第3話 彼女には夢がある

 ひなたはある本を見せてくれた。

「この本は昔に書かれた本なの。私たちの知らない『朝』と『昼』があった時代の」

そんな本が現存しているなんて思っていなかった。

「私ね、朝日を浴びたいの。名前の由来になった太陽を見てみたいの」

この国に太陽が昇ることはない。

そのことは彼女も知っているはず、だけどなんでそんなにキラキラとした目をしているんだ。

『朝』なんて来ない。

そんなの君が1番わかっているはず。

なんで諦めないんだ。なんで諦めてくれないんだ。

僕は彼女の欲望を見ることが難しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る