手紙 8
「良かった、嫌われて無かったんですね」
「そんな事で嫌いになる訳ないだろ」
「確かに、ロルフさんなんだかんだ言いつつ楽しんでましたもんね」
「おい!」
「あれ、私今何か間違えちゃいました?」
キョトンと首を傾ける。
これ、確信犯だろ。
ノアの件があってからか。
たまに、こんな感じで揶揄ってくるようになった。
私はそんなつもりありませんて顔をしつつ。
でも、明かわざと。
稀に表情作るの失敗してニヤついてるし。
ま、親しくなれた気がしてちょっと嬉しいけど。
お店の女の子だからね。
どこまで行っても、俺との関係は客と嬢でしか無い。
だから、あくまで気分ではあるのだが。
それでも嬉しいものは嬉しいのだ。
まぁ、これ言ったら余計調子に乗る気がするし。
あくまでそう思うだけ。
嬢には内緒である。
受付嬢みたいなのが増えても困るしね。
別に、嫌いではないが。
ああいうのは1人居れば十分である。
「じゃあなんで最近は来てくれなかったの?」
「ちょっと、旅に行ってて」
「本当に好きですね」
「まぁな」
「でも、私はずっと会えなくて寂しかったんですよ?」
中々にあからさまな営業トーク。
ついさっきまで、俺のこと揶揄って来てたのに。
落差に風邪をひきそうだ。
ま、こういうのは本心だと思って受け取るのが吉。
穿った見方をしてもしょうがない。
そもそもお金で時間買ってる訳だしね。
お店に遊びに来てるのだから。
素直に乗っかるのが、目一杯楽しむコツである。
「ごめんね。今日帰ってきた所なんだ」
「……え!? じゃあ、すぐ会いに来てくれたって事?」
「確かに、そうなるかな」
「嬉しい! ロルフさん大好き!!」
そんな事を言いながら、思いっきり抱きついて来た。
相変わらず、スキンシップの激しい娘だ。
飛びつかれるような形。
大きな胸を遠慮なく押し付けてくる。
クッションになりそうなものだが。
衝撃を吸収するというよりは、増幅。
中々の威力だったからね。
ベットに押し倒されるような格好になった。
至福の瞬間である。
いや、リアルでこんな風に感情表現する女の子なんて居ない。
たたの演技。
そう知りつつ、つい熱くなってしまう。
これが男のサガ。
胸にはロマンが詰まっているのだ。
うん、だから男性として至って健全な反応である。
ま、そんなこと言ったら俺の方もね。
取り調べされたり、
薬草採取してたり、
色々してて、別に即会いに来た訳でもないし。
そこは言わないお約束である。
抱き返す様に、嬢の腰に手を回す。
肉感が凄い。
まだ、若いのに。
熟れた女の魅力すら併せ持つ。
やっぱり、いいな。
たとえ、ノアの件が本気で嫌だったとしても。
多分通ってただろうな。
抱くって意味だと。
これ以上の女なんてそうそう居ない。
だから、ずっと指名してる訳だしね。
他にも女の子はいるのに。
入った時から指名して、かれこれもう数年は経つ。
「あ、元気になってる」
「そりゃね。可愛い娘にこんなくっつかれたら反応しちゃうよ」
「ロルフさんの変態」
「いや、むしろ君の方から……」
「女の子にそんな事言って、いけないんだ」
「ごめんなさい」
「反省してる?」
「うん」
「じゃあ、私がロルフさんにお仕置きしてあげます!」
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