四章
A級
人間、歳を取るとお偉いさんの知り合いが増えてくるものだ。
年功序列なんかは、全く関係ない。
仮に、自分が出世してなくとも。
気がつけば、自然とそんな知り合いが出来ているものなのである。
例えば、新卒で何処かの企業に入社したとしよう。
君はそこまで優秀では無かった。
万年平社員とは言わないが、部長や課長クラスに出世する程でもない。
平凡な社員だ。
そんな有様な君でも、中年にでもなればお偉いさんと知り合いになる。
コネが効くほどの関係性ではないかもしれない。
それに期待してどうこうしようと動く人間も少ないだろう。
でも、確実に知り合いにはなっているのだ。
確かに君は平凡な社員で、入社以来一歩一歩足踏みしながら仕事をしていた。
しかし、同期が全員そうかと言われればそんな事はないはずだ。
そのうちの何人かは、しっかりと出世している事だろう。
部長や課長クラスはもちろん、取締役やそれこそ代表にまで上り詰めるやつもいるかもしれない。
そいつは大勢の人間と億単位の金を動かすことになる訳だ。
お偉いさんと言われてイメージする人物像、それと多少ズレるかもしれないが。
少なくとも人の上に立つ人間ではある。
仮に、就職したのが大企業じゃ無かったとしても。
大学の同期。
学歴フィルターなんて言葉もあるが。
たとえ有名大学じゃ無かったとしても、誰もが大企業に入れない訳じゃない。
調べてみるといい。
どんな大学でも、大抵毎年数人の例外がいる。
才能なのか、コネがあったのか、運が良かったのか。
それは置いておいて、どんな大学からでも大企業に入るやつは居るのだ。
まぁ、これは人数が少ないからね。
そもそも、学生時代に知り合いじゃ無かったり。
出世出来ない可能性も十分にあるが。
だとしたら、次は小中学校のクラスメイトだ。
これは大学とは違う。
出身が都会でも無ければ、私立に行く人も少ないだろう。
学区内に住む人間がごちゃ混ぜ。
そこに学力の差はない。
仮に、自分が優秀じゃ無かったとしても。
優秀な人と対等な立場で出会える可能性のある場所だ。
ここまで振り返ってみれば、大抵何人かは成功しているものだ。
親友や友達と呼べる関係じゃ無かったとしても。
コネが効くような相手じゃ無かったとしても。
少なくとも、知り合いと呼べる関係地の中で何人か。
分かりやすくサラリーマンでの出世で例えたが、別にそれに限らない。
起業なのか、政治家なのか。
それこそ、芸能人やスポーツ選手なんて事もあるかもしれない。
探してみれば、数人は凄い人間がいるものなのだ。
人の上に立っている。
平たく言えば、お偉いさんってやつが。
時間って物は全人類平等に流れている。
仮に自分がサボってたとしても、別に止まったりはしない。
努力してる人間は勝手に偉くなる。
だから、歳を取っただけの凡人であったとしても。
そんな知り合いが増えていくのだ。
前世の世界でそうだったように、この世界でもそれは同じ。
まぁ、身分の差が激しい世界だ。
前世よりずっとその可能性は少なくなるのだろうけど。
そもそも、真っ先にイメージ出来る貴族。
彼らなんかとは生まれた時点で差がある訳で、知り合いになるハードルが段違い。
この世界の学校である、学園。
そこに通えば庶民であったとしても知り合いになれるかもしれないが。
貴族の子息の大半が通う学校な訳で。
普通の人がそう簡単に行ける場所ではない。
実際、ほとんど居なかったし。
そんな生徒、数年に1人いるかどうかって所だろうか。
それでも、無い話では無いのである。
貴族はともかく。
例えば、冒険者とかなら。
完全実力主義の成り上がりの世界だからね。
誰もが下積みはある訳で。
実績の無い内は全員がFランク。
英雄視されるようなAランク冒険者も、それは同じなのだ。
駆け出しのうちに知り合う可能性は十分にある。
だから、俺がAランク冒険者と知り合いでもおかしくは無いんだが……
その上で言おう。
特に、心当たりがない。
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