王都 7
もう二度と行くことはないと思ってたんだけどな。
まさか後輩が就職して、学園祭に行くことになろうとは。
二十数年ぶりの母校、か……
卒業はしていないけど。
これはこれで、なんかエモいかもしれない。
ドラゴン便を降りる。
中々に快適な空の旅だった。
景色もいいし。
座り心地も文句無し。
時間も早い。
金持ちが大金払ってでも使う理由が分かる気がする。
それぐらい快適だった。
道中も特にトラブルは起きなかったし。
まぁ、空だからね。
街道の状態とか関係なく、盗賊なんかも襲って来ようがない。
唯一の懸念事項は他の飛行性の魔物だが。
飛竜にちょっかいかけてくるようなのは滅多にいない。
せいぜい同種の飛竜かドラゴンか。
どちらにしても数が少ないし。
人里近くで出会うようならもうね。
移動中にトラブったとか、そんなレベルではない。
災害のような物。
周囲の人間も含めての緊急避難である。
大騒ぎ間違いなし。
それぐらいのレベルなのだから、そう頻発する物でもない。
飛竜に引かせて空をと想像すると。
結構スリリングな気もするが。
貴族や大商人なんかもよく使う移動手段だからね。
他の方法と比べてもかなり安全なのだ。
一応、街道の方も王都行きはそうなのだけれど。
貴族や商人がよく利用している。
だから、他の場所よりは盗賊も魔物も少ないはず。
結構しっかり警備されているし。
うちの街が比較的大きめなのもあってか。
この道、使用頻度も高い。
冬じゃなければね。
トラブルなく馬車でも来れたのだろうが。
上から見た感じ結構雪積もっちゃってたし。
立ち往生してる馬車もいくつか。
あれが俺だった可能性もあるのだ、考えたくもない。
ノアの提案がなかった場合。
最悪、転移魔法って選択は間違ってなかったなと。
改めてそう思った。
降りた場所は王都へ続く門のすぐ側。
当然、人も多い。
出発時とは比べ物にならないほどの人数。
ただそこまで注目はされない。
都会ならではだ。
芸能人が東京じゃあまり声かけられないのと同じ。
ドラゴン便って存在も。
多くはないのが、そう珍しいものでもない。
日に何度も見るのだろう。
そうなれば興味関心も薄れるはずだ。
日常に興奮したりはしない。
田舎とは違うのだよ、田舎とは。
そのまま、門をくぐり王都へ。
立派だ。
無駄にデカい。
普通なら列に並ぶ必要があるんだけど。
王都に入るための待機列。
他の街とは違うからね。
人の出入りも多い分、列も結構長い。
ただ、先に通してくれた。
謎のVIP扱い。
多分、ドラゴン便に乗ってきたからかな?
値段が値段だからね。
こういうメリットもあるのか。
門番に身分証の提示を求められ、冒険者カードを提示。
色んな意味で想定外だったんだろうな。
結構びっくりされてしまった。
失礼では?
幸いなことに止められることなく入れてくれた。
まぁ、早いならヨシ。
低級冒険者がこんなのに乗ってるなんて想定外だろうし。
大目に見てやろう。
って事で、ビバ王都!
ノームの街を出てから、まだ数時間程度。
全然日も高いし。
本当にあっという間だったな。
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