星に意思を世界に願いを
@arakune1113
界渡りの神殿
必然の中に紛れた偶然
「あなたが……私たちの希望ハァハァ私の命と引き換えにあなたの時間を……この世界を救って」
その声は綺麗で透き通った女の人の声だった。あぁ呼ばれている、返事をしたい、けど声が出ない……朧気に薄れていく意識の中で俺は星に手を伸ばして
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目を開けるとそこは神殿のような場所の前だった。木々の間から漏れる陽の光が暖かく降り注いでいる。
「あれ?俺はなんでこんなところに?確か高校に行こうとしていたんだけど???」
人はあまりにも現実離れしている光景をみるとむしろ落ち着くらしい。あんまり知りたくない無駄な知識が増えてしまった。
確か今日は月曜日、日曜日ゲームをしていて夜更かしし、寝坊してしまい母さんが作ってくれた朝ごはんを食べてて……少しずつ思い出してきたぞ。その後急いで玄関を開けて……そこからの記憶がないな、てことは玄関を開けたら神殿の前に
「はぁ~???いつから家のドアはどこで◯ドアになったんだ???」
これからどうする。とりあえず今の自分の所持品を確認するか。カバンを持っていたはずだがなくなっているな。服装は制服のままだ。
お?腰のところを触ると見覚えのない袋がある。中を確認すると何か硬いものに手があたる。取り出してみるとそれは透き通った綺麗な短剣だった。
なんでこんな物が袋の中にあるんだ?疑問はどんどん深まっていく……
「うん!悩んでも仕方ないな。今後どうするか考えないと」
とりあえず周囲を確認する。周りは鬱蒼とした森で人影なんて微塵もない。
それで前には神殿らしき物か……これは入るしかないか。俺は覚悟を決め神殿らしきものの重々しい扉を開けた。
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中はひんやりとしていた。湿った空気の中に石造りの建物特有の匂いがする。
暗いかと思ったが意外と明かるかった。なぜ松明があるのか疑問は尽きないがありがたいので気にせず進んでいく。
ベチャベチャベチャ
ヤバい、何かよくわからないものがこちらに向かってくる音がする。粘着質な物が引きづられるようなそんな音だ。
俺はとっさに隠れようとするがこの道は一本道で隠れれそうな場所は見当たらない。
仕方が無いので袋の中に入っていた短剣を構える。
ベチャベチャベチャ
自分の心臓がうるさいほどに脈を打っている。何だ?何がいるんだ?
姿を現したのはゼリー状の体をしている生物だ。この流動体のような見た目、粘着質な表面、これってスライムか??
ゲームでよくお馴染みのあのスライムらしき生物が俺の方に向かって来ていたのだった。俺はあまりの現実離れした光景にあけっにとられた。
「ぐぁーー!いってーなー」
ボーとしていた俺目掛けてスライムが突進してきた。理由も分からず俺はスライムの突進を脇腹に向けて後ろに倒れた。
このままではヤバい、そう思った俺は一心不乱にスライムに向けて短剣を振り下ろした。
何回突きつけだろうか突然スライムはピキッという音とともに光になって消えた。
『スライムを倒しました。魂力が1から2に上がりました。』
スライムを倒して疲れた俺の頭にそんな声が響いた。呆気に取られつつ自分の冷静な部分が認めたくない答えを導き出した。
あ~~ここ異世界じゃね??
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