がある」


『司殿、提案とは一体?』


「だが、今から言う事を、誰にも話さないと言う条件を付けるがな」


『、、、、、承知!それで、司殿の提案を教えて貰えるのであれば』


「そうか。じゃあ、今から言うぞ。実は俺も、職業を選ぶ段階で結構迷ってな」


『司殿もそうでござったか』


「まあな。でだ、FGEOには職業を選べる他に、運任せのランダムがある。因みに、俺はランダムで職業を決めた」


『何と!その様な機能があるのでござるか?』


「ああ、あるぞ。だがな、そのランダムで選ばれる職業の中に、最初に選ぶ事の出来ない、最低ランクと最高ランクがある」


『うーむ。それだと、大博打でござるな』


「だな。だから、無理にオススメはしない。一応こんなのも、あるって考える程度で良いぞ」


『、、、、、決めたでござるよ!拙者は、ランダムで始める事にするでござる』


「そうか。まあ、好きにすれば良いさ」


『早速、FGEOを始めるでござる。司殿!感謝するでござる。では』ピッ



「はぁ~疲れた」


そのまま、ソファーに倒れ込む。朝から、姉さんに続き一の相手をして、暫く動きたく無い



「あっ!そうだ、掲示板を見ようと思ってたんだ」


ソファーに寝そべりながら、スマホで掲示板で情報を漁るが、これと言って新しい情報は特に無い


その後も、掲示板をざっと見していると


「何だ?こんなのは、前に無かったよな。えっと日付は、、、えっ!昨日初めて立ったのに、もうPart3まで行ってるのか。しかも、タイトルが【チーター?】ねぇ。覗いてみるか」



気になったので、そのスレッドを見る




【チーター?】どこからともなく狙撃され、デスペナ食らった被害者の会【運営仕事しろ!】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


233:名無しの善プレイヤー


>>230

お前も、やられたのか悪プレイヤーなのに?


善プレイヤー以外の報告は、初だな



234:名無しの悪プレイヤー


>>233

そうだよ!昨日の段階では善プレイヤーの被害だけだったが、今日インして仲間と街へ行く途中で、どこから撃たれたか分からないが狙撃された


俺は、初期勢だから言えるが、俺達に気付かれづに狙撃できる事は絶対に無理だ。これでも、レベル50超えだからな



235:名無しの善プレイヤー


>>234

嘘乙!レベル50以上のプレイヤーならトップ勢のはずだから、対処できるだろ


因みに、俺は無理でした。゚(゚´Д`゚)゚。初期勢だけど、未だレベル20に届かない雑魚です


お陰で今ペナルティーを受けてる最中



236:名無しの悪プレイヤー


>>235

嘘じゃねえよ💢これでも一応、悪プレイヤーの中では、それなりに知名度はあるぞ!何なら、名前を出してやるよ。それと、FGEOのレベルは上がり難いから気にするな



237:名無しの善プレイヤー


>>236

おう、あくしろよ。後、ありがとな



238:名無しの悪プレイヤー改めサヒーン


>>237

ほら、これでいいだろ。おう、頑張れよ



239:名無しの悪プレイヤー


サヒーンだったのか!えっ、じゃあ本当に悪側にもチーターが現れたのか



240:名無しの善プレイヤー


>>238

疑って、正直スマンカッタ。サヒーンだったとは思わなかったぜ。てかさ、チーターならこの運営が見逃すか?


もしかしたら、俺達が知らない最強職があるんじゃね?



241:サヒーン


いや、それだとしても無理があるぞ。俺は、一緒にプレイしていた仲間が先にやられて、辺りを探ったが、少なくとも近くにはプレイヤーらしき影は無かったぞ


その後、直ぐに撃たれてデスペナ受ける羽目になったがな



242:名無しの善プレイヤー


もうすぐ待望のイベントが始まるってのに、運営に問い合わせても、現在確認中としか返事がないし


チーターなのかバグなのか分からんが、早く対処して欲しいもんだぜ。一緒にプレイしてる仲間の一人が、解決されるまでインしないって日和ったから、ダンジョン攻略が大変



243:名無しの悪プレイヤー


>>242

ご愁傷様。しかし、サヒーンもやられたのなら、俺も気をつけないとな。デスペナは受けたくないし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここまで読んで、読むのを止める。なるほどな、このプレイヤーは、俺や姉さんと同じでランダムで当たりを引いたのかも?てか、レベル50以上でトップ勢になるのか。FGEOのレベルが上がり難いと書かれているが


もしかして、モンスターを倒すよりクエストの経験値が高いのを知らないのか?まあ、俺の場合は、スペシャルやシークレットだがな。普通のクエストで、貰えるの経験値が分からないので何とも言えないが。後で、卓也に聞いてみるか


後、気になったのが、俺と姉さんは善悪の開始地点から、かなり離れた場所が開始地点なのに対し、善悪のプレイヤーを襲撃できると言う事は、近い場所で開始されている事が気になる。もしかしたら、このスレッドの通りチーターの可能性も捨て切れない



もしも、本当にチーターだとしたら、野放しにしている状況になる


運営は一体何を考えているんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る