生徒 7
おっちゃんと駄弁りつつ。
屋台を飲み歩き。
何だかんだ、あっという間に時間も潰れた。
そろそろ学園の方行きますか。
考えてみれば、やってること昨日と全く同じだな。
昼間っから飲み歩いて。
午後にちょっとだけ入った予定をこなす。
良いご身分だ。
我ながらそう思う。
まぁ、別に昨日に限った事でもないが。
午前と午後の差こそあれ、普段からこんな感じな気がしないでもない。
ノームの街で冒険者やってる時も。
ちょっとだけ薬草採取して。
そこからギルドの片隅で飲んだくれてる訳だし。
歩いてる分、健康的まであるかもしれない。
……ただ、今更ではあるが。
酒入った状態で学園の近く行くの、これ大丈夫なのだろうか?
本当に今更。
心配するなら初めから飲むなって話だけど。
今思い至ったのだから仕方がない。
既に昨日やってはいるが。
周りから向けられた不審者を見る様な視線、それを思い出した。
別に視線を向けられる事自体は構わないのだけど。
初日は見逃された。
でも、2日連続で学園の近くを彷徨くのは危ない様な。
今度こそ通報されてもおかしくないのでは?
いや、一応昨日もノアの関係者だってアピールはしたけど。
結構長い間付近にいたからね。
それ知らない人も多いだろうし。
あそこでノアの事待つのは辞めた方がいいかもな。
じゃあどうするのかって話だけど。
仕方ない、魔眼使うか。
今回は普段使ってるような大雑把な魔力感知ではなく。
もっと精密に。
直接、ノアの魔力でも探そうかと。
魔力ってのは、持ってる生物によって特徴が出る物なのだ。
姿を見なくともなんとなくの種類の特定が可能。
結構便利な便利機能である。
普段使わないのは、その差を覚えるのが面倒で。
違うのは分かっても。
名前が表示されてくれたりはしないからね。
大雑把なことしか分からず、正直あまり役に立っていない。
別種を比較してもそれなのだ。
個人での差なんて当然種族差に比べてもかなり少ない。
意味ないじゃんって話なのだが。
何だかんだ一緒にいる時間もそれなりに長かったからね。
肌まで重ねた仲だし。
ノアの魔力は自然と覚えてしまった。
えっと、今は何処にいるのかなと。
そろそろ学園の授業自体は終わってるはずだけど。
講師だからなぁ。
生徒の下校と共に退社とはいかないだろうし。
って、あれ?
もう学園の外に出てるっぽいな。
俺の事待ってる感じか?
やっべ。
いや、特に時間指定とかしてないしそう焦ることはないのだけど。
ベットでゴロゴロして。
その上屋台で飲み歩いての遅刻である。
自分でもどうかと思う。
外にいるならまぁ。
捕まる前にノアが助けてくれるだろうし、さっさと行くか。
見えてきた、学園の門のすぐ横。
待ち合わせ場所とか決めてなかったからね。
分かりやすい場所にいてくれたのだろう。
「よう、待ったか?」
「あ、先輩!」
「もう少し早めに来るべきだったな」
「いえ、全然待ってないですよ」
ノアはこう言ってくれているが。
どうだか。
本当の所は不明だ。
仮に数時間待たせたとしても。
平気な顔して、待ってないっていいそうだしね。
あまり参考にはならない。
まぁ、いいや。
過ぎた事だ。
ノアの方も全く気にしてなさそうだし。
これから気をつけるってことで。
……ノアと一緒にいるとますますクズになって行く気が。
「ノア先生! 私に話って」
横から声が聞こえた。
その方向を向くと、例のメスガキ。
走ってきた。
あ、なるほどね。
俺じゃなくてあいつを待ってたのか。
なら、本当にノアの事は待たせてなかったんだな。
良かった。
そもそも授業が終わるぐらいの時間帯ではあるしね。
そこまで適当ではない。
焦った理由?
いや、俺が学園いたのって20年以上前だし。
変わってる説もあるかなって。
後、参考にした記憶が曖昧だったからってのも一つ。
まぁ、もう過ぎたことだ。
遅刻はしていなかった。
この事実が重要なのだ。
つまり俺はまだクズではない、QED。
メスガキは満面の笑み。
なんて言って呼び出したのかは知らないが。
ウキウキだったんだろうな。
憧れの先生との個人授業。
何かを期待しないほうがおかしい。
そんなシチュエーションだ。
「……げ、なんであんたが」
ノアの事しか目に入ってなかったのか。
近づくまで俺に気づかなかったらしい。
なんか、ごめん。
いや、これ俺は悪くないよな?
期待させたノアが悪い。
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