美鈴、いよいよ闘技大会の当日みたいだよ
――……三日後。
ここは竜人の里ドドリギアの南東部に位置する山間にある闘技場だ。
この闘技場には、里内から出場者と観客が集まって来ている。
勿論ドラバルトとファルスも、既に受付を済ませ控室にいた。
因みに美鈴とミィレインは、観客席にいる。
そしてここは、男性出場者の控室。
ドラバルトとファルスは話をしていた。
「いよいよだな。ファルス、ルールは把握したよな?」
「ああ、多分大丈夫だろう。確か魔法や武器の使用は禁止だったな」
「そういう事だ。飽くまで力比べだからな」
そう言いドラバルトは、控室の覗き窓から会場をみる。
「ここにくるのは、いつぶりだろうか。俺はここに居るのが嫌で里を出たからな」
「そうか……こんなに自然が豊かでいい場所なのに、オレには理解できん」
ファルスはそう言いながら覗き窓まできた。
「まあ、凡人には理解できんのだろうがな」
それを聞きファルスは苦笑する。
「そういえば、お前は昔……魔王の配下だったんだよな?」
「配下……他の者たちからみれば、そうなのだろう。俺は、親友だと思っていた……表向き魔王様と言っていたがな。二人っきりの時は、呼び捨てをする仲だったのだ」
「そうなると……魔王と一番、近い存在だったという事か?」
そう問われドラバルトは、コクッと頷いた。
「多分そうかもしれん。俺は他のヤツらと余り面識がなかった……いや、関わり合うのも嫌だったからな」
「それは、どういう意味だ?」
「俺は……特に四帝の三人が好きじゃなかった。ヤツラのしていたことが、余りにも卑劣だったからだ」
そう言うとドラバルトは、キッと無作為に睨んだ。
「それじゃ、お前は違うというのか?」
「違う……断言はできん。俺も、恨まれることをしていたかもしれないからな。だが……自分が正しいと思ったことは貫いてきたつもりだ」
「なるほど……ミスズのしもべになったのも、それが正しいと思ったからか? それとも元の体に戻りたかっただけか……」
そう問われドラバルトは、思い返してみる。
「さて……どうなんだろうな。確かに元の姿に戻りたかった……だが、それだけじゃない気もする。なんか他に違う感情が……あったような気もしないでもない」
「そうか。それが何か分からないって訳だな。うむ……それも厄介だ」
「ああ……だがなぜか後悔はしていない、一緒にいて楽しいしな」
そう言いドラバルトは、目を細め笑みを浮かべた。
「それはよかった。まあそれが、もしかしたら答えなのかもしれんな」
「そうだな。それはそうと、ファルスは俺たちと会う前って何をしていたんだ?」
「あーそ、それか。前にも言ったかもしれんが、オレは別に何もしている訳でもなく……気ままに冒険しているだけだ」
ファルスはそう言い誤魔化す。
「そうだったな。そのためなのか分からぬが、お前は強い。本当にヒュウーマンなのかと思ったぐらいだ」
「強いか……どうなんだろうな」
「
そう二人の話は大会が始まるまで延々と続いていたのだった。
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