聖女は俺に気があるけど、俺は困ってる…

| アークI | 第二章: 帝都イリフェル

　レシッチ帝国の首都イリフェル。この都市は反魔法ルーンと高度な魔法障壁で構築され、厳しい登録簿に載っていないものをすべて排除する。魔法使いはこの都市で厳しい罰を受けるが、すでにマナの乱流に慣れている人々や魔法使いにはほとんど影響がない。

　このような危険な世界では、魔法は最大限の注意を払って使用されるべきである。要するに…魔法は負担であり自由である。魔法は秩序の中の混沌である。したがって、マナと共鳴する潜在能力を持つ者は、自然と責任を負うことになる。

　しかし、都市の繁栄の理由はそれだけではない。この都市は広大な魔法の森や金属や鉱物を含む冷たい山々などの自然資源に近い。また、すべての都市で使用されている最先端の発電機の唯一の輸出業者でもある。

　これらの魔技は買い手の希望に応じて設定できるが、使用される独自の材料のためにほとんど再現不可能であり、これはほんの一部の人々しか知らない。

　そして、このような都市に住むのは、活発でありながら内気な少女、聖女である。彼女は人々のために奇跡を起こし、未知の病気を治し、戦闘でも奇妙に有能である。

　彼女は聖女に任命されてまだ間もないが、人々はすでに彼女を愛している。そして、前の聖女が亡くなってから1年後、彼女はその役割を引き継いだ。

　それは亡き聖女の遺志であった…彼女もその願いを叶えたかった。何しろ…それは彼女の祖母の最後の願いだったのだ。

　前の聖女には多くの崇拝者がいた。彼女は年老いて賢かった。しかし…彼女が亡くなるのはまだ早すぎた。そして、帝国全体が彼女の死を悼んだ。イリフェルでの葬儀に参加できなかったとしても、それぞれの都市で彼女に敬意を表して独自の葬儀を行った。

　（…おばあちゃん、私は最善を尽くします。そして…安らかにお休みください。）

　祖母の教えと遺産を受け継いだ聖女は、祖母の好きな花を墓に置いた。

　そして、決意と自信に満ちた顔で彼女は自分に約束した。（私は人々を失望させないと約束します…帝国を守ります…）

　…

　 ……

　…

　現在、友人のケイリンと一緒にカフェで、聖女は目の前のお菓子を楽しんでいる。彼女の顔には甘く無邪気な笑顔が浮かんでおり、同一人物とは思えないほどだった。

　優雅さはどこへ行ったのか？

　ケイリンはため息をつき、友人を見つめた。「放浪者たちはもうすぐ到着するんでしょ？」と彼女はお茶を飲みながら尋ねた。

　しかし…聖女は目をそらして答えなかった。二人は幼馴染で、学院時代の初期に出会い、ちょうど卒業したところだった。前の聖女が亡くなった年と同じ年だ。

　「無視するつもり？」とケイリンは少し不機嫌そうに友人を見下ろして尋ねた。

　‘うぅ…’

　緊張した聖女は、ハチミツティーを可愛らしく飲みながら友人を横目で見た。

　「…分かるでしょ？私は…見知らぬ人が苦手だから、会う前に充電が必要なんだよね。そうでしょ？」彼女は優雅に答えた。

　「…なぜ私に聞くの？それに…今さらその優雅さを装っても無駄だよ。私は知っているから…」

　‘うぅ…’

　‘ぷふ…’ケイリンは笑い、「あなたは‘聖女’だよね？人好きでしょ？もう慣れなさいよ…ぷふ…あはは~」と言った。

　目に小さな涙を浮かべながら、アメセリは友人に反論した。「で、でも彼らは異世界から来たんだよ！？それは…見知らぬ人プラス見知らぬ人って感じ！」と彼女は叫んだ。

　驚いたケイリンは代わりに彼女をからかい始めた。「あら？聖女様の語彙は大丈夫？辞書が必要？」と。

　アメセリは頬を膨らませて拗ねた。「もう！ケイ！最近私に意地悪ばっかりして！」彼女は答えた。「ふん！」と彼女は腕を組んで体を背けた。「でも…君の言う通りだ…」と落ち着いてからアメセリは言った。

