第4話 僕は壁を壊しに行く

 「ひなた、君はこの国の国境線を知っているか」

「国境線があるの?」

「ああ」

この国に夜がある、逆にいうと『朝』や『昼』がないのは国境線に建っている壁の性である。

僕はひなたに僕の知っている限りの話をした。


ひなたはその壁を『第二のベルリンの壁』と呼んだ。

昔の国にもそんなものがあったらしい。

その壁を壊さなければ『朝』も『昼』も来ない。

朝日を見ることさえも叶わない。


僕は今まで諦めていたんだ、『朝』や『昼』という新しい世界を知ることを。

僕は決めた、あの壁を壊しに行く、と。

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