第2章 宗教戦争
第18話 休日の私
「――ふっ」
「――――ふっ」
サンファー国軍との戦地演習から約3ヶ月経ち、サンクロス王国の城下は着実に復興を進めていた。壊れたり半壊していた建物はほとんど元の姿を取り戻し、敵軍から侵攻のない平和な日が続いていた。
私は今日休みの日。しかし休日だろうと鍛錬は欠かさない。何があるか分からない仕事ゆえに、常に非常事態に備える必要がある。
だからこうして鎧を着込みながらトレーニング用の鉄塊を背負い、腕立て伏せをしている。
コンコンコン――
家のドアを誰かが叩いている。
「はーい」
ドアを開けると、そこには目隠れ陰キャが立っていた。
「騎士長様! 今日一緒にお出かけに――」
バタン――
嫌な事件だった。
私はドンドン叩かれているドアを無視して部屋に戻り、筋トレを続行する。
「他にも用事があるんです〜」
小さい声でマキュリーがなんか喋っている。仮にも聖騎士という役職を持つ彼女に、王や貴族から何か重要な話がある可能性がないとも限らない。
重い腰を上げて再びドアへ向かう。別に筋トレをしてたせいで腰が重くなってる訳では無い。
「なに」
「なんかこの子達が騎士長様に会いたいって昨日の修練中に言ってきたんですよ」
そこにはオシャレな格好をし、何故か息の切れていたウミとソラが居た。
「俺たち、もっともっと強くなりたくて。休日のところ不躾で申し訳なく思っていますが、無礼を承知でアーサー騎士長様の休日を共に過ごさせてもらえませんか?」
「あぁん!? てめぇら! アタシの騎士長様を奪おうって魂胆だったんだなぁ! さっき騎士長様の家まで走らせた時に置いてくれば良かったクソ!」
バギィ――!
私の鉄拳がマキュリーに飛び、マキュリーは対面の家の玄関近くまでぶっ飛んだ。
「全然良いよ。外出る準備するからリビングで待っててよ」
ウミとソラを家に上げてドアを閉める。もちろん鍵も閉めて地面に転がっている
彼らをリビングにもてなし、お茶とお菓子を出してから浴室に行き、一応相手は男2人なので軽く湯を浴びてから服を着替えた。髪も整えて香水も付ける。
「おまたせ。それじゃ行こっか」
玄関前に居た時よりも2人は緊張でガチガチになっており、何故か彼らは若干前屈みになっていた。
玄関のドアを開けるとマキュリーが座っていた。誰がうちの前に座っていいと言ったんだ。
「もー遅いですよ騎士長さ……ま……!!!」
マキュリーは私の格好を見て目ん玉をガン開き、プルートも驚きの速さで私の背後に立った。
「ツヤのある髪に汗の匂いを感じさせないミルキーな肌の匂い。そして微かに香る花の香水! さらにはそのロリ巨乳を大胆にも見せつける魅惑的なワンピース! これは完全にこの男共を意識しての行動ですね!?」
マキュリーは私の首元を吸引し白目を向いて地面にぶっ倒れた。コイツマジでキモすぎる。
「こんなやつほっといて行こ」
前屈みのウミとソラを引き連れて、私は今日行こうとしていた
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