港町 10

 チュンチュン、チュンチュン


 柔らかい日差しが部屋に差し込み、小鳥のさえずりが聞こえる。

 朝、か。

 寝惚け眼をこすり、薄目を開ける。

 知らない天井だ。

 ……あぁ、そうか。

 俺、昨日は港町の娼館に泊まったんだっけ。

 自宅でもウーヌにある行きつけの店でも無いのだ。

 そりゃ見慣れないはずである。


 横を見ると、可愛らしい寝顔。

 まだ起きていない様だ。

 昨日はかなり激しかったからな、きっと疲れているのだろう。

 俺もそのまま寝ちゃったし。

 汗やら体液やらで体がベトベトだ。

 このまま二度寝する気分にはならない。

 水浴びにでも行きますか。


 起こさないように、そっとベットから抜け出す。

 ずれた布団を直そうとして。

 ふと、小麦色の肌が目に入った。

 そりゃそうだよな。

 俺がそのまま寝ちゃったんだし、彼女だけ身支度をしてる訳がない。

 布団から覗く柔らかな膨らみに自然と視線が惹きつけられる。


 全てが見えてる訳じゃない。

 このぐらいの谷間を出す服なら、町中で着ている女性も多いだろう。

 しかし、だ。

 布団の下が全裸だと分かっているとどうだろうか。

 途端にエロティックに感じてしまう。

 いや、つい数時間前までこの娘と愛し合っていた訳で。

 その時に全ては見てるのだが。

 何故だろうか?

 むしろ、ただの全裸より惹かれるものがある。


 朝の生理現象も相まって、息子に血が回るのが分かった。

 準備万端らしい。

 いつでもいけまっせと、脳内によろしくない物質を撒き散らしてくる。

 思わず手が伸びる、が。

 まぁ、流石にね。

 今からもう一回戦とかするつもりはない。

 昨日は無理させてしまったし。

 値段以上に、たっぷり楽しませて貰ったのだから。


 昨夜の記憶が思い起こされる。

 最高だった。

 なんだかんだ、6回戦もしてしまったし。

 1人の女の子相手には最高記録かもしれない。

 非常に難敵であった。

 この娘結構積極的で、前半は完全にペースを握られてしまっていた。

 最終的にはなんとか勝利したが。

 チート万歳だな。

 それがなければ搾り尽くされていたかもしれない。


 日焼けしてる子が性欲強いって、やっぱり偏見じゃ無いだろ。

 そう確信させるぐらいの相手だった。

 いや、まぁ。

 普通に偏見なんだろうけど。

 前回、この町に来た時相手して貰った女の子。

 その子も小麦色の肌してたけど、特別性欲強いって感じじゃ無かったし。

 やっぱり、この娘が特別なのだろう。


 俺の性欲強そうって偏見、なにも日焼けしてる子に対してだけじゃ無いしね。

 例えば、色白の清楚系な子も性欲強そうに見えるし。

 地味な子は逆に性欲強そうだし。

 派手な子は当然性欲強いだろうし。

 結論、女性全員性欲強そうに見えてしまうっていう。

 エロ漫画とAVの見過ぎですね。

 その弊害が女性観にモロ出てしまっている。


 前世なら、共感してくれる人も多かったかもしれないが。

 男限定ではあるだろうけど。

 この世界じゃそれは得られないだろうな。

 なんたって、正常位以外は異端とされてるぐらいだし。

 そもそも性に積極的では無いのだ。

 本も高級品だし、エロ本なんてものがあるとは思えない。

 あったとしても一般男性は手に入らないだろうな。


 せいぜい、絵とかか?

 ほら浮世絵とか。

 前世でも、画狂老人卍とか狂ったペンネームの人がなかなか高レベルなのを描いてた気がする。

 タコに裸の女が責められるやつだ。

 ……やっぱり共感得られる可能性もあるな。

 タコ姦とか、かなりレベル高いし。

 と言うことは、俺がこの手の話を出来ないのって馬鹿話する友達がいないせいでは?

 悲しい事実に気づいてしまった。

 確かに仕事の繋がりで話す相手はいても友達となると、ね。

 まさか、異世界でボッチの寂しさを味わう事になるとは。


 いや、待て。

 江戸って、確か紙資源が豊富だったんじゃなかったか。

 ならダメだな。

 こういうのは安価じゃないと。

 良かった。

 この手の話出来る相手が居ないのは、俺が友達居ないせいでは無かったらしい。

 あくまでこの世界のせい。

 これが真実。


 ……別に、現実から目を背けてる訳じゃ無いよ?

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