　友人が[聖女モードのアメ]にスイッチを入れたのを見て、ケイリンは笑った。この一面が人々に最も馴染みのあるものであった。

　（いつもながら見事だね；誰かが別人だと思っても驚かないだろう…）

　ため息

　ため息をついたケイリンもまた真剣になった。「とはいえ…放浪者の一人は呪われていることを忘れないで。」

　「…呪われている？」とアメセリは好奇心を持って尋ねた。

　「どんな呪いかは分からないけど。気を付けてね、アメ。」

　「…ありがとう」とアメセリは優雅に微笑んで答えた。「気を付けるわ。」

　…

　 ……

　…

　くしゅん…

　（…誰かが私のことを話しているのかな？）とアルムは考えた。ほどなくして、美しい景色が目の前に広がった。

　「風邪をひいたの？」とイリスさんは尋ねた。

　彼女とはあまり話したことがなかった。実際、アルムは何も聞いていなかった。それでも彼女は彼の健康状態を少し気にしているようだった。

　「いいえ」とアルムは無関心に答えた。「誰かが私について話題にしているのでしょう。」

　「…あなたの世界の人々はそのような場合にくしゃみをするのですか？」とイリスさんは好奇心を持って眉を上げながら尋ねた。

　「いいえ。それはただの迷信的な言葉です。気にしないでください。」

　「ふむ？そうですか？」とイリスさんは答え、その話題に興味を失った。

　彼らの短い会話が終わると、海が見えてきた。しかし、それだけではなかった。巨大な都市が海に近づくとともに姿を現した。それは緑豊かな土地と近くの山々から流れる大きな川に囲まれていた。彼は遠くから都市を見つめ、検査した。

　（…豪華に見える）と彼は思った。

　この距離からでも、この場所が裕福であることがわかった。実際、彼は他のいくつかの集落を飛び越えてきた。そして、上空から見る限り、どの集落も非常に頑丈で清潔に見えた。

　彼は興味を持っていたが、山々を見つめて…その美しさに驚き、寒い場所が好きだった彼は共感を覚えた。

　「…美しいでしょう？」とイリスさんは尋ねた。彼女は彼に向かっていなかったが、彼が山の自然の美しさを称賛していることがわかった。

　「…イリスさんはどちらを指しているのですか？海の都市ですか、それとも山々ですか？」とアルムは尋ねた。

　「…すべてです」とイリスさんは答えた。彼女はアルムが何を指しているのか知っていると思いながら（なんて難しい人なんだろう…）と思った。

　アルムはそれを無視し、無関心に答えた。「私の世界の景色とあまり変わりませんが…この場所の植生はもっと鮮やかだと思います。」

　「…ということは？」

　「そうですね。すべてが魅力的です。」

　イリスさんは少し笑って微笑んだ。「とにかく、他の人たちよりも早く到着するでしょう。怖がらないで—むしろ…都市について何か質問がありますか？または、何か一般的な質問でも？」

　アルムは少し考えた後、「では…イリスさん、都市を散策してもいいですか？見て回りたいです。」と尋ねた。

　「…」

　イリスさんは彼に答えを与えるのを少しためらった。上層部が彼に何を計画しているのかわからなかった。しかし、彼女が確信していたのは、現状についての長い議論があるだろうということだった。そしてアルムが自分の世界について説明することも。

