魂に宿る力

 スライムを倒した後、その場に座り込み俺は今起きたことについて考えていた。

 あの時確かに頭の中に魂力が上がりましたという声が響いた。信じられないが多分今俺がいるところは地球ではないのだろう。俺の知ってる地球にはスライムなどいないし、18年生きてきて魂力が上がったというアナウンスが頭の中で響いたこともない。

 じゃあどうして俺は異世界にいるのだろうか?俺は厨二病真っ盛りなので日々死んで異世界に転生したときのイメージトレーニングもそれなりにしていた。また、勇者召喚のようにかわいいお姫様に召喚されて『世界を救ってください』と言われた時のも、もちろんしている。

 だが、玄関開けたら異世界は流石にないぞ?!

 神様による取説は?チートな能力や武器は?俺を励ましてくれる可愛い女の子は?

 なんにも無しに放り込むのはあんまりだろ!!

 

 怒りと憤りで少しの時間その場でバタバタしていた。だが、このままでは何も変わらないのでこれからどうするか考えなければいけないと思い、切り替えた。切り替えの速さだけが俺の取り柄だからなぁ、


 まずは現状把握か、俺は異世界の神殿らしきものの中におり所有物は短剣のみ、そして先程スライムを倒し魂力とやらが上がったところだと、フムフムフム……なるほど、鬼畜すぎないか?

 食料もなければ飲み物もない、神殿をどう進めばいいのかも分からん。人間水なしで3日、食料なしで7日しか生きられないのだぞ。


 これはやばいな…神殿に入ったことが間違いだったな。森のほうが食料や飲み物もあるしまだ生きられる可能性が高いか…


 よし!そうと決まったら森に戻ろう。こんな魔物らしきものが出て何にもないところにいられるか。


 そして帰ろうと立ち上がり今来た道を振り返える。しかし、


 「はぁー?!!、おい、いい今来た道がないぞ。どうなってるんだ?確か入ってから一本道しかなかったはずだぞ!!!」


 俺の目の前には先程通ったはずの道がなく変わりに横と同じような壁があった。つまり俺は今、道の行き止まりにいるということだ。


 どうなってるんだここは?!魔物が出る時点でヤバいところだと思っていたが、俺の想像していたのよりさらにヤバいとこなのかもしれない。


 クソこうなったら前に進むしかないのか。何者かに行動を誘導されているような不気味さがあるがここに留まっていてもどうしようもないしなぁ。


 短剣を構えて俺は進みだした。一人で黙々と進んでいると不安に押し潰されそうになるので、思考を巡らせることにする。


 さっき確認してなかったのは魂力が上がりましたというアナウンスか、ここが異世界だとすると定番のステータスらしきものがあるのだろうか?


 う~ん、ステータス出ろと念じてみればいいのか?必死にステータスのようなものを想像していると、俺の頭の中に、忘れていた思い出を思い出したかのように情報がスッと浮かび上がってきた。


 魂力 2

 業技能力 なし

 特殊能力 飛躍的発達

 深域能力 底なき箱

      残りし希望

 

 ほうほうほう、なるほど一個も分からないぞ。なんじゃこれは?俺が想像していたのは魔力とかHPとかスキルとかだぞ。なんだこれは?ラノベの定番と全然違うじゃん。

 現実はそんなふうにできてないってことか?ラノベの知識今のところ一個も役に立っとらん。俺の中高時代の闇の時間はなんだったのか、

 まぁでもゲームみたいに自分の残りHPとか分かるのは怖いし、実際それどうやって定義されてるのとはいつも思ってたからな。


 だが、今でてきた情報も一個も分からないのでは話にならない。

 二重鑑定みたいなことはできないのだろうか?もう一回念じてみるか?

 魂力って何ー?魂力って何ー?魂力って何ー?教えてドラえもー

 

 魂力…魂の器に内包されている力。魂力を用いることでこの世界の理に干渉し超常現象を引き起こすことが出来る。


 なんか食い気味に頭に魂力の情報が浮かんだ。この情報によると魂力は魔力のようなものなのか?まだ確定ではないがそんな気がする。

 他の言葉も調べてみる。


 業技能力…習得することにより魂の器に記録された力。一度記録されると最適な動きができるようになる。

 特殊能力…元々魂の器に記録されていた力。その人特有のものである。

 飛躍的発達…他の人よりも魂力や身体能力、業技能力の成長が速くなる。

 深域能力…unknown

 底なき箱…unknown

残りし希望…unknown


  ラノベで言うスキルに、ユニークスキル、成長補正のようなものか。けど霊魂能力だけ分からないぽっいな。unknownと頭の中に出てきた。めちゃくちゃ気になるが自分に力があることが分かっただけでも良しとするか。

 俺は今後に少し希望を抱きさらに前に進んだ。

 


 

 


 

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