大喰粘液グレータースライム
『メタルスライムを倒しました。魂力が35から38に上がりました』
あれから何十匹ものスライムを倒し順調に神殿の奥へと進んでいた。神殿は始まってからずっと一本道なので迷わなくて助かる。
ここにはスライムしかいないのだろうか?今のところスライム以外の魔物を見たことがない。しかし奥に行くにつれスライムの強さも上がっていき、溶解液を吐くものや硬質化するもの、火などの属性を持っているものなど様々な種類のスライムがいた。
しかし俺も魂力の操り方に慣れてきて楽に倒せるようになった。
今のところ分かっているのは魂力を使うとラノベでいうところの魔法を使うことができるようになるということだ。
使うには頭の中で使う魔法をイメージし強く念じるだけでいい。この時、技名をいうとさらにスムーズに使うことができる。
授業中にいろんな魔法を考えていたからだろうか意外と簡単にできるようになった。ラノベの知識はやはり役に立つようだ。
魂力は使いすぎると経験したことないような吐き気と立つことができない程の目眩がし、命の危険を感じた。
俺の推測だと魂力はHPとMPを合わせたようなものなのではないだろうか。つまり俺は命を削って魔法を使っているということだ。
そして魂力は魔物を倒さないと回復しないので計画的に使わないとあっけなく死んでしまいそうだ。
そして一番驚いたのは何時間も戦っていて空腹感や喉の渇き、眠気を全く感じないことだ。なぜ感じないのかは分からないがこれはめちゃくちゃありがたい。集中力を切らすことなく神殿の攻略を進めることができる。まだ、これがただ感じないだけか本当に無くなったのか分からないが検証することが出来ないので保留して攻略を進めようと思う。
まだまだ不安なことだらけだが、少しづつ楽しくなってきた。ラノベの主人公になったようだ。バタバタ魔物を倒してやるよ。
おっ、奥が少し明るくなってきたな。もしかしたら出口か!
急かす気持ちを抑えながら慎重に進んでいく。すると、俺は体育館くらいの広さの円形の場所に出た。例えるなら闘技場のようなものだろうか?
そして、その真ん中にはバスくらいの大きさがあるスライムが鎮座していた。
こいつはでかいな。今までのスライムと比べ物にならないくらいだ。こいつもしかしてボスだろうか?あまりのスケールの大きさに圧倒される。しかしこいつを倒さないと前に進めないので倒すしかないだろう。
鑑定のような能力を持ってないから分からないがこいつを倒したら出られるかもしれない。名前がないのは呼びにくいから何となく鏡餅とでも呼ぶか。
俺の姿も鏡餅から見えてるはずだが攻撃してこないな。もしかしたら、円形の広場に入ってないから攻撃してこないのかもしれない。だったら戦う準備を済ませるか。
「身体強化:炎舞」
自分の体の中を魂力が循環するようにイメージする。そのスピードをどんどん上げていくと次第に体の感覚が研ぎ澄まされ熱を帯び力が高まってきた。
これは身体強化:炎舞と名付けた魔法で自分の身体能力を急激に上げることが出来る。体の中で魂力を循環させてるので魂力の消費が少なく重宝している。
そして短剣を構える。この短剣は特殊な力はまだあるか分からないが硬いメタルスライムにもダメージを与えることが出来るくらい鋭く、素人が振っても刃こぼれしてないので使いやすい。
「よし行くか」
覚悟を決め俺は広場に足を踏み入れた。その瞬間、鏡餅の体の一部が針状になり俺に向かって伸びてくる。
あっぶねえ!頬を少し掠っただけですんだが回避が少しでも遅れてたら頭を貫かれてたぞ。
そのまま足を止めることなく壁に沿って鏡餅の後ろを取るためにスピードを上げていく。
ちっこいつ全方位感知できるのか?スライムだから顔がどこにあるか分からないがどの位置にいても的確に俺の頭や足を針で狙ってくる。
このままじゃ近づくことができないぞ。正面突破に切り替えるか。
回り込んでても埒が明かないと思ったので突っ込むことにする。針での攻撃が激しくなってくるが避けられるものは避け、無理なやつは短剣で叩き折っていく。針の硬度はメタルスライム程ではないみたいだな。針の攻撃を防ぎつつ少しづつ鏡餅との距離を詰めていく。
距離が数メートルとなってたところで鏡餅の挙動が変わった。針の攻撃が止み体が小刻みに揺れだした。
何だ?どんな攻撃が来る?
ジュワァァァ
ヤバイヤバイヤバイ、視界を覆い尽くすほどの溶解液が、
一時的に足に身体強化を全振りし飛び込むような形で真横に避ける。そしてすぐに体勢を整えて距離をとる。
今の攻撃はやばかったな。神殿の床を溶かすぐらいの溶解液を大量に吐き出しやがった。
今までで分かった鏡餅の能力は遠距離攻撃の針と中距離攻撃の溶解液か、これは距離を取りながら魔法で攻撃したほうがいいか?いちよ高威力の魔法は考えてある。だけどこれを撃つと魂力の欠乏により死にかけるんだよな。どうすればいいんだ?
また再開された鏡餅の針攻撃を避けながら頭を回転させる。
発想を変えてみるか?あそこまで飛び道具のような技が強力ということは距離を詰められると鏡餅は不利になるということか。
だとしたらどうやって距離を詰める?あの溶解液を避けないと距離は詰められない。溶解液を撃つ予備動作は小刻みな体の揺れだったし撃つ前に察知して避けることが出来るか?一か八かやってみるか。
俺はもう一回鏡餅と距離を詰める。針攻撃が激しくなるが慣れてきたので比較的楽にかわすことができる。
極力スピードを落とさないように気をつけないといけないな一度スピードを落すともう一度加速するのに時間がかかる。
来るな針攻撃が止んだ。その瞬間身体強化を足に集中させる。鏡餅の体が小刻みに揺れるのが一瞬見えた。
俺は斜めに進路を切り替え一気に鏡餅との距離を詰める。
よっしゃぁぁ思ったとおりだ。あいつの溶解液は体から離れるほど広がるようになっている。だから撃つ瞬間さらに距離を詰めれば少し移動するだけで避けることができる。
「死にやがれ。爆剣」
鏡餅の体に短剣を突きつけその先端から物凄い勢いの炎魔法を放ち内部から爆散させる。これはナイフの先端から二酸化炭素が噴出されることで威力をあげていたことから発想を得た技だ。
『大喰粘液グレータースライムを倒しました。魂力が38から62に上がりました。』
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