　「到着初日に許可が下りるかどうかは不明です。しかし…他の人が到着する前に時間が許せば、あなたの願いを叶えるように努めます。」

　アルムは少し眉をひそめたが、仕方がないとして肩をすくめた。「わかりました」と彼は言った。「では…もう一つ質問があります、イリスさん。」

　イリスさんは彼を見つめ「それは何ですか？」と尋ねた。

　「なぜ私だけがこのドラゴンに一緒にいるのですか？」

　…イリスさんは彼に理由を説明するのを少しためらったが…彼がいつも彼女を「イリスさん」と呼んでいることが気になっていた。

　「私をチェリーと呼んでください。あなたはミス・イリスではありません。ただのチェリーです」と彼女は強く主張した。

　「わかりました、チェリー。ご回答を。」とアルムは言った。

　チェリーは満足そうに微笑み、アルムに簡単な説明をした。「率直に言うと、あなたは呪われています」と彼女は答えた。「それが軽度の呪いであっても、注意するに越したことはありません。この呪いはおそらくあなたを殺すことはありません。そして、私は英雄として呪い無効の祝福を受けています。私の存在だけでそれらを無効にするのです。私のような人々は他にも自然に存在しますが、今回は私が唯一の存在だったため、このような状況になっています。」

　アルムは注意深く聞いて（…まあ、それは安心です。他の人がこのことを知っていたら、たとえ効果が未知であっても、全体の状況の責任を私に押し付けるかもしれません。）と考えた。彼は今、このことを知っていることに感謝していた。何しろ…対処するのは面倒だっただろう。

　彼女が説明している間、彼女は都市とその特性についても説明した。

　「—だから、あなたは体を自然にマナで強化することに慣れる必要があるでしょう。特に強力な魔法使いにとっては最初は少し息苦しく感じるかもしれませんが…我々は決して害を与えるつもりはありません。」

　アルムは首をかしげた。「…え？」と彼は言い、「私が？強力な魔法使い？」と尋ねた。

　チェリーも驚いた。「え？もちろん？」と彼女は言った。しかし今…彼女は疑問を持ち始めた。（…もしかして…彼は経験不足なのか？あの凝縮されたマナの量で？）そこで彼女は尋ねる必要があった。「その結論に至ったのはどうしてですか？」

　「…私は役に立たない無能な存在として見捨てられないのか？」とアルムは首をかしげながら尋ねた。

　「いいえ…本当に？その考えをどこから得たの？」とチェリーは硬直した表情で尋ねた。

　（…やっぱり…ノエルの奇妙な本に頼るべきではなかった。それじゃあ…私はモブじゃないのか？）

　アルムが考えている間、チェリーは彼を見つめた。彼女の理解不足だったが…もちろん。それは自然なことだった。彼らは同じページにいなかったのだから。

　ため息

　再びため息をついたチェリーは、また長い説明を始めた。「帝国の目標は、放浪者を我々の保護下に置くことです。あなたたちは首都での生活を学び、技術の開発やいくつかの分野に興味を持つことを期待されています」と彼女はぎこちなく微笑んで安心させるように言った。「たとえ‘無能’であっても、見捨てることはありません。」

　「うん」とアルムはハミングした。彼はまだ疑念を持っていた。しかし、荒野で生きるよりはましだった。

　しかし…

　彼にはずっと気になっていたことがあった。「どうやって私たちが平原にいるとわかったのですか？」と彼は尋ねた。（こんな遠くの場所で監視しているのか？それとも…ただの私の想像？）

　それに対し、チェリーは一瞬都市を見つめてから「オラクル（予言者）がこのような出来事を予測します。最近まで、放浪者が空間震から出てくることは知りませんでした。」と言った。

　「うん」とアルムは注意深く聞いていた。（空間震？それが私たちがここに来た方法なのか？）と彼は考え、「私たちはその‘空間震’を通ってここに来たと言っているのですか？」と尋ねた。

　「…その通りです」とチェリーは肯定した。「空間震はよく理解されていません。それらは天体界での世界の衝突の結果だと推測されています。そのため、世界の一部で空間が揺れます。それは危険な場所であり、常に落ち着いてから調査を行います。しかし…今回は、異世界からの来訪者が来るという通知を受けていました。」

