第12話
遥が来るとなれば、このアマテラスをどこかへ隠さなければならない。
そんな中、先ほど画像を送った際、アマテラスが入っていたカバンから着信の音がした。
俺は冷静になり、【遥を駅まで迎えに行く】とメッセージを送ったが、カバンからは音がしない。
さっきのは偶然だったのか?
そう思い始めると、全ての事が偶然に思えてくる。
間違いを誤魔化す方法も、エプロンを見つけた事も、俺の食器や箸、それに頬杖をついて見る仕草も、女の子ならありそうな事ばかりだ。
だから、一緒に風呂に入った時、恥ずかしそうにしていたのか。
改めて自分の行動を振り返ってみると、恥ずかしくなってくる。
大好きな遥だと勝手に思い込み勘違いし、遥に出来なかった責めを今日一日着ぐるみに閉じ込められていた女の子にしてしまった事の後悔と謝罪の念が膨らむ。
同時に勘違いとはいえ浮気まがいの不貞行為に及んだ事に対する遥への謝罪の念も膨らんできた。
しかし、アマテラスの中の女の子には悪いがしばらくこの身動きがし難い状態でクローゼットの中で隠れてもらう事にした。
そして、遥の到着を待つ。
しかし、いくら待っても遥がやってくる様子がない。
いつ来るか分からない緊張感を維持出来なくなった俺は遥に電話をしてみた。
呼び出しは鳴るが、電話には出ない遥。
そして、気がついた。
アマテラスが入っていたカバンから音が聞こえてくる。
『ブッーブッー、ブッブッー』
俺は通話状態のまま、カバンの中を探った。
スマートフォンとタッチペンが出てきた。
つまり、着ぐるみの手でスマートフォンが操作できなくてもタッチペンで操作は可能という事。
そして、今着信で出ている表示は【圭佑くん】となっている。
つまり、この着信は俺という事は、今クローゼットの中のアマテラスは遥という事になる。
やはり俺の予想は間違えではなかった。
同時に疑問が湧いてくる。
いつのまに俺に返信をしたのかという事。
ずっと拘束していたし、ほぼ俺と一緒にいた。
“あ!“
風呂から出た後、脱衣所が狭いので先に拭いて出した時に返信したのだと思った。
俺は遥を着ぐるみから出す別の方法を考えた。
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