第12話

初のダンジョン攻略が終わり、村へと戻る。えっ?戦闘描写は無いのかって?いや~あの扉の先は、確かにボスモンスターの『ビトレイアルヴァンパイア』が居たよ。しかも、ご丁寧に喋る事が出来る奴がな、、、じゃあ、回想するか



~ ボス部屋前 ~


「ヨシッ!部屋に入るか」


一応、皆が空気を読んで俺に扉を開けさせてくれる。部屋の中に入ると、城のエントランスの様な場所になっている。その中心辺りに人影が見える。どうやら、その場所に立っているのが、このダンジョンのボスだろう。そして、その人影が喋り出す



「ようこそ、我が城へ。歓迎グッ、、、」ピタッ


歓迎グー?何だそれ?流行りの言葉なのか?


「な、、何故だ!、、か、、身体が動かん!、、ウギギギギ」グググ


あ~~~ダメみたいですね。俺のボスへの淡い期待は打ち砕かれる。そして、モルスから



「ねえ、フーマどうするの?アレ」ユビサシ


「どうするって、そりゃ倒すしか無いだろ。そうしないと部屋から出れないし」


「誰にらせるの?」


物騒な文字変換があった感じがするが、気にしないでおこう。でも、本当に誰にやらせるかなぁ?



「誰か、やりたいのはいるか?」


後ろを向き、皆に聞いてみる。すると、亜々吸永苦が俺の前に来て


「ぶひっ!おでがりたいんだな。お宝探しも好きだけど、どれだけ強くなったか試したいんだな」ポヨン


ああ、確かに。他のメンバーは戦闘(?)をしたが、亜々吸永苦は宝箱を探していただけだったな



「俺は、亜々吸永苦で良いと思うが、皆もそれで良いか?」


他のメンバーにも、一応聞いてみる



「良いんじゃない。私は道中で結構戦っていたから任せるわ」 ローリエ


「拙者も、道中居合いの訓練で満足したので、任せるでござるよ」 血切桜


「、、広いからやりたいけど、、亜々吸永苦で、良い」 エルミタ


「私は、フーマ様の命令に従うだけです」 オンジュ



武器達は、亜々吸永苦に任せる事に賛成してくれる。一方、従魔(神)組は



スンスン「「「スヤー、、zzz、、」」」 フェルス


「あんな雑魚なら、私が出る必要は無いわ」 リヴィ


「私は、フーマの隣で守る使命があるから」ギュッ モルス



フェルスは完全にお休み中、リヴィも興味は無い。そして、モルスは俺と腕を組んでその豊満な胸を押し付ける。それを見たローリエ・リヴィのタッグチームが突っ掛かる



「「さりげなく、フーマと腕を組んでんじゃないわよオバサン(死神)!」」シャー


「あらあら、何処からか乳臭い幼女二人組の声がするわ~。こわ~い♪助けてフーマ♪」


「「あん💢今此処でりあうか」」




毎度毎度、良く懲りずにやるな


「、、、はぁ、、お前達、やり合うのは帰ってからにしろ。今は、亜々吸永苦の戦闘を黙って観戦してくれ」


「は~い♪ごめんなさいフーマ♪」ギュッ


「「チッ!戻ったら覚悟しておけよオバサン(死神)」」


まあ、喧嘩するほど中がいいと言うし、、、今はこれで良いか



さてさて、亜々吸永苦がどんな戦いかたをするか拝見しますかね



「グギギィィ、、ハァハァ、、何故動かんのだ、、、」


まだ頑張ってたのね、ご愁傷様


「ぶひぃ!行くんだな。覚悟するんだな」


「ガアァァァ、、、動け動け動け、、何故だぁぁぁぁ」


「ぶひひ!まず一振りするんだな」シュッ


亜々吸永苦が、ヴァンパイアの胴体部分に苦無を振る、すると『スパッ』と綺麗に胴体が真っ二つになる。そんなに力を入れていなかったのか、亜々吸永苦は少し困惑顔だ



「へぇ~中々やるじゃない」 ローリエ


「ほう、亜々吸永苦も居合いが出来たのでござるか」 血切桜


「、、、お見事、、凄い速さだった」 エルミタ


「素晴らしい、私も負けていられません」 オンジュ


武器達はそれぞれ、亜々吸永苦を評価している。当の亜々吸永苦は、未だに困惑しているようだ



「凄かったよ、亜々吸永苦。それで、浮かない顔をしているがどうした?」


「、、、フーマはん!これ凄いんだな!でも、上手く加減出来ないんだな」ブニュ


ああ、まだ身体を上手く使えないから、困惑してるのか、、、どうするかねぇ



「それなら、修練所に俺と一緒に入って慣らせば良いんじゃないか?まあ、その時に今と同じ状態なのか分からないけど」


「ぶひ!その手が合ったんだな。流石フーマはんなんだな」ポヨン


困惑中の亜々吸永苦の顔が晴れたので、後はこの場所がダンジョンの最深部なら、入口へ戻るポータルがあるはず



「見て見て、フーマ。これ凄いわよ」


モルスが、俺を呼ぶので声のする方を見る、、、おぉ、宝箱が2個、しかもどちらも金箱なのだ。FGEOの宝箱の種類は『木箱・銀箱・金箱』の三種類がある。察しの通り一番低いのが木箱で、一番高いのが金箱になる