　「なるほど」とアルムは答えた。

　「…理解してくれてありがとう。でも…危険な考えはしないように。」

　「…」

　「…」

　チェリーはアルムを見つめ、雰囲気は少し気まずかった。アルムは実際にその考えを持っていた。（…それが明らかだったのか？）とアルムは考えた。彼は空間震が発生する前に飛び込んだら、自分の世界に戻れるのではないかと思った。（…彼女の視線から判断すると、たぶん違う。）

　彼がそれがあまりにも危険で価値がないと結論付けたとき、彼は頷いた。「変な考えはしていませんでした。」

　チェリーはそれが明らかな嘘だと知っていた。

　「…とにかく、すぐに到着します」とチェリーは別のところに注意を向けた。

　「うん」とアルムは答えた。

　…やや疲れた気まずい旅の後、彼らは首都に到着した。

　…

　 ……

　…

　彼らが都市の軍事区に入ると、景色が変わった。彼らは外部からの視認を変更する障壁に入った。アルムが上空から基地を見たとき、それは都市の一部のように見えた。しかし…それは全く違っていた。

　（…幻想か？）そのように考えながら、着陸の時が来た。

　「到着しました」とチェリーは言った。彼女は地上の人々と話していた。彼らは到着を待っていたようで、チェリーとアルムを迎えた。

　彼らは敬礼し、「「お帰りなさいませ、マム！」」と言った。

　「ありがとう、ただいま」とチェリーは答え、ドラゴンから飛び降りた。彼女はアルムにも同じようにするよう促した。

　だから…彼はそうした。しかし…彼はほとんどつまずいた。

　「…」

　アルムが都市に入って以来、彼は弱くて気分が悪く感じていた。そして、通常は問題ではないだろうが、もともと魔法がなかった世界から来たので、ここに来てから体が適応し、さらに障壁の変化によって病気になった。

　ほとんどつまずいたアルムを肩で支えながらチェリーは尋ねた。「大丈夫ですか？」

　「…少し目眩がするけど…今は大丈夫」とアルムは答えた。（…最初にここに来たときほどひどくはない。しかし…他の人たちはこの急激な変化に耐えられるだろうか？）

　「そうですか…」とチェリーはアルムが深く考えているのを見て答えた。（通常、人々はこれほど悪くなることはないのに…）彼女は少し心配だったが、彼の表情が変わらないのを見て、大丈夫だと仮定した。

　「お帰りなさいませ、英雄様。そして、イリフェルへようこそ、若い方」と若い騎士がチェリーとアルムを迎えた。

　チェリーはアルムがしっかりと立ってサポートが必要ないことを確認すると、若い騎士に向かって「ありがとう、アルヴァー。」と言った。彼女はアルムに向かって「休憩が必要ですか？それとも会議に向かいますか？」と尋ねた。彼はまだ少しぼんやりしていた。

　「いいえ、大丈夫です」とアルムは答え、ぼんやりした視線をアルヴァーに移した。「挨拶してくれてありがとう」と彼は軽く頭を下げて言った。

　「…では、案内します。私について来てください。」

　「「…..」」

　こうしてアルムとチェリーは静かにアルヴァーの後について行った。雰囲気は厳格で、その理由は明らかだった。アルヴァーはアルムに初めて会ったとき、非常に警戒していた。アルムは気にしなかった。

