第7話

さあて、冒険の始まりだ、、、そう意気込んでいたのだが、、



「そんな遅い攻撃なんて当たらないわ。凍れ!『氷結光線フリーズレーザー』」


「フッ!『一忌刀旋いっきとうせん』ふむ、もう少し歯ごたえが欲しいでござるな」


「『クインテットアロー』、、、、今は、これで十分」


「ぶひっ!遅すぎるんだな『影分身』次はお前達なんだな」


「セイッ!皆さんが羨ましいです。フーマ様の前で技を披露出来て。ヤッ!私の技を使うとこの辺り一面更地になるので、、ハッ!」



俺の武器達が、張り切ってモンスターを狩っている。最初はモンスター達も、獲物が現れた為、集団で襲って来たのだが、、、今では、我先に逃げ出す始末。しかし、それを絶対に逃がさない武器達。これじゃあ、俺達が悪者みたいだな



モルスは俺の隣で、皆の戦闘を観戦しながら皆の戦闘を採点している。フェルスは、俺の頭の上で幸せそうに寝ている。あっ、あのオークとゴブリンが、逃げ出す事が出来ないのを悟ったのか、泣きながら命乞いを始めたぞ。モンスターとしてそれはどうなの?



戦闘に参加出来せずにレベルだけ上がるこの状況、どうしてこうなった、、、



~ ゲーム内時間 3時間前 ~


ゲームにログインをして、フェルスとモルスが一緒に現れる


「「「主~」」」


フェルスは、ログインと同時に俺に抱き着いて来る


「よっと。これから村から出るけど、戦闘があるからフェルスをずっと抱き抱えるのは、無理だぞ」


「え~~~。じゃあ、こうする」


すると、フェルスは俺の頭上に移動する


「これなら良いでしょ、主」


「別に構わないが、落ちないのか?」


「大丈夫だよ」


自信満々に答えるフェルス。まあ、そう言うなら良いか



「あっ、そうだ!なあ、モルス。俺の防具ってあるのか?」


武器(?)は、あるのだが防具の存在をスッカリ忘れていたな。色々あり過ぎたから仕方ない事だよな


「あるにはあるけど、武器と違って呪われている物は此処には無いから、フーマに装備は出来ないと思うわ」


何だって!呪いの防具が無いだと、、、


「じゃあ、俺は暫くはこのままでいるのか」


今まで忘れていた俺も悪いが、普通なら武器と防具は用意してるだろ!武器に力を入れすぎて運営は、防具の存在を忘れたの!無能運営め。心の中で運営に愚痴る。そんな俺にモルスから



「それなら安心して。『黒洞ブラックホール』えーっと、確かこの中に、、」


はあ!ブラックホールって言った。しかも、その黒い球体に手を突っ込んでるし


「なあ、モルス。それ、大丈夫なのか?」


「大丈夫よ。これは、アイテム保管用の魔法だから。攻撃用は別にあるわよ」


「保管用なら、『道具箱アイテムボックス』があるはずだよな」


「勿論、それもあるわよ。でも、こっちの方が無限に入って便利だから、、、見つけた」



無限に保管出来るのは便利そうだが、探すのがモルスを見ると大変そうだな。モルスは黒い球体の中から、何かを取り出す


「はい、フーマ。これなら、装備出来るはずよ」


そう言って俺に、ローブを渡して来る。あれ?このローブ、モルスとデザインが同じ何だけど



「なあ、これって」


「言いたい事は分かるけど、性能を確信してみて」


「分かった」


モルスに言われたので、性能の確認をする、、、、、うん、知ってた



【死の女神の祝福ローブ:死の女神モルスの愛情呪いが込められている。死の女神モルスとの友好度が高ければ高いほど、より強い効果を発揮する】



「それなら、装備出来るでしょ」


「そうだな。装備不可では無いから出来るな、装備じゃなく羽織る感じになるが」


「それに、フーマなら性能に関しても凄い事になるはず。とにかく、装備してみて」


モルスに言われ、装備してステータスを確認する



【プレイヤー名:フーマ】

【種族:人間(?) 性別:男】

【職業:呪死王】


Lv:1


HP:30

SP:30

STR:Error(+30)

DEX:Error(+30)

VIT:Error(+30)

AGI:Error(+30)

INT:Error(+30)

MND:Error(+30)

LUK:Error(+30)