道中で発見した38個の宝箱も、35個は木箱で残り3個が銀箱だ。俺が良く使っている掲示板でも、銀箱が出た情報は極稀にあるが、金箱の情報は全く無いので、開けるのが楽しみだ


金箱をモルスが収納すると、金箱が置かれていた場所にポータルが出現する。やはり此処が最深部だったのか


ポータルの中に皆入り、ダンジョンの入口に戻される。戻った瞬間【ピコンッ!】


、、、、、何で、今鳴るの?特に何もしてないんだけど。確認するけどさぁ



【シークレットクエスト『ビトレイアルヴァンパイアに囚われた吸血姫ヴァンパイアプリンセスを救え』クリアおめでとうございます】


、、、ん?クエスト?それもシークレット、、訳分からん。そもそもクエストを受けた覚えが無いんだけど、続きを読んでみるか


【クリア報酬と致しまして、『称号:吸血姫を落とす者』が付与されます。更に、EXミッション、攻略完了までノーダメージの達成報酬として、『称号:吸血女王ヴァンパイアクィーンを落とす者』が付与されます】


何かまた称号が増えたな、確認は後回しにしよう


【そして、『称号:吸血姫を落とす者』と『称号:吸血女王を落とす者』の称号を取得した事により『称号:親子丼』が付与されます】


おいおい、物騒な感じの称号じゃないけど、親子丼って。運営は馬鹿なのか?


【FGEO初のシークレットクエスト達成に伴い、『称号:見破りし者』が付与されます】


おお♪漸くまともな称号ゲット出来たぞ。しかし、これで何個目の称号だ?



【最後に運営から、シークレットクエストはクリアした時にのみ判明する仕様になっています。クリア条件は無理難題が多く大変ですが、その分報酬は破格なので、街や村、街道やダンジョン等、様々な場所で色々試す事をオススメ致します】


ほ~う、無理難題ねぇ♪面白い、やってやろうじゃないか。そうだよ、そう!こういったのを待っていたんだよ俺は



さてさて、落ち着いた所で称号の確認をしますかね


【『称号:吸血姫を落とす者』 称号の効果:召喚魔法『百鬼夜行』にて、吸血姫『ルージュ』の召喚可能。吸血女王『アルト』がいる場合、全ステータス3倍】


【『称号:吸血女王を落とす者』 称号の効果:召喚魔法『百鬼夜行』にて、吸血女王『アルト』の召喚可能。吸血姫『ルージュ』がいる場合、全ステータス3倍】


【『称号:親子丼』 称号の効果:男性プレイヤーの場合は母と娘、女性プレイヤーの場合は父と息子に関係が当たるものと、契約した場合に現れる】


【『称号:見破りし者』 称号の効果:FGEO初シークレットクエスト達成者の証。神級スキル『神眼』が贈られます】



召喚魔法枠に入ったのか、もしかしたらあの金箱2個に所縁のある武器でも入っているかと思ったんだがな。ステータス3倍になるのは、召喚してみないと分からんから今は保留で、どうせぶっ壊れだろうし


次の、親子丼は完全にネタ枠だろう。むしろ、そうであって欲しい


最後の称号で、神級スキルが貰えるのは素直に嬉しい。FGEOでスキルは基本的に、スキルを貰える専用のクエストをこなすか、宝箱から入手するしか方法が無い



スキルのランクは


下級<中級<上級<最上級<神級の五段階。今回贈られて来る神級は、一番上なのでどれ程の物なのか気になるので確認をする


【スキル『神眼 Lv.1』 消費SP1:1000Km先まで5分間自由に見る事が可能】


これだけ?、、、いや、俺の感覚が麻痺しているんだろう。普通に考えれば1000Km先を見れるだけでも、凄い訳だし。それに、Lv.1って事は、レベル上げをすれば他の事も出来るはず


これで、一通り確認が終わったから、早く村に戻って、宝箱を開けないとな。魔法やスキルも欲しいが、やっぱり武器が一番欲しいかな


















~後書きみたいなもの~


シークレットクエスト『呪われし吸血姫ヴァンパイアプリンセスを救え』達成条件



1:ダンジョン攻略完了するまで、ダンジョン内の宝箱を開けてはいけない


2:ボスのヴァンパイアを1撃で撃破する


3:ボス部屋の内装を一切破壊してはいけない


4:ビトレイアルヴァンパイア討伐報酬の宝箱で、金箱を1個以上出す事


5::1~4をゲーム内時間、12時間以内に攻略すること


6:本クエストを挑戦出来るのは初回攻略の1回のみ



EXミッション:ダンジョン攻略中、一切ダメージを受けてはいけない



このクエストは、モルスが居ない限り絶対にクリア出来ない仕様になっています。モルスが居ない場合、1の宝箱で完全に詰みになります


その理由は、道中の宝箱は無視する事は出来るのですが、ボスを撃破した際に、必ず宝箱が討伐報酬として出るので。それを開けて箱を消さない限り、入口へと戻る為のポータルが出現しないからです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る