　しかし…

　（…病気のふりをすればよかったかも…）彼はそう考えた。このような状況で力を持つ人々と会いたくないと感じていた。特に異世界の人々ならなおさらだ。

　アルムは権威を持つ人々が好きではなかった。それは彼らが偽善的なナンセンスを言う傾向があるからではなく、一般的に彼に頭痛を引き起こすからだった。

　ため息

　ため息をつきながら、彼は彼らについて行くしかなかった。すぐに彼らは巨大な扉に到着した。

　…

　 ……

　…

　異世界からの上層部との会議を終えた後、アルムは再びため息をついた。（結局、我々はあまり違わない。それでも…彼らが私を都市で自由に歩かせるとは思わなかった。）

　彼はもらったマナコントロールアミュレットを弄りながら街を自由に歩き回っていた。上空から見た都市の印象は正しかった。

　（魔法に基づく高度な文明…全体的な雰囲気は私が慣れているものとはあまり変わらないが、いくつかの面ではさらに進んでいる…これは非常に興味深い。）

　深く考えながら、彼は迷子になったことに気づいた。まあ…最初から都市の道を知っていたわけではなかった。

　見上げると、広大な青い海、地平線上の薄暗い星、そして賑やかな街並みが美しい景色が広がっていた。（…もしかしたら、これらのものの見方が変わったのかも…以前はもっと…単調だった。）

　アルムは決して何かに興味を持つタイプではなかったが、ノエルに出会ったとき、すべてが灰色ではないかもしれないと考えた。

　しばらく経って、彼は別の場所に移動し、現在は市場で価格を比較していた。彼は遊び回るのにかなりの金額をもらったと結論づけた。まあ…贅沢するつもりはなかったが。

　（これを使わせてくれるなんて…。）

　慎重な彼は、さらに彼らの事情に興味を持ち始めた。（彼らは何を求めているのだろう？）

　彼らは彼が世界に来たばかりの人に対して、想像以上の自由を与えていたし、彼の要求で護衛なしで街を歩かせてくれた。

　まあ…ある程度。

　彼はかなり感謝していたし、彼らは一般的に良い人々のように見えた。しかし、誰かの意図を信じるべきではない。そうしないと悲惨な結果になる。

　彼も服をもらって、うまく馴染んでいた。ただ一つの問題は…彼の髪の色と目の色は非常に…目立つということだった。それで彼は望んでいた以上に目立ってしまった。

　しかし、彼が通常の服を着ていたらさらに目立っていた。（結局、それは正しい選択だったが…）

　ため息

　彼は再びため息をつき、ベンダーから買った串焼きを一口食べた。「美味しい」と彼は呟いた。

　そして彼は様々なベンダーと話をしながら歩き回った。夜に泊まれる場所についても尋ねた。もちろん、参考にするためだ。何しろ、彼は自分の部屋をもらっており、夕方までに戻る必要があった。

　「夜に泊まる場所かい？坊や…ここに来る前に調べていないのかい？まあ…親切に教えてあげるよ。サービスの良いリーズナブルな宿なら一晩で1000レクほどだね」と露店の店主は笑顔でアルムを観察しながら言った。

　（それで数日滞在できるのか？）アルムは自分を見つめている店主に視線を向けた。「…ありがとう。何かお求めですか？」と彼は尋ねた。

　店主は身を乗り出して彼を調べた。「言ってみろ…君は独り身かい？娘を紹介しようか—」

　「—恋人がいます…」とアルムは嘘をついた。彼は微笑んで手を振り、「では…情報と美味しいお菓子をありがとう」と言った。

　店主は少しがっかりしてため息をついた。「まあ…仕方ないね。それに、なぜありがとうと言うんだ？それは買ってくれたサービスだからだ！」と店主は元気よく笑った。

　「うん」とアルムは頷き、別の場所に向かった。

　彼はこれを繰り返し、最終的には静かな場所を見つけたくなった。今…彼は静かな平和が欲しかった。

　「…静かな場所？中央公園はどうだい？この時間帯はあまり人がいない。でも…夕方には、仕事帰りの家族連れで賑わう人気の場所だよ」と店員はクレープのようなお菓子を彼に渡しながら言った。

　「ありがとう」とアルムは答え、彼女が手渡したお菓子を受け取った。

　「ご、ごめんなさい…」と店員は手が触れたことに動揺して謝った。

　アルムは少し首をかしげた。「気にしないで」と彼は答え、歩き去った。

　（夕方には賑やかになるのか。まあ…どんな場所か見てみたいから…急ごう。）とアルムは考え、手に入れたばかりの甘いものを一口食べた。

　「…！」彼の目は驚きで見開かれた。（…これは美味しい…！）と彼は思い、中央公園に向かった。