第三章 飛鳥な時代

第9話 加耶滅亡しちゃいました

「お久方ぶりです。貴方の心の隣人、ふーぎです。今回は6世紀に於ける朝鮮半島をメインにお送りしますよ。日本の拠点があった。加耶は一体どうなってしまうのか。気になりますよね」



「いや、タイトルに滅ぶ、って書いてんじゃん。もう答え言っちゃてんじゃん」



「おお、気になるみたいですね」



「相変わらず。全く人の話聞いてねぇな」



「さて、前々回? 前々前回に、朝鮮半島では。高句麗(こうくり)、百済(くだら)、新羅(しらぎ)、加耶(かや)が朝鮮半島の覇権を巡って争っていると言いましたよね。あれから幾月の時が流れて。朝鮮半島では均衡状態が生じます」



「どの国も攻めきれねぇってことか」



「そう言うことです。この現状を打破しようと。百済は倭に対して加耶の割譲を求めてきます」




「加耶って朝鮮半島の最南端に位置する国だったよな。どうして、倭に対して許可がいるんだよ」



「前に語ったとおり。加耶には倭の拠点が存在していましてね。加耶の権益を持っている倭に対して許可が必要だったのですよ」



「で、どう返したんだ。普通は断ると思うが」



「倭の有力者達は、利がないと否定的だったのですが。大伴金村(おおとものかねむら)と言う人物が。加耶の西方を渡すだけで百済が力を付け。新羅を打ち倒すことが出来る。そして、新羅を打ち倒せば加耶の一部地域を渡しても有り余る領土と権益が手に入る、と力説し。加耶の割譲を受け入れました。その結果、なんと加耶は……」



「滅亡したんだろう」



「…………」



「なんで、そんな驚いた顔してんの。まるで、映画のネタバレ言われたみたいな表情してるぞ。タイトルにネタバレしてる奴がしていい顔じゃないよね」



「そうです。加耶が滅亡しちゃったんです。あっ、BGM流しますね。映像の○紀の。パリは燃えているか、です。えーっと、レコード何処でしたっけ」



「いや、BGMいいから。とうかなんで滅亡したんだよ? 一部の地域を差し出しただけだろう。まさか、全部取られたってわけでもねぇだろう」



「加耶の割譲が決まると。加耶に住まう人々が倭に対して不信感を抱きましてね。簡単に領土を明け渡すような国を信用できないとなって。加耶の東方に住まう人々は隣接する新羅に領土を明け渡し。加耶の西方の人々は百済に領土を明け渡した結果。加耶はなんと滅亡しちゃったんです。ちゃんちゃん」



「ちゃんちゃんで終われねぇよ。とんでもねぇ外交失策じゃねぇか!」



「加耶滅亡によって。大伴金村は責任を取らされて没落し。大王(天皇)を補佐する倭の有力豪族は、武の物部(もののべ)氏、財物の蘇我(そが)氏、祭儀の中臣(なかとみ)氏の三つの勢力に分かたれました。……さて、今回は此処までにしましょうか。次回は蘇我氏の台頭と飛鳥な時代です。まったねぇ」

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