始末 3

 ぼーっと、天井を見つめる。

 ただ視界はぼやけ、詳細な部分はよく見えない。

 部屋が暗いってのもあるだろうが。

 それ以上に。

 意識自体がぼんやりしている。


 別に、特段眠いと言う訳ではないのだ。

 もっと別の理由。

 両脇からは寝息が聞こえ、部屋にはいかがわしい匂いが充満している。

 冬だと言うのに、じめっとした熱気すら感じる。

 そんな部屋でベッドに寝転がり。

 両腕に程よい重さを感じ。

 身動きは取れず。

 ただ、何をするでもなく天を眺めるだけ。


 ヘトヘト、本当に死ぬかと思った。

 行為の前。

 彼女の事を淫魔に例えはしたが。

 想像以上だ。

 まさか、ガチでサキュバスだったりとか……

 そんな事ないだろうな?

 いや、本気で疑ってるわけじゃないけど。

 それぐらい。

 女教師とのプレイはヤバかった。


 さっき、メスガキ訪ねてきた時の。

 お預けされまくって我慢効かなくなったノアに。

 寝室連れ込まれたやつ。

 あれですら、結構ギリギリだったのだ。

 

 肉体的な疲労と、精力的なモノが諸々で。

 メスガキを放置してると言うのに。

 そのまま、ベッドの誘惑に負けそうになっていたし。

 ノアから再戦の誘惑すらあり。

 文字通りの。

 腹上死なんて未来もありえたレベル。

 そういや、確かその時も淫魔だなんだと言った気がする。

 ……今回はそれ以上。

 淫魔×2。

 それも、言って仕舞えば。

 サキュバスとインキュバスに責められる的な?

 まさに最強コンビ。

 冗談ではなく。

 これ、ガチで命の危機だったのでは……


 前から、後ろから。

 挙げ句の果てには同時とか。

 いや、めっちゃ気持ちよかったけども。

 本気で。

 天国が見えた気がする。

 色んな意味で。


 一歩間違えれば死んでてもおかしくなかったわけだが。

 そんな戦場を生き延びれた理由。

 単純である。

 彼女はサキュバスなのだ。

 目の前に中性的とはいえ、整った顔立ちの男がいて。

 それも興奮してる訳だ。

 我慢など出来るはずもなく。

 途中から、俺だけでなくノアもターゲットにされていた。

 当然の理屈である。


 ノアにターゲットが移ってなければ危なかった。

 本当に。

 お仕置きって免罪符があったから、これガチで止まらないんじゃないかって。

 そんな危機感すら覚えた。

 首締めとか特殊なプレイをしているわけでもないのに。

 出しちゃいけない分まで搾り取られた気がする。

 いや、ベットに縛られてはいたが。

 ……そもそも、3人ってのも特殊といえば特殊か。

 間違いなくノアのせいだな。

 本来ここまで性癖は広くなかったはずだが、拡張されてる気が。


 でも、逆に3人まとめてで助かったかもしれない。

 仮にこれが1人ずつの連戦とかだったら。

 俺が一方的に絞られ続ける訳で。

 完全に精魂尽きて、ノックアウトしちゃってたかも。


 ともかく、すっからかんと言うか。

 カラッカラである。

 女教師にターゲットにされたノアは、多少不本意そうな顔してたが。

 3人とか言い出したのはお前だ。

 責任を持て。

 後、さっきの冤罪の件。

 日頃の行いのせいなのは認めるが、冤罪は冤罪だからね。

 自らの手で行えないのがアレだけど。

 代わりのワカラセって事で。

 消極的ながら、助けないと言う形で果たさせてもらった。


 そういや、ノアって異性相手は初めてだったのでは?

 嬢としていた可能性もあるが。

 少なくとも、3人での時は見た覚えがない。

 妹分扱いだったしね。

 ヤってない可能性が高い。

 童貞卒業。

 ……は、扱いが怪しいから考えないとして。

 うん。

 そう考えると、自業自得の八つ当たりとしては十分かもな。


 にしても、ターゲットが俺からノアへと。

 やたらスムーズに移行した気もする。

 これ、女教師。

 元からノアの事を狙ってた説あるな。

 それどころか、普通に声ぐらいかけていたかも。

 元からビッチだもんな。

 新任の教師とか。

 元同級生と同じぐらいかそれ以上に美味しいし。


 一石二鳥的な?

 ノアはそれもあって元から警戒してたのかな。

 まぁ、結局。

 2人まとめて美味しくいただかれてしまった訳だが。

 女教師の方が上手だったってことで。

 どんまい……


 いや、ノアの場合正確には講師なのだが。

 細かいとこはいいのだ。

 シチュエーションってのは分かりやすい方がいい。

 特にそっち方面の時は。


 息子はヘニョヘニョ。

 匂いが充満して。

 横に生まれたままの姿で寝ているにも関わらず。

 ピクリとも反応しない。

 本当に一杯一杯だった。

 だが、俺は勝った。

 情けなかったが。

 明らかにリードされていたが。

 それでも。

 生き残ったらそれは勝利である。


 淫魔2人相手にして、ベッド上で勝つとか。

 これ、結構な偉業では?

 異世界に来て35年、何も成し遂げてこなかった訳だが。

 初めて、何か成し遂げたかもしれん。


 ……ま、そんな気がしただけで。

 実際何でもないんだけどね。

 だって、2人とも別に淫魔じゃないし。

 ただ性欲が強めなだけだからね。

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