第2話 旧石器時代と縄文時代です

「あけぽよ。……前回は、更旧な氷河の打製石器とカンシンジョウについてお話ししましたよね。今回は、その続きをお話ししていきますよ」



「へいへい。お手柔らかに頼むぜ」



「了承しました。では、始めますね。……かつて、日本では、旧石器時代の存在は不明確でした。と言うのも、旧石器時代を示す遺跡が発掘されておらず。そもそも日本に旧石器時代はなくなくない、って言う風潮が漂っていました。ですが、群馬県に住む。納豆売りの考古学マニアが赤土を掘っていると。なんと、旧石器時代を示す。数多の打製石器を発見したのです」



「おお、すげぇ発見じゃねぇか」



「納豆売りの青年も、これは凄いモノを発見したと思って、数多の考古学者に連絡するのですが、納豆売りが何言ってんだ。納豆売ってろ、納豆。といった感じで全く相手にされませんでした。……めでたし、めでたし。じゃあ、今回はこれぐらいで終わりましょうか」



「終わるな、終わるな。何も始まってないぞ!」



「まぁ、納豆売りの青年も諦める事が出来ず。更に調査する過程で、明治大学の院生と知り合い。その院生を経由して、ようやく学者の目に触れました。この間、実に三年掛かっていますね」



「三年も相手されなかったのかよ」



「で、この納豆売りの青年が相沢忠洋(あいざわ ただひろ)と呼ばれる人物で、1946年に群馬県の関東ローム層で岩宿遺跡を発掘した人と教科書に乗るようになります。まぁ、分かりやすく言うと、定期テストと受験問題の常連さんになったと言うわけですね」



「……にしても、なんで、近年になるまで発見できなかったんだ。もっと前に見つかっていてもおかしくはねぇと思うんだが」



「まぁ、一番の理由は、日本の人々が考古学に関心が薄いからでしょうね。仮に平安時代や江戸時代に打製石器や遺跡が発掘しても、昔のガラクタが出てきたと言う認識で破棄されていました。まぁ、今もそうですけどね。工事中に遺跡とか出てきたら。現場の人は、工期の都合上、ヨシと言って。見なかったことにして遺跡を破壊して建設を続けますから」



「いや、ヨシじゃねぇだろう。貴重な考古的資料破砕されてるよ!」



「油圧ショベル、ヨシ! ダンプ、ヨシ! コンクリート、ヨシ!」



「セメント流す気、満々じゃねぇか!」



「こう言った和の心があるため。ぶっちゃけ、日本の考古学の歴史が浅いのです。考古学が日本で息吹を立てたのも。明治に米国から来日した、モースと呼ばれる人物が機関車に乗っている途中に、あれ、貝塚じゃね? と、機関車で動揺したのが始まりですし」



「そんな堂々と見えてんのに誰も気付かなかったの」



「そうですよ。……で、この貝塚。大森貝塚の発見により、縄文土器を始めとした、釣り針などの骨角器(動物の骨や角で造った道具)が見つかりました。因みに、モースが貝塚の土器を見て。縄目の文様があるから、縄文土器と名付けたのがきっかけとなって、縄文時代と呼ばれるようになります」



「モースが縄文時代の名付け親だったのか」



「この大森貝塚の発見によって、縄文時代に狩猟や漁労、採集をしていたと言う生活の実態が分かるようになったのです」



「つまり、モースが大森貝塚を発掘して縄文時代を明らかにし。その後、納豆売り、じゃなかった。相沢忠洋が群馬県、岩宿遺跡で打製石器を発掘し。縄文時代より前の旧石器時代の存在を明らかにした、ってな感じか」



「そう言うことです。因みに、相沢忠洋の発掘した数多の打製石器には、色んな名称が付けられました。棒の先端に石器を取り付けたのを尖頭器(せんとうき)と呼び。木や骨の側面に溝を入れ。溝の中に鋭利の石を詰め込んだのを細石器と言います。この細石器は小型でして、旧石器時代の末期に使用されていたとされていますね」



「旧石器時代は武器が石だったんだな」



「ええ。そして、縄文時代には大森貝塚から、骨角器を用いた釣り針や網、そして網を海に沈めるための石錘(せきすい)と言われる。網が浮かばないように沈めた石が見つかっています。また、縄文時代に弓が使われ始めました。矢の先端には石鏃(せきぞく)と呼ばれる黒曜石を加工した石器が用いられていましたね」



「そういや、縄文時代にマンモスとかいねぇのか?」



「いませんね。そもそも弓矢が発展したのも、氷河が終わり、大型のマンモスとかが絶滅して。小型、中型の動物しかいなくなったからです。生存競争の過程で、大きさよりも、速さが求められた結果。小型化し。逃げる動物を捕らえるために弓矢が生まれました。そして、この弓矢は次の弥生時代に、言語を喋ったり、稲作を始める。お猿さん達を始末するために使われ始めます」



「……なぁ、そのお猿さんってさ、まさか、にんげ」



「さて、最後に縄文時代の風習について話して終わりましょうか。縄文時代から、地面を掘って屋根を取り付ける。所謂、マインクラフトの初心者の住処である竪穴住居(たてあなじゅうきょ)に住み始め。広場の中央を開けて環状型に竪穴住居を作る。環状型集落と呼ばれる形で集団生活が始まりました」



「定住が始まったって事か」



「縄文時代を代表する遺跡としまして、青森県の三内丸山遺跡がありますね。この遺跡からは、丸木船を造って遠方と交易を行った形跡や、栗を植林していた形跡があり。縄文時代からある程度の文明を持っていたことが分かっています」



「ほうほう」



「また、縄文時代には、アニミズムと呼ばれる。どんなモノにも魂が宿るという。自然崇拝が行われていたそうです。その崇拝の結果、女性を象った、縄文時代の美少女フィギア、土偶が造られ。男性のおちんちんを模したにしては、長すぎる石棒(せきぼう)があります」



「長すぎるって、どんだけ長いんだよ」



「39㎝ほどですけど、本来はもっと長かったとされています。この長さだと、美少女フィギアの土偶ちゃんを貫いちゃいますね」



「取りあえず。ノーコメントで」



「あと、成人の通過儀礼として、抜歯と呼ばれる健康な歯を抜く謎儀式があり。屈葬という、手足を折り曲げた埋葬が行われました。屈葬の理由は諸説ありますが、掘る土の量を少なくするためが主流ですね。手足を伸ばしたまま埋めたら、結構な量の土を掘る必要がありますから」



「労力の節約ってことか」



「まぁ、縄文時代はこんな感じですかね。それでは、次回はわくわくどきどき、弥生時代です。弥生の由来は、東京都、弥生町で土器が見つかった所から来ています。まぁ、どうでも良いですよね。それでは、次回にお会いしましょう。まったねぇ」









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