、、、おいっ!何だこのステータスは、HPとSP以外がError(+30)って。それに、種族に何故(?)が付くんだよ



「どう、凄いでしょ♪」


「確かに凄いよ。余りにも凄過ぎてこのローブがあれば、武器や防具全ての装備の必要性が無くなるくらいにな」


「でしょでしょ♪それじゃあ、これからず~~っと♪フーマとペアルックね♪嬉しいわ♪」


モルスが良い笑顔で言うので、ペアルックと言う事実に照れてしまう。その時、頭の中で大声が聞こえる



『ちょっと!二人でイチャイチャしてんじゃ無いわよ!フーマも鼻の下を伸ばしてないで、私達を早くびなさい💢』


キーーンと、ローリエの大声が頭に鳴り響き、その場で頭を抱えて座り込む。突然頭抱えたのでフェルスが


「主、どうしたの。大丈夫?」


心配してくれるのだが、今はそれ所ではなく、ローリエからまた大声で


『早くしなさい!!その駄肉を退治してやるんだから!』


『ローリエ落ち着くでござるよ。そんな大声を出すと、フーマ殿にダメージが入ってしまうでござるよ』


『フガッフガッ』


『皆も、ローリエを押さえるのを手伝うでござるよ。フーマ殿、ローリエは拙者達が押さえておくので、回復したら召喚をお願いするでござる』


血切桜に助けられ、頭の中でガンガン鳴っているのを回復するまで、ジッとして待つ。その間にモルスやフェルスに声を掛けられるが、心配されているのは分かるが、何を言っているのかわ分からない


10分程時間が経ち、やっと頭に響いていた音が無くなる


「「「主?大丈夫」」」


「フーマ、大丈夫なの?」


「ああ、もう落ち着いたから大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとう」


「それで、何があったのフーマ?」


「説明の前に、済まないが『百鬼夜行』」


魔法を使い、武器を喚びだす。、、、瞬間「この駄肉がぁぁぁ」モルスに飛び掛かるローリエ。それを見て、何かを悟り飛び掛かるローリエの顔を、豊かな胸で押さえ付ける



「ムググ、、」ジタバタ


世の男性諸君であれば、女性の豊満な胸に顔を埋めれる行為は、羨ましいと思うだろう。それが、ローリエみたいに窒息死させられそうで無ければ


「まったくこの幼女は、、、まだ、教育が必要かしら」


「フググッ、、ムガー」バシバシ


ローリエは苦しいのだろう。力の限り暴れて、どうにか逃れようとしているのだが、モルスにダメージを与える事が出来ず、モルスは更に抱きしめている両腕に力を入れる。しかし、ローリエが暴れているのに、モルスのローブには傷一つ付かない


多分、俺のローブも同じなんだろうなぁ、、



「、、、グッ」プラーン


あっ、ローリエが落ちた。大丈夫なのか?


「あら、気絶したちゃったわね。もう少し、耐えられると思ったらけど」パッ


そう言いながら、ローリエを離す。ローリエはそのまま地面に落下し横たわる


「フーマの仇は取ったわ」プルン


胸を張って誇らしげに言うモルス



「いやいや、仇じゃないから。仲間だからね」


「冗談よ、冗談。でも、もしまた同じ事をしたら、その時は、、、」フフッ


怖っ!!次からは、ログイン直後に忘れずに喚ぶしかないな




ローリエが起きるまでの間に、召喚魔法『ネクロマンシーLv.1』を使ってみる


「「「「「「「「「「「「「「「「「「カタカタッケケケッ」」」」」」」」」」」」」」」」」」


うーん。ざっと見、30体程の剣・槍・弓を持っているスケルトン兵が召喚されるのでステータスを確認してみる


【スケルトン歩兵】

【種族:死霊】

【召喚主:フーマ】


召喚Lv:1


HP:100

SP:0

STR:80

DEX:20

VIT:20

AGI:20

INT:0

MND:0

LUK:5



ん?レベル欄に召喚の文字がある。召喚レベルを上げれば、スケルトン歩兵のステータスが上がる仕組みか。まだLv.1だからこんな物か、そう思い戻そうとするのだが、、、、あれ?解除って出来ないのか?どうしよう



「どうされましたフーマ様」


「ああ、オンジュか。スケルトン兵を召喚したんだけど、戻したり解除が出来なさそうだから、どうしようか迷ってね」


「そうですか、、、それでしたら、この村を復旧作業をやらせてみては。素材等は我々が調達するので」


オンジュに提案され、暫くは此処が拠点になるので良い案だな


「何々、二人で何を話しているの」


モルスが、会話に加わって来る



「いや、俺が召喚魔法を試しに使って、スケルトン兵達を戻す事が出来ないから、オンジュに相談してね」


「それなら、私が塵にするわよ」


モルスが平然と恐ろしい発言をするので、スケルトン兵の揺れが激しくなり、ガシャガシャと音を立てる。恐怖から震えているのか?



「いやいや、それは流石に可哀相だから止めてくれ。俺は、オンジュが出した案で、スケルトン兵達に村の復旧作業をさせようと思う」


「フーマが、そう言うなら反対はしないわ」


スケルトン兵達は安堵?したのか、揺れが収まる



「でもね。もし、フーマの為に働かない者が居たら、消すわよ」


スケルトン兵達に、釘を指すモルス


「俺は別に気にしないから、そこまで言わなくても」


「いーえ!ダメよ!貴女もそう思うでしょ」


モルスは、オンジュに問い掛ける


「そうですね。フーマ様の為に働かないのであれば、塵にするのは仕方が無いかと」



モルスとオンジュが、ローリエ以外の他3人にも聞くが、皆同じ様な答えを言う。スケルトン兵達は、一斉に俺の方に顔を向け助けを求めている様だが、首を横に振り諦めてもらう



そして、ローリエがまだ目を覚まさないので、血切桜、亜々吸永苦、オンジュ達が資材を調達しに行ってしまう



「何これ!一体どうなってんのよ!」


ローリエが目覚めて、スケルトン兵達が、村の復旧作業をしているのを見て叫び出す。ローリエに近づき


「おはよう。やっと目覚めたか」


「おはようフーマ、、、じゃなくて、このスケルトン達は何なのよ!」


ローリエが気絶している間に起きた出来事を伝える



「スケルトンがフーマの召喚魔法なのは分かったわ。でも、何で復旧作業に使ってるのよ!」


「解除が出来ないからな。それなら、どうせ暫くの間この村を拠点に活動するから、住みやすくなればと思ってな」


「、、、はぁ~~、、」


ローリエは呆れて溜息をつく、俺は続けて


「それに、今のスケルトン兵のステータスだと、戦闘に出すのは無理だし。戦力はローリエ達だけで十分だからな。それなら、復旧作業で有効活用した方が良いだろ」


「分かったわよ。一応納得してあげる」



気にするだけ無駄だぞローリエ




ローリエも目覚めたので、やっと冒険の旅に出れるな


スケルトン兵達に指示を出して村を出る。すると、モルスからローリエ達に提案があるみたいだ



「幼女は、私とフーマのペアルックが羨ましい様ね。そんな貴女だけではなく、全員に提案があるんだけど。聞きたい?」


ローリエだけではなく、他の皆にもモルスが問い掛ける。皆、興味があるのか、モルスに話の続きを促す


「それじゃあ、今から貴方達に、、、そうねぇ、30分間で一番多くモンスターを倒した勝者には特別に私が、貴方達の元になっている武器をフーマに作ってあげるわ」


モルスの言葉に、皆ザワザワする



「モルス。そんな事が可能なのか?」


「多少性能は落ちるけど、デザインを一緒にするのは簡単よ。それに、私ならフーマが装備可能な愛情呪いを付与出来るし」


「まあ、それなら良いのか。皆はどう思う?」


ローリエ達に聞いてみる



「駄肉にしては、良い案を出すじゃない。勿論やるわ!」 ローリエ


「フーマ殿と一緒に、刀を振るのも一興でござるな」 血切桜


「、、フーマと狩りをする」 エルミタ


「ぶひぃ!フーマはんに暗殺術を教えるのも、面白そうなんだな」 亜々吸永苦


「そしたらフーマ様に、私の全てを教えられる」 オンジュ


若干何名か物騒な事を言うが、皆乗り気になっている



「それじゃあ、貴方達全員参加するのね。じゃあ、始めっ!!」


モルスの開始の合図と共に、皆、攻撃開始する






そして、冒頭に戻る


命乞いをしていたモンスターは、もう居ない。何かゴメンな。ボーっと戦闘観戦しているだけなのに、俺のLvが10になっている。最初は戦闘に参加しようと魔法を使おうとしたのだが、皆から止めてと言われて何も出来なくなる


「残り、5分を切ったわよ」


淡々と時間を告げるモルス。しかし、この辺りにはもう、モンスターが居ないので移動を開始しようとしたら、上空から「グルァァァ」そんな鳴き声と共に、現れるワイバーンの群れ


「あら、ワイバーンが此処に現れるなんて珍しい『貴方達、ワイバーンの得点はオークの倍付けるわ』」


モルスの言葉を聞き、一斉に駆け出す




果たして勝者は、、、















~後書きみたいなもの~


現在の討伐得点ランキング


1位 エルミタ 531点

2位 ローリエ 507点

3位 亜々吸永苦 456 点

4位 血切桜 375点

最下位 オンジュ 173点


勝者は誰になるのか

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