第2話 お金かプライドか

 あれからソフィはどんどん稼いでくるようになった、俺の収入が霞むくらいに。そのおかげで俺たちの生活はかなり楽になった。


「ある、あるは一月働いて金貨2枚なんだよね...」


「うん、そうだね」


 夜ご飯を一緒に食べているとソフィがそんなことを聞いてきた。


「その、さ、お仕事辞めて私と攻略者やろ?」


 ソフィの提案にご飯を食べていた腕を止める。確かにソフィの稼ぎからすると俺の収入など雀の涙だ。それに攻略のサポートを出来るのならそっちの方がいいだろうとも思う。


「気持ちは嬉しいんだけど、俺って只人坂だし...」


 俺は只人族だ、弱い、何よりも弱い最弱種だ。多分、いやほぼ確実に足を引っ張ってしまう。


「あるに戦いは期待してない。ただ一緒に来て欲しい、守るから。ついでに受付と喋るとか魔石拾うのやって欲しい」


「それは...」


 血は繋がっていないものの俺はソフィの兄みたいなものだと自負している。それが妹に守ってもらいながら後ろに着いていくだけなんてとも思ってしまう。



 次の日、俺は仕事を休みソフィに着いてきていた。あの後切実にお願いされとりあえず行ってみてから考えることにした。


 とりあえず攻略者登録を済ませダンジョンへと向かう。


 ダンジョンに潜り少し進むとすぐに魔物が出てきた。ソフィはそれに気づくとすぐに臨戦体制をとった。


 なんだかんだずっと一緒にいるものの、ソフィが戦うところなんて初めて見る。


 ソフィの背中に魔法陣が現れる。その直後その背中には翼が生え揃う、天空族の固有魔術だ。

 翼を手に入れたソフィはそのまま飛び立ち4速歩行の魔物の上まで行くと手に電気を纏う。


 振り下ろした手から複数の雷が魔物へと降り注ぐ。瞬殺だ。

 ソフィはこんなにも強かったのか、あまりの蹂躙に驚きを隠せない。そりゃ簡単に金貨が稼げるわけだ。


 横に降りてきたソフィの背中に付いている翼が光と共に空中に散る。

 ふんっと鼻を鳴らしながら隣でドヤ顔をしている。


「ソフィ、強いんだね...」


「うん、天空族だから、私強い、だから一緒に攻略者やろ」


「うーん..」


 そんな提案に少し揺れてしまう。今見せられた圧倒的な力、この力を持ってしてならば安定して今よりも稼げるだろう。

 だが何もできない自分がただ着いて行くだけなのに引き目を感じてしまう。


「お願いある、1人だと寂しい、それに一緒なら楽しい」


「うぅ〜」


「お願い、ある」


 結果としては押し切られました。そして俺は今日から攻略者となった。

 


・作者の一言

呪文を相性にした方がいいのか難